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忍者ラブレター

「はい、こちら忍者ラブレター、受付窓口でございます」

最近バイト先で知り合った伊賀さんに聞いたところによると、忍者が手紙を届けてくれる招待制のサービスがあるらしい。確実に相手に届くから「ブロック」されている相手にも送れるんだよ、忍者はお堀をこえて城に侵入できるからね、と伊賀さんは招待コードをポンとくれた。伊賀さんはパソコンばかり触っている変わった人だが、休憩時間によく話につきあってもらっている。

「審査のため、あなた様とお送り先のお相手について質問していきます」
ウソをつくと通らないときいていたので、AIのかたい音声に緊張しながらも正直に答えた。いくつもの質問に答えさせられた挙句、20分後には僕はなぜか普段スーパーで何を買っているかについて、事細かに説明させられていた。

「…なるほど、情報のご提供ありがとうございました。審査結果については1カ月以内に連絡いたします」
僕は電話をきった後、ライブチャットサービスにログインし、今さっき手紙の送り先に指定した彼女に、いつものように長文のメッセージを送った。

「審査は通過いたしましたが、いかがしますか。入会と発送には費用がかかりますので、とりやめることもできます」
次の月に連絡がきたとき、僕は電話をしたことをすっかり忘れてしまっていた。電話をしてすぐに、オススメに出てきた女の子に惹かれて、いわゆる推し変というやつをしたのだった。VRとはいえ僕の好みにぴったりで、しかも僕と同じく牛乳をまいばすけっとで買う人だったのだ!僕は彼女とやりとりすることに必死だったから、その場で入会を断った。

「その人メッセージ多くて私ブロックしちゃった人だ。伊賀さん、いつもAI使ってメッセージ返してるのに、手入力なんて珍しいね。」
「うん、ちょっとね」

(740文字。かなりオーバーしてしまいました)

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