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OKR相談室②定量化できないものをKRにするには?

 OKR導入企業でよくご相談を頂くのは「KRの設定方法について」です。OKRはObject(この四半期に組織として取り組むべきたった一つの定性目標)を設定することで、自分たちの最も重要な業務を明確にしメンバーを動機付けます。しかし、定性目標だけでは動きづらいのが人間です。そのため、Object(定性目標)が達成できたかを客観的に測定するための指標(Key Results 以下KR)をいくつか設定します。受注高や受注件数、施策の実施件数などが設定されることが多いです。

 KRは実際の業務で鍵を握ります。日々測定出来る指標に落とし込まれているため、普段はKRにフォーカスをすれば良いからです。しかし、KRの設定は非常に頭を悩ませます。そのひとつが「定量化出来ない目標」のときです。例えば、人事制度の構築やシステムの開発などが挙げられます。定量化出来ない目標は得てして認識のギャップが生まれます。

 人事制度構築やシステムの開発などは「出来たかどうかだけなので、むしろ明確なのでは?」と思われるかも知れません・しかし、資料が完成することをスコープにしているのか・経営層からの承認をスコープとしているのか・従業員への説明も行うことをスコープとしているのかで大幅にゴールは異なります。
 では、どうやってKRを設定すればよいのでしょうか?

NG例|無理矢理数値化する

 よくないのが、無理矢理数値化するというものです。定性目標が「従業員のモチベーションを高めるためのインフラ・土台を作る」としたときに「人事制度を作る」とするのと「人事制度を1つ作る」と言うのとでは、特に実行度合いに大差は表れないでしょう。スコープ違い問題の解決は出来ませんし、間違って「人事制度を2つ作る」とでも設定してしまった場合はむしろネガティブに作用するかも知れません。
 無理な数値化はときに強烈な短期志向を生みます。それ“だけ”をやっていればよいと考えさせてしまうのです。皆さんも会社に掛かってくる営業電話で経験があるのではないでしょうか。「こちらは株式会社×××の●●と申します。代表様は今いらっしゃいますか?」という電話です。これは恐らく電話を掛ける件数だけを目標に設定されていると思われます。電話を掛ける前、30秒だけでも使って相手の会社のwebサイトを見て社長の名前だけでも確認すればつないで貰える確率は高まるかも知れないのにと思います。

のぞましい答え|状態表現で記載する

 数値化出来ない目標に対しては、状態条件で記載すると良いでしょう。状態条件とは「○○が~~している」という状態で記載するというものです。
 例えば人事制度の素案を作成し経営層から承認を得ている・人事制度の説明会を開催し従業員の95%からの参加を取り付けている・マニュアルをイントラネットに公開した旨メンバーに周知している などになります。
 こうすることで認識の相違が無くなります。担当者は出来たと思っていても、他のメンバーは「それじゃあ足りないだろう」と思ってしまうと言うことを避けることが可能になるわけです。


状態条件を目標に設定し活用するためのtips

 状態条件で目標を設定する際、以下の要素を盛り込むと更に行動に繋げやすくなるでしょう。

①時期を明確にする

 一つ目は完了時期を明確にしておく、というものです。こちらはOKRには基本機能として備わっているため、原則OKRの期間と連動させておけばOKです。しかし、Oに対してKRは数個設定することが常のため、KRの完了期限とOの完了期限が同時でないこともあります。その場合は「OKRは1月~3月末までだけども、このKRについては2月末までにしておく」と設定しておくとよいでしょう。順調に完了すれば3月に人手が浮くため、別のKRへの助っ人とすることが可能となります。

②マイルストーンを作っておく

 二つ目はKR設定時に目標を細分化しておく、というものです。今回例示しているようなシステム開発や人事制度構築のような目標は「出来たか否か」で見られがちであり、0点か100点かという議論になりがちです。そうなると、担当者は0点を避ける為に目標を低めに設定するようになります。せっかく高い目標に向けて全力を注ぐためにOKRを入れているというのに、これでは本末転倒ですよね。
 そんなとき、事前に目標を細分化し「制度構築して全社員に説明会を完了させられたら100点だけど、ここまでできたら80点だよね」ということを作っておくと良いでしょう。作業の全体像と進捗状況を見えるようにしておくことでモチベーションを維持することも出来ますし、ポイントポイントで他のメンバーに協力を取り付けることも容易になります。

さいごに

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セレクションアンドバリエーションシニアコンサルタント・中小企業診断士
山本遼