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大河内健志短編集

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#時代小説

連作短編小説「雪ふる京のうつろい」『白木の棺』

帰りが遅そうなるというてはりましたが、主人はまだ帰ってきはりません。 夕方から、雲行きが…

大河内健志
3か月前
8

武蔵の微笑み(時代小説『宮本武蔵はこう戦った』より)

武蔵は思い悩んでいたのだった。 小次郎に勝てるという自信がなかった。 今まで数々の試合を…

7

近江屋、突入!(『龍馬が月夜に翔んだ』より)

齊藤一は、菊屋の峯吉から、坂本龍馬が今は隠し部屋寝ている。今入った三人組は、十津川郷士と…

2

月夜に吠える狼(『 龍馬が月夜に跳んだ』より )

あたりが薄墨を塗り重ねるように暗くなってくる。色の境がくっきりとしてきた。黒はより深みを…

2

小次郎の知られざる過去(『宮本武蔵はこう戦った』より)

 見る間に試合が行われる島に近づいてきた。思っていたよりそれは小さく、周囲を見渡すには充…

2

本能には勝てない!(『宮本武蔵はこう戦った』より)

「恐ろしい」 武蔵は、全身が強張って身動きが出来なくなってしまった。 小次郎は、目の前で…

8

燕を斬る!(『宮本武蔵はこう戦った』より)

 佐々木小次郎の緩慢に空を切る一振りによって、巣に向かって一直線に飛んでいた親燕は飛ぶ方向を変えた。  親燕は、目の前に何者かが横切ったので、本能的にそれを避けた。上昇すれば、この速さでは自分の巣を飛び越してしまう。下をくぐり、直前で羽を拡げ、速度を落とし急上昇をすれば無事にたどり着ける。親燕はそれらをとっさに判断した。  親燕は、急降下して小次郎の膝元を通り抜ける。すると閉じていた羽を大きく拡げ、停止するかのように速度を落とす。そしてあえぐ様に羽ばたきしながら、自分の巣

異形のサムライ(小説『宮本武蔵はこう戦った』より)

父、無二斎より、小倉藩の権力争いのごたごたを収める意味も含めて、「佐々木小次郎」なる剣術…

5

身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ(『宮本武蔵はこう戦った』より)

「こだわりを捨てよ」 武蔵は、 自分に言い聞かせた。 大地と一体化するのだ。 自然の声を…

5

海を見つめる武蔵(時代小説『宮本武蔵はこう戦った』より)

武蔵は海を見ている。 日の出から随分時間が経った。陽が昇って頭上近くになろうとしているの…

6

武士の掟(小説『龍馬が月夜に跳んだ』より)

齊藤一は、菊屋峯吉から十津川郷士と名乗っている三人組みは近江屋の二階にいるとの報告を受け…