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白木の棺

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知恩院の七不思議のひとつである「白木の棺」にまつわる物語です。
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#連作短編小説

連作短編小説「伝えることが難しくなった千年後の理想と現実」『白木の棺』

この世界は、妥協の許さない厳しい世界です。 到達点と言うものはありません。 常に、理想を…

大河内健志
2か月前
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連作短編小説「物価の高騰による悲劇の予感」『白木の棺』

直ぐに若い大工が、模型が出来上がったので、見に来てくださいと呼びに来ました。 今までの見…

大河内健志
2か月前
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連作短編小説「天才左甚五郎の片りん」『白木の棺』

「どんなに緻密な計算をしていても、誤差が出てくるものだ。五十分の一の模型でさえ、これだけ…

大河内健志
2か月前
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連作短編小説「計算し尽くせない人智を超えたもの」『白木の棺』

主人らは、早速設計図の作成にかかりました。私は、父から宮大工たるものは、頭の中にしかと図…

大河内健志
2か月前
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連作短編小説「移りゆく時代の流れに忍びよる黒い影」『白木の棺』

次の日から、主人は中井殿のところへ、三日と開けずに行くようになりました。行くときは、朝の…

大河内健志
3か月前
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連作短編小説「時代の流れには逆らえぬ」『白木の棺』

お茶と茶菓子を持ちまして、奥の間に続く廊下を行きますと、大きな声が聞こえ来ます。主人の声…

大河内健志
3か月前
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連作短編小説「左甚五郎の若い頃」『白木の棺』

平素は温厚な与平次もさすがに、声を荒げまして「お上のお達しで、京に出てきたが、何かというと書面を回せとか、誰々に挨拶せよとか、つまらぬことばかりだ。何も進まん。わしらは、代々お寺様の加護を受けて、好き放題させて頂いた宮大工なのだ。それを、大工仕事にまで細かく口出しされるのでは、たまったものではない」と、憤慨しておりました。 そのような折に、主人は中井家の先代正清様に呼ばれました。 正清様は、主人と同年代で、もう忘れてしまいましたが、どちらかが一歳上か下でした。 しかし、

連作短編小説「雪ふる京のうつろい」『白木の棺』

帰りが遅そうなるというてはりましたが、主人はまだ帰ってきはりません。 夕方から、雲行きが…

大河内健志
3か月前
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