オオカミの家 感想

私の好きな映画「ミッドサマー」「へレディタリー」の監督であるアリアスター大先生が大絶賛‼︎していたと聞いて、絶対に映画館で見たい!と思いつつ見に行くタイミングがなくて泣いてたんだけど、U-NEXTで独占配信されていると聞いて躍り上がった。U-NEXTすごい。U-NEXTありがとう。

見てすぐ大興奮感想ツイートをしたんだけど、もっとちゃんと感想を書きたかった。
以下乱文による感想。長い。

『チリの山奥にあるコミューンが制作した教育アニメーションが発見された。これを見れば我々のコミューンがいかに素晴らしく、世に流れる噂が誤解と偏見であるかが伝わるだろう』という体で本編が始まるので、前提知識がない人は「?」ってなったかも。

歴史的事実としてチリには「コロニア・ディグニダ」というコミューンがあって、そこの支配者が本当に凶悪な奴なんだけど
私がフワフワとした事を言うのは憚られるので詳細を知りたい方は以下の記事を読んでください。
※小児性愛者の話になるので、辛い方は避けて。

↑この前提を交えた上でのあらすじをざっくり。

ドイツからチリにやってきたコミューンの人々は、言葉も分からず土地勘もなく、開拓の為に日夜働き詰め。「もうこんな所は嫌だ」と脱走したらどうなるかをお話にしたよ!っていう作品。

子供に教育をする時、直接的に「言う事を聞きなさい」とか「嘘をつかずに正しく生きなさい」とは言わずに、童話や昔話から教訓を得るように『オオカミの家』を見ようねということです。

物語の主人公マリアは大人の言う事を聞けず、いつも夢想ばかりをして過ごしている。ある日コミューンで育てていた豚3匹を逃してしまい、「もうおしおきは嫌」とコミューンから脱走。逃げた先の森の中で見つけた小屋に2匹の豚と過ごすことになる。

マリアは2匹の豚にそれぞれペドロとアナと名付け、持ち前の想像力で2匹を人の姿に変身させ、服を与えて尊厳を与えた。
ときおり森の中からオオカミの声が聞こえて、「家に帰っておいでよマリア」とか言ってくる。嫌だよ。
そして暮らし始めるんだけど、やっぱりマリアはまだ子供だし(大人でもキツい状況だけど)、小屋にあった食料も底を尽きて腹を空かせたペドロとアナに食われそうになって「オオカミよ助けて‼︎」と自らオオカミに助けを乞うて終わる。

マリアにとってはオオカミがコミューンであり家(コロニア・ディグニダ)であった。
夜の遠吠えが微かに聞こえるかのように「帰ったおいでマリア」「こっちを見てごらんマリア」と呼びかけてくる。
その遠吠えを振り払うように「私はここでうまくやれる」「もう帰りたくない」と呟くマリアが痛々しかった。
ブタと暮らすマリアが、火垂るの墓の清太と節子と少しダブって見えた。なぜかね。風前の灯のような暮らしぶりが重なったのかも。

最後のオオカミに助けてもらわないとダメだ!となったところで「ほらね、言う事を聞かないとこうなるんだよ」って言われてる気がした。
劇中ずっとマリアに語りかける男の声(コミューンのリーダーという設定だと思う)がずっと優しく囁くんだけど、まじで最後の最後だけ
「お前も世話してやろうか」
って観客に話しかけてくるのが本当におぞましかった。ずっとマリアに向いてた顔が、ギュン!ってこっち向いたァ!!って思った。怖かった。

(ストーリーだけで長々と書いてしまった、まとまりが悪くて申し訳ない。でもまだ早口オタクになっちゃう。全然書ききれない。てかもー全部読まなくていい!見りゃ分かるんだから!百聞は一見にしかず。)

この作品の素晴らしいところは↑までのストーリーを補完する表現力にあると思う。
『オオカミの家』はストップモーションアニメで作られてるんだけど、私は不勉強ゆえあまり詳しくない。
なので、二次元と三次元の垣根を超えたストップモーションは見たことがなかった。どこかに始祖がいるのかもしれないけど。

主人公のマリアが壁に描かれて動いていたり、手作り感満載の人形の姿で現れたりする。
壊しながら、作りながら、直しながら(どの言葉も適切でない気がする)生々しく動くマリアとペドロとアナ。
めっちゃ瞬きするし(瞬きする度にピチャって音までついてる)、目の焦点が合っていたりするので本当に生きてるな…って感じられて画面に目が釘付けになった。
人体をかなり省略して作っていても、外せないポイントを的確に突いていけば命が宿るんだな。
まるで幼虫が蛹から羽化するように形を変えながら生きてるって感じ…?上手く説明できないよォ!本編見てもらっていいですか?

ていうか予告編を見てもらってもいい?
私の拙い文章より100伝わるので

全編こんな感じだから、本当に画面から目が離せなかった。画面から目が離せないから、ずっとオオカミ(コミューンの奴)と目が合う。こわい。
ずっと聞こえるオオカミの声も背後から包まれるようなサウンドになっていて、これは逃げられないなぁ…って思った。囲まれてるもん。無理だよ。
コミューンが狙っていた通りのメンタルになってしまった。

ストップモーションといえば、私は『ニャッキ』に始まり『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』『PUI PUI モルカー』に親しんできた人間なので
こんなに怖いストップモーション初めてだよォ!😭
ヤン・シュヴァンクマイエルの系譜かもしれないけど、怖すぎるよ。(ご教授ください。)

画面と音、ストーリーのインパクトが強すぎて逆に「何が起こった…?」ってなる作品だけど、見終わったらまたすぐ見返したくなる素晴らしい映画だった…
Blu-ray予約しました。4月上旬に届くって!楽しみ😊🐺🏠🐷😊

そしてアリアスター監督の最新作『ボーは恐れている』にも今作の監督が携わったシーンがあるようで、そちらも早く見たい!

おわり!!!!!!!長いのに読んでくれてありがとう!!!!😭😭😭😭

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