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男性差別の具体的事例集

                

 男性差別論に関しては、実に様々な論点や具体的な事例が存在している。知っているものとしては、かなりの分量を語ることは出来るのだが、男性差別の事例は出る分野に偏りがあるケースや、そうでなかったとしてもそもそも男性差別は存在していないとして、差別とすら認識していないことから、男性差別の事例があまり少ないと誤解されるようなケースもある。(もっとも、知っていてわざと男性差別の事例がないことやレパートリーが少ないとうそぶくものも存在するが。)

 そういった誤った認識をただすためには、差別の具体的な事例がどういうものかを示す必要があるだろう。
 現代では既に解決した事例も載せるが、男性差別に関して主に日本でどのようなものが存在していると言われているのか、そしてどのような批判があるのかを軽く紹介しておきたい。(関連するnote記事や情報も載せる予定。海外事例は、考慮中。)



1 女性専用車両

 男性差別論の代表例と言えばこの車両の存在であろう。

 本質的に問題になっている部分は、犯罪対策における特定の属性を一定の空間から分離するような措置は肯定されるのだろうか?という部分だろう。
 一部の人間が犯罪などの問題行為を起こしたことを理由に特定の属性を全て分離するというのは、典型的な差別事例と考えられる。本国でも小樽市外国人入浴拒否事件といった特定属性の犯罪隔離に対する違法判決もあれば、アパルトヘイトを彷彿とさせるような手段でもあることから、根幹部分から文字通り根の深い対立の中心となっている。

 もちろん、この批判を回避するために女性専用車両は任意協力という形でルール上は作成されているが、現実的な運用状況やステッカーなどの表記、利用者同士・反対派との対立といい、任意協力とはほど遠い現実も存在しており、更なる複雑な問題になっている。
 その他にも、かなり多くの問題点をはらんでおり、単なる男女平等という枠を超えて、現代における様々な差別問題に対するものが集約されている代物である。

 類似のものとして、実現しているわけではないが、女性専用の街というものも話題になったりもする。

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2 女性専用サービス

 専用車両とともに持ち上がるのは女性専用サービスである。基本的には、女性専用車両のような男子禁制的な側面が存在しているようなものから、数百円程度のサービスといったものがある。サービスの幅は結構広い。
 
 専用サービスそのものの存在もしてはいるが、現代における女性専用サービスは、男性専用に比べると種類や数も多く、広がる専用サービスの差が男女差別となっている面も指摘されている。
 また、男性専用サービスというものも存在はしているものの、場合によっては公的機関などからの差別であるため取りやめるべきであるという介入も存在していることから、ダブルスタンダードではないかという指摘もある。

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3 表現規制に関する問題

 表現関係についても、男性差別論というのは密接に関連している。

 差別論において、表現そのものが差別的であるという理由で自主規制や抗議による排斥があることは珍しい話ではないが、男性に対する表現に関しては抗議や規制・批判の声に差がありすぎることに批判が殺到するケースがある。

 良くある事例としては、男性が好んでいるだろう性的な表現に対しての規制であろう。規制内容は実に様々で、性器の露出のようなもののレベルやきわどい表現といったものだけではなく、ゾーニングされたケースや衣服など通常のレベルでも特に露出など問題ないケースでも抗議などをあげるケースも存在している。
 その一方でBL(ボーイズラブ)といった女性向けの表現については、規制が緩い部分もあり、規制論の違いが批判の種になっている。


 その他にも、男性に対する侮蔑表現等に関しても批判の声は乏しい。

 ひとつ事例を挙げると、性差別発言をしたことによって辞任に追い込まれることがあったが、その際に過去の女性が男性に行った差別的な言動について取り上げて、批判されることも多くあった。

 その逆の個別例を挙げると、蓮舫氏に対するものとしては、過去に「夫はペット」「男なら泣くな」といったようなものや、本件を批判した北原みのり氏はかつてAERAの記事にて男性の会議が長いというタイトルの記事をあげるなど、女性から男性に対する差別的な表現というものはいくつか取り上げられたのだが、それをもってして議員辞職や当面の間謹慎したと言うようなことはほぼほぼない。

 その後、新しい会長に就任した人物が過去にセクハラ騒動を巻き起こした橋本聖子氏が就任するといった異例な事態が発生しているにもかかわらず、森氏の性差別発言の時と比べると、批判があまりに弱いことや海外からの疑問の声も投げかけられている。

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4 法分野における差別

4-1 遺族厚生年金などについて

 遺族厚生年金に関しては、男女によって受給資格が異なる。
 夫が死亡した場合の時には無条件で年金受給が受けられるが、妻が死亡した場合には、55歳未満の時には支給されないという規定になっている。
 公務員の妻が公務に因り精神障害を発症し、自殺したため、夫が大阪府支部長に対し、地方公務員災害補償法遺族補償年金、遺族特別支給金、遺族特別援護金及び遺族特別給付金の支給請求をしたところ、処分行政庁がいずれも不支給とする処分がされたことによって、このことについて争った事例があり、第一審である大阪地判平成25年11月25日においては、遺族年金制度に関して違法であるという判断を下したが、高裁(大阪高判平成27年6月19日)最高裁(最三小判平成29年3月21日)については地裁の判断を覆す内容になっている。

 近年における女性の社会進出の達成度がいまだに達成していないことを根拠としているものと考えられるが、これに対しては所得要件などを加味して扱いに一律に差を設けること自体が差別なのではないだろうかという批判も考えられる。

4-2 障害者等級

 これはかつての問題であるのだが、かつて障害を負った者に関して、男女で容貌に対する事項については、男性と女性で差があった。

 旧自賠責保障法施行令第2条別表2においては、男性への14級適用に対して2階級高い12級、通所よりもより大きな傷の場合には、男性が12級適用に対して5階級高い7級となっていた。

 この規定に関して、京都地方裁判所 平成20年(行ウ)第39号 平成22年5月27日 第3民事部 判決 において、これらの規定に関して憲法14条1項に違反するものとして、この表を基準とした処分を取り消している。
 この判決を受けて、現代では障害者等級は改正されている。


4-3 父子家庭に対する児童扶助手当

 かつて、児童扶助手当については父子家庭に対しては支給されないという規定であった。父子家庭に対する差別ではないだろうかという批判もあったため、2010年8月に児童扶養手当法改正によって、現代では父子家庭にも援助が入るようになり解消された。

4-4 寡婦年金について

 寡婦年金とは、夫が老齢年金を受け取る前に死亡した場合において、妻に対して支給される年金のことである。受け取れる人物は妻のみであるため、男女平等という観点から疑問符がついている。

5 教育分野・労働環境について

5-1 女子大学の存在

 現代では、女子大学の存在は性差別ではないかという批判はある。かつて、女性に対する就学機会が少ないという理由から、女子大学は存在していたものである。
 しかし、現代では女性の進学率というものは上昇しており、短大も含めれば男子よりも進学率が多く、短大を含めない大学だけの数値でも今や1割も差は存在しない。それでも尚女子大学が必要なのかと考えれば、現代においてはもはやその役割は終えていると言えるだろう。高校のように男子校も女子校も存在しているようなケースではないため、なおのこと存在意義に疑義が生じる代物である。

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5-2 過労による死や精神疾患に関して

 過労死に関しては、男性のほうが女性よりも数値的には多いことが指摘されており、労働環境において男性が苦しんでいる場面の一つとして取り上げられている。

 令和2年版過労死等防止対策白書によると、労災支給決定(認定)された脳・心臓疾患事案 2,280 件のうち、2,176 件(95.4%)が男性、104 件(4.6%)が女性となっており、同じく労災支給決定(認定)された精神障害事案 3,517 件のうち、2,411 件(68.6%)が男性、1,106 件(31.4%)が女性となっており、男性の労働環境の過酷さが問題となっている。

 脳・心臓疾患事案に関する発症前6か月の労働時間以外の負荷要因を調査されているのであるが、「拘束時間の長い勤務」が 30.1%と最も多く、「交代勤務・深夜勤務」が 14.3%、「不規則な勤務」が 13.3%となっており、労働環境の悪い職場で働かなくてはならないというプレッシャーが原因になっている。

 本来なら、男性の労働環境の悪さに対してケアを十分にしなくてはならないのだが、自殺に関しての部分でも述べるが、過労死に関しての男女の扱いの差が異なることが問題になっている。


5-3 3K職場・看護士などの女性に偏りがある職種について


 職業に関しては、女性の社会進出が進んでいない分野に関して、積極的に女性の参入を進めているのだが、俗に言う3K分野と言った男性が多い職場や、逆に女性が多い分野に関してその数を改善するべきではないだろうとかいう批判がある。

 後述するアファーマティブアクションとの関係性を見た際に、従来であればこれらの分野の改善も示唆されるべきなのだが、そういった言及、実践がされるのは希である。
 また、看護士などといった一定の資格に関しては、学ぶ施設に関しても女性限定の学校が存在していることもあり、そういった部分も教育機会における差別ではないだろうかとも考えられる。

(2021年4月1日に学校関連の検索サイトでとった魚拓をここに残す。看護以外にも歯科衛生士もあるが、確かに女性のみ可と書かれているものが存在している。)


5-4 助産師資格

 助産師は女性だけの国家資格である。男女雇用機会均等法を考えると、女性だけにすべきと言うのは差別に当たるのではないだろうかという批判がある。

6 自殺に関して

 日本における男女差については2000年代あたりから男性のみが急上昇をしており、ピーク時では約2倍の男女差があった。従来なら、男性の自殺というのは女性に比べると多いのであるから、男性に対する特別なケアというものがあっても不自然ではない。だが、男性の自殺に関しては、女性の自殺に関するものと比べて、クローズアップされることが弱く、生命に対する男女の扱いが異なるとの批判がある。

 例を挙げるなら、新型コロナウイルス関連の事例において、令和2年度の自殺に関しての報道であるが、男性の自殺についても女性の自殺についても一定数の増加傾向を見受けられることが出来たのだが、前年と比べると増加したことを理由に、マスメディアの対応は女性が苦しんでいるかのような報道が多数確認された。

 月によっては男性も女性も同じくらいの自殺者数の増加を確認できるようなときもあれば、男性の自殺自体も一定の増加傾向が確認されたのだが、男性の増加に関して問題にする記事はほぼなかったと言って良いだろう。

令和2年 警察統計(暫定値)の月別集計(厚生労働省「地域における自殺の基礎資料」による)


 死に関しても、男女における関心の差と実際の数の差に対する意識の乖離が見受けられる。


7 恋愛、結婚における性役割

 恋愛や結婚における性差別的な部分も男性に対しては根強く存在している。 

 例えば、マッチングアプリや婚活サービスなどといった男性側にのみ料金を課すことや、男性側のほうが料金を多く支払う場所が多いのも、従来の性役割論の強化になっているとの指摘もある。

 また、希望する条件に関しても、基本的には女性側が男性側に対して様々な部分での希望が上回っているものであり、その中でも年収という部分に関しては、かなり強い希望を持っていることがうかがえる。

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 しかし、旧来の社会的価値観である「男は仕事、女は家庭」といった概念が支持されているのであれば理解できる話ではあるが、フェミニズムにおいて、女性の社会進出によって従来の性役割的な部分を取り除こうとしている考えをもとにすると、従来の思考とは真っ向から反する部分である。(性差をなくし、性役割の解放を歌うのなら、年収など条件的なこだわりなどがフラットにならないといけないのだが、より強化されているため。)

 それゆえ、これらの事象は性役割の強化と性役割の温存ではないかとの指摘がある。


8 親権関連

8-1 離婚時における親権に関して

 親権に関しては、特に離婚時における親権問題がクローズアップされる。
共同親権が日本でも議論はされているが、現行法は単独親権の状況である。単独親権の状況において、離婚後の親権は母親が子供の親権の大半を持って行くようケースが多く、父親が親権をとれるケースは少ない。(割合に関しては9割がた母親が親権を獲得するとのこと)母親側の方が子供と接触している時間が長いのであり、それによって子供を育てるのには母親が有利になるということが大きいのだが、この考え方そのもの旧来の性役割の時代に基づく部分が大きく、現代では差別ではないだろうかなどという批判がある。



8-2 共同親権・ハーグ条約

 離婚後も子供に関して一定の養育義務を負わせるコンセプトを元に、日本でも導入を進めようとする動きがあるのだが、共同親権に関してはリベラル側からの抵抗が強い面がある。
 主だった理由としては、夫から妻に対するDVが根拠となっているが、DVというのは夫婦間だけではなく、親子間にもDVというのは当然に存在するのではあるが、そういった指摘は乏しい。
 また、共同親権を導入する前進として、ハーグ条約の批准に関することもあげられるが、こちらも同じような批判が展開されていた。現在では、ハーグ条約に関しては批准されているものの、日本における条約遵守の動きというのは鈍い。

 欧米において、ほとんどの国ではハーグ条約、共同親権が導入されているにもかかわらず、ここまでリベラル側が強硬かつ保守的な反応を示す事例というのは、人権問題が数多くあるなかでもかなり珍しい事例であると言えよう。

8-3 育児休暇について

 男性に対する育児休暇について、厚生労働省の「雇用均等基本調査」によると、2019年度の育児休業取得率は男性が7.48%、女性が83.0%となっており、男性の育児休暇率が低いことが、差別性があるのではないかとされている。


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 育児休暇に関しては、男性社会的な労働制度が問題だとしているが、男性側としては、結婚関連で紹介したように収入が少なければそもそも恋愛や結婚も難しい側面もあれば、収入を得るために長時間労働や学習をしなければならないという側面も有しており、男性社会だからという理由だけでは必ずしも成り立たない側面もある。


9 アファーマティブアクション

 労働、教育関係においてアファーマティブアクションも代表的な例であろう。一定数の枠や加点事項などを設けることによって、一定の属性の数が少ない状況を同じ数にするために行うもので、それによって積極的な差別是正と多様性の確保を主な目的としたものである。

 しかし、試験などの成績に関係なく、一定数の数を確保すると言うこと自体がそもそも差別的な対応であるという批判は根強い。成績が良くても試験に受からないのであれば、公平な受験ではないという批判は当然としてある。

 また、数を目的としてそろえたとしても、その後に学業について行けないケースや、地位に基づいた成果を上げられないような懸念もあれば、様々な属性がある世の中でどこまで配慮すべきなのかなど、複数の問題が存在している。

 その他には、多様性の概念をも包摂しているアファーマティブアクションにおいて、積極的差別是正のみに注視しすぎることによって、他属性の排斥根拠に使うと言った多様性概念とは矛盾した論理展開を主張されるケースもあり、こちらも問題となる。

 アファーマティブアクションも、問題点が多い差別事例の一つである。

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10 その他社会慣習について

10-1 刑務所における待遇差について

 刑務所内に対する待遇に関しても、男性と女性とで歴然とした差があるとされている。例えば、髪型に関しては、女性のほうが自由であるとされているのに対し、男性は丸刈りであることや、衣類や化粧品に関しても女性と男性とでは持ち込める物などに差がある、行動に関しても自由になっている度合いが大きく異なるといった待遇面での差が問題となっている。
 従来、罪に対する反省という意味で刑事罰は科されるわけではあるが、それに対する扱いの差があること自体が問題であるだけではなく、自由を大きく認めることによって刑罰としての機能が不十分ではないだろうかという考えもでてくる。


10-2 丸刈りなどの強制について

 自衛隊や、警察、刑務所、一部の学校の運動部などに丸刈りなどを強制するといった慣行が行われており、その一方で女性に関しても髪型が黙認されているような事例が刑務所などある。

10-3 避妊・堕胎などに関する扱い


 避妊などにおける性役割に関しても、男女における役割を意識させられているケースがある。

 日本における避妊のケースに関しては、男性が主だって行っているケースが目立っており、コンドームの装着に関しては世界と比べても突出して高い。反対にピルなどといった女性が主体となって避妊するケースは世界的にもかなり低く、男性に責任を取らせる傾向が強い。

 女性が主体的に避妊方法を選択しているとする国々比べると、男性に対する依存度が強く、ピルなどの使用をするという方向であっても、女性側に一方的に負担を強いるものとして、男性側に責任を求める意見も強い。

 堕胎・できちゃった婚に関する事柄に関しても、多くの男性は責任を取る傾向にあるといえるが、これらの現象は女性が主体的に性に関するコントロールの権利の方向性とは真反対といえるし、男性自身を責任に縛り付けているという批判がある。


詳しい資料は下記noteに譲る


10-4 ホームレスの数に関して

 ホームレスの数に関しても、日本においては男女で大きな差がある。平成31年度の調査によると、ホームレスと確認された人数のうち、4555人中男性が4253人、女性は171人で残りは不明という状況で、男性が圧倒的に割合としては多い。

 海外に目を向けると、例えばニューヨークでは2017年の調査だと男性が60.5%で女性が39%、フランスでは10人に4人の割合で女性がホームレスであり、韓国でもおおよそ7:3という比率で男女比が構成されている。(その他には、フィンランドでは2017年度で7112人となっているが、そのうち1500以上は女性と言われている。ドイツでは>成人男性が全体の73%を占め、女性は約27% となっている。また、スウェーデンでは若年層に限れば>18歳以下のホームレス状況も調査された。約400人が該当し、51%が女子、49%が男子だった。そのうちの35%が外国生まれだった。 ともなっている。

 どの国も男性のほうが多い傾向があるとは言え、日本における割合は圧倒的に男性に偏っている。これは、男性に対する支援というのは、女性側に比べるとあまりにも低く、相談する方法も限られていたりすることが他国より強い傾向にあるのではないかと推察される。

 その上で、更に女性のホームレスに関しては隠れた部分があったり、もっと違った計算をすることによって、数値上はもっといると推測を出すケースがある。だが、こちらも次の項目にある性犯罪関連と同様に、比較を必ずしも真面目にやっていないケースや、そもそも碌に統計を参照しないケース、客観性が不存在な暗数論、男性に関してはどれくらい同じ部分が該当するのかの検討がない等というバイアスが強い。

「ホームレス」の定義によるところも大きいと思います。日本でホームレスというと、一般的に路上生活をする人を指します。しかし、もっと解釈を広げ、「家のない状態の人」と定義し、インターネット・カフェやファストフード店、知人宅で夜を過ごすといった人もカウントすれば、5.2%より(女性のホームレスは)ずっと多いです。 (括弧書きは筆者が追加)

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10-5 性的プライバシー権について


男性の性的プライバシー権というのは、女性に比べると軽視されている傾向があり、男性の裸や着替えなどといったことは公衆にさらされるケースや、そもそも存在しないことが挙げられる。

具体的には更衣室やトイレ、公衆浴場といった場面が想定されるが、空間的に分けられているにもかかわらず、女性の侵入がしやすいような場合や外から丸見えの状態になっているなど、男性の性的プライバシーを軽視していることがある。

男性側にも性的羞恥心も存在しているものであり、社会慣習的にもおかしいのではないかという声がある。

また、トランスジェンダー論にもつながる論点でもあり、より深刻な問題にまで直面している。

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11 性犯罪・DVに関して

11-1 DVに関して

 性犯罪・DVに関しても男性の被害というのは少なからず存在しているのではあるが、男性の被害というのは女性と同様に訴え出にくい面もあると考えられている。
 
 例えば、DVに関してではあるが、令和2年の内閣府の調査によると、1回以上の被害経験があったとされる割合に関しては、女性が 25.9%、男性が 18.4%となっており、男性にも一定数の被害者を出している。

 それにもかかわらず、男性の相談に関しては、そもそも相談する場所及び支援シェルター自体が存在していないという様なことがあり、支援の差が浮き彫りになっている。

11-2 性犯罪に関して


 性犯罪に関しては、かつての強姦罪規定は女子のみに適用されるとされていたのではあるが、現代では法改正にされていることによってこの問題は解消している。

 ただし、性犯罪に関する問題はこれだけではない。近年における性犯罪の法改正議論における「暴行・脅迫」要件の撤廃及び不同意要件は差別的な対応ではないかという批判もある。

 そもそも、人間の内心というのは外側から見ただけでは、わからないだけではなく一定の証拠を示すというのは難しい。
 証拠を示すことが困難であるため、不同意要件というのは良くて有名無実なものになるのだが、ここで立証責任の転換(に近いもの)を行うことによって、積極的に被告人側に立証させようという動きがあったりする。

 当然、これについては疑わしきは被告人の利益になどといった原則に真っ向からぶつかることであり、冤罪の温床になるのではないかとの批判がある。もちろん、これらの要件を女性団体などが主だって主張していること、および性犯罪が主に男性から女性に向かって行われることの現状を考えると、男性が法原則すらまともに適用されないことが生じるのではないかという懸念がある。

 また、性犯罪関連には再犯率や暗数などといった高さが信じられているような話も存在するが、現実問題として再犯率は犯罪白書を参照にしても他犯罪に比べても率が低いことや、暗数そのものに関しても、その定義や範囲をを正確に取られられないゆえに、客観性がないとの反論がある。

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 こういった事実とは異なるか、事実として曖昧な状況にあるにもかかわらず、性犯罪の特別視を行っていること自体、先の不同意要件の適用される属性を考えると、誤った認識そのもの自体が性差別的な考えにつながるのであり、現にこれが拡張して、女性専用車両といった別の性犯罪対策にまで及んでいることからも、性犯罪における差別というのはかなり根深い内容になっている。


12 トランスジェンダーに関して

 男性差別とは直接関係があるものではないが、関連性が大きいものとしてはトランスジェンダーの問題が存在する。

 基本的に問題となるのは、更衣室やトイレにおけるトランスジェンダーの受け入れなのであるが、この部分は特にフェミニズム側からの対立が顕著である。

 反対論としては、単なる性的羞恥心にとどまらず、トランスジェンダーそのものもしくはなりすましによる性犯罪の懸念を表明しているのであるが、この構造は女性専用車両の理屈が全くそのまま利用されている面もあり、男性差別的な構造が波及している側面がある。

 スポーツ分野においても、トランスジェンダーの選手が女子枠で参加することによって、上位成績を独占しているのであるが、この部分に関しても火種になっている。

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13 軍隊関連に関して

 軍隊に関しては、日本には自衛隊が存在しているが、徴兵制といったものはない。世界に目を向けると、徴兵制度を採用している国は多く存在しているが、ほとんどが男性のみに課されており、女性はイスラエルやスウェーデン、ノルウェーなどというようなわずかな国を除き、兵役義務を免除されている。

 男性だけが義務を負わされていること自体もおかしいともされるが、更に追い打ちをかけるような事例もある。

 例えば、韓国には兵役義務を負えた人物に対して軍加算点制度というような制度(公務員試験で試験の得点を数%加算する者)があったが、男女平等を妨げるという理由から1999年に憲法裁判所から違憲決定が下されている。韓国のフェミニズムからは、女性も義務を負うというような主張はあるが、実現されていない状況が続いており、権利だけ奪われ義務だけ負う状況が残ってしまっている。もちろん軍役についているときには、勉学などをすることは難しいので、進学や就職に不利になっている面もある。

 また、ウクライナとロシアが戦争した際には、国民総動員令により、18〜60歳の男性市民の出国を全面禁止にされると言った措置をとられ、男性であるが故に戦争に参加することを拒絶できないと言ったことが起こっている。

 それにもかかわらず、女性差別の面を全面的に押し出すことも珍しくはない。

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14  災害時における男女の取り扱いにおいて

災害時においても男女で扱いに差が出てくる場面がある。

そのことがよくわかるものとして東日本大震災があるのだが、女性側に毛布配布を優先的に行うケースが確認されることや、女性専用のスペースを設置しているという話を見かける。


しかも、震災時に関連するデマとして犯罪関連のものが挙げられるが、性犯罪に関してはかなり甘い報道などがあり、本来デマとして処理された事件すらも都合の悪い部分は報道しないで、まるで事実かのように報道していることもある。

従来、不確かな情報をもとに判断することは悲惨な事件や差別につながる行為であると言われてきたものである。

実際に事件があったとしてもそれは確定するまでは、予断と産む行為であるので広めること自体控えられるべきであるが、それを防ぐことを放棄していると判断できる。

また、事実確定していないものであるにもかかわらず、事実であると判断し、対策をとるという行為は、まさに差別だと指摘されるべきである。

だが、女性専用スペースの設置を不確かな性犯罪の問題を元に拡張してしまっている。

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15 マスキュリズムそのものに対する扱い

 マスキュリズムは、男性の人権を考え性的な役割からの自由を主張していることなどから、基本的にはリベラル側の勢力に該当する。
 しかし、特に日本におけるマスキュリズムの扱いというのはリベラル側からは場合によっては保守的な勢力であるという切り離しが行われるほど、強烈な差別意識がある。

 フェミニズムと利害関係が近接している分野であることからも、対立する場面というのはあるのだろうが、いくら対立するからと言って根本的な立ち位置まで変化するのは、従来の定義や反応からは考えにくい。

 権威勾配、非対称性などといった差別かどうかの切り離しも積極的に行われており、ここで紹介してきたケースも含めて、リベラル側こそが保守的ではないだろうかという反応を示すこともある。立ち位置が同じであるにもかかわらず、到達点はまるで真反対なのである。
場合によっては保守のほうが親和的なほどで、従来の保革構造というのはマスキュリズムにおいては崩壊している。

 おそらく、マスキュリズムがリベラル的な価値観と呼ばれること及びリベラルを対象とした蔑称で呼ぶようなケースがほとんどないのは、思想の立ち位置にまで及ぶ差別意識と思考の混乱が原因となっているのだろう。

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