ハスキー色々遅くない？って話。

　朝一番の患者さんの声がハスキーだった。

　あれ？この人こんなにハスキーだったっけ？って思いながら風邪の有無を確認する。
「2週間以内にご本人様ご家族様含めて風邪症状、喉の痛みや発熱などございませんか？」
　クリニック受付で現在必ず聞く文言だ。

　ハスキーおばあちゃんは　「ないない、全くない」って言うから、念のため「その…声の方は・・？」って聞いてみる。「声はこうなの」って言うから。そして、一緒にきたおじいちゃんも娘さんもそれに深く頷くから。
　そうか、声はこう(ハスキー)なのかーって納得した。ok okナチュラルハスキーね？
　なんなら失礼な事言っちゃったって反省もした。
　いや、好きよ？ハスキー、セクシーハスキー。

　で、お話を聞く。
　おじいちゃんの紹介状が届いてるか！(届いてないです)。届いてるはずだ！(届いてな…)。FAX送っとくって言ったのに！(・・・)。とか。
　区民健診の健診の受診券無くしたんだけど！とか。とか。とか。
　立板に水の如く喋り続けるおばあちゃん。後ろでまた、深く頷いているおじいちゃん&娘。

　おばあちゃんだから何度言ってもマスク顎まで下げる。で喋る。喋る。で下げる。喋る時は下げるとき。
　で、こんな言い方ダメだけど、おばあちゃんだからか半分以上、あれ、これ、どれ？あっちゃこっちゃ話飛ぶし、正直ちんぷんかんぷんな時ある。それを懸命に聞き取ろうとする。近づく頭と頭。
　おおっとおばあちゃん耳が遠い…なおも近く頭と頭、おでことおでこもうくっつきそう。
(年初めで私も気が抜けてたんだよね。)

　で、話聞いてるうちにハスキーおばあちゃん「うゔん」「うゔん」って痰絡んで無い？「あれ？何？ハスキーいがらっぽくない？」って聞いた。(こんな聞き方じゃ無いけど)

　「あれ？ハスキーいつから？」って聞いた。
　今日だって。今日からハスキー。

　ハスキー今日からハスキーだった。

　あれ？おじいちゃん何の紹介状？って聞いたらコロナだって。
　コロナで昨日まで入院してたって。
　急遽PCR検査。あっという間に陽性。

　ハスキー陽性ハスキーになった。

　「あーあ。」って院長。
　全部終わった後、呆然とつっ立っている私の肩をポンポンって叩きながら院長。
　「まあ、4日は(周りへの感染力も無いだろうし)自由に生きよ」って。
　「5日目以降の生き方をご教授下さい！」
　とか、言ってたら「ウィーン」ってFAXが鳴って、「ガガッ」ってFAX届いた。
　曰く、「コロナで入院して居た患者様のご紹介です」つって届いた。
　さっきのおじいちゃん。ハスキーの旦那さんの紹介状届いたね。「コロナ後のご加療お願いします。」つって。

ハスキー…色々遅くない？って話。

おわり。
2023.1.5

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一部不謹慎で失礼な表現を致しました事を、お詫び…ご、ごめんなさい。
仕事中も本当も心の中ででも患者さんの事をハスキーなんて呼んで無いよ。ほんとだよ。