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AIが書いた小説『スカイフック』第11話 心の中に秘めていたもの

敵の爆撃機は一晩中燃えていた。

それは名古屋市御器所町の村雲小学校の北側の竹藪の中にある湯浅源一郎邸のちょうど真上に墜落したのだった。

消火活動にあたった地元の自警団の人々は、生き残った敵の搭乗員が生き延びていて、何時暗闇襲われるのではないかという恐怖心と闘いながら活動していた。

夜が白み始める頃になってようやく鎮火した。

夜明けとともに、燃え尽きたにもかかわらず、まだ原形をとどめている機体が、陽の光を受けて銀色に輝いた。

陽が昇るにつれて、それは輝くオレンジ色の巨大な塊に姿を変えた。

その頃になって、ようやく軍の関係者が何台ものトラックに乗ってやってきた。

彼らは海賊の子分のように、まだ水蒸気が立ち昇り、嗅いだことのない耐えられない悪臭の中、かなりの熱のこもっている朽ち果てた機内の中を物色していた。

まだ残っている黒焦げの遺体はそのままに、取れるものは何でも持ち出そうとしているようだった。

それらは、村雲小学校の校庭に一つずつ丁寧に並べられた。

自警団の者らは、それを遠巻きにして見ていた。朝になると、この界隈にこれ程人が住んでいたのかと思うくらいの大勢の人が集まってきた。

人々の関心は、湯浅邸の上に敵の爆撃機が落ちてきて一夜にして崩壊したことよりも、落ちてきた敵機のあまりにも大きなこと。それとその横倒しになった鳥かごの様な機首の横に書かれている半裸の女性の絵に向けられていた。

焼け落ちても銀色に輝く破片の数々、今までに嗅いだことのない鼻を突き抜けるような人工的な匂い、次々に中から取り出される見たこともない精巧な機械の数々。そして、大きく大胆な半裸の女性の絵。

見ているもの誰もが思った。

目の前に横たわるのは「鬼畜米英」と教えられた憎悪すべき敵の姿なのだ。

我々は、多大の代償を払って、その敵を打倒した。

敵は、力尽き無残な姿をさらしている。

それでも、彼らは私たちに訴えてくる。

私たちの奥深くにしまい込んでいるものを揺れ動かす。打ち消そうとするほどに、それが首をもたげてくる。

目の前の敵を憎悪し、今までに失った代償を取り戻すべき相手なのに、ここには、怒りが湧いてこないのだ。

むしろ、その代わりに奥深くしまい込んでいるものが、何であるかを意識するようになった。

機体に描かれた半裸の女性の唇にたっぷりと使われた赤色と惜しげもなくさらされた豊かな胸のふくらみ。

それらが、語り掛けてくるのだ。

「もう隠そうとはしなくてもよいのだ。解き放つ時なのだと」見ているものに語り掛けている。

朝も終わりを告げようとした頃、集まっていた住民はすべて遠ざけられた。

付近一帯は立ち入り禁止となり、憲兵が立ちはだかり、そこで何がされているのか一切見られなくなった。

軍の機密事項になるらしい。どうやら米兵の遺体も運び出されるのではないかとの噂であった。

いや、まだ生きている兵隊いたのではないかと言うものもいた。

皆、そのような話ばかりで、その下で崩壊してしまった湯浅源一郎一家のことは忘れてしまったように誰も口に出す者はいなかった。

目の前に起こった悲劇よりも、心の奥にしまっていたものが頭をもたげてくる衝動を抑えることで、頭の中が一杯になっていた。

住民の誰もが、知ってはいけない秘密を知ってしまったような気がしていたのだった。 

     


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