現代における女子大の存在意義について
女子大学については、かつての時代においてはその必要性があることを理由に、その存在意義を持っていたわけではあるが、現代においては存在意義そのものに疑問を呈されるようなことが多くなった。
昔は数多くの女子大学が存在したが、時代が過ぎるにつれて女子大だったところも廃止や共学化が進んできており、徐々にその数を減らしていっている。
もはや女子大学は不要ではないだろうか?私自身としても、すでに過去の役割を終えている代物であり、新しい時代の要請にかんがみれば不要だと考える所存である。性差別的な部分もあるが、それ以外にも存続論に対する強い疑念が多いのではないだろうか?ともいえる。
それでもなお、現代において複数の存在意義を求めようとしているが・・・そのほとんどはそもそも有用性に乏しいといえるだろう。
1 現代の男女別進学率からみる必要性
かつて、女子大学が必要である理由としては、女性の社会進出が少ないという理由があげられていただろう。確かに、女性に学問は必要なというように考えられていた医大なら、考えとしてはわからなくもない。
津田塾大学、東京女子大学、東京女子医科大学といったものも、女性が大学進学の制限を受けていた時期にできたものであり、一定の必要性を考えることはできた。
しかし、現代では女性の大学進学に関しても当たり前のようになっており、大学進学率だけ見ても男女に1割の差もなく、短大を含めれば年度によっては女性のほうが進学率の高さを証明できるほどだ。
現代において、この論点を持ってくること自体が間違いである。時代の要請に沿っていくのであれば、検討するまでもないだろう。
2 女子進学を阻むものがあるという論理
近年に起こった事件をもとに、女性の進学はまだ社会から妨害を受けているのだからこそ、女性だけの受け入れ先が存在することには合理性があるという判断を展開するケースがある。
記憶に新しい方も多いだろうが、医学部において女性や多浪をしている人に対して、一定の点数を引くことをして、男性を優位にしているということを裏で行っていたのである。
しかし、入試不正があったからといって、女子大学を存続させるべきということには必ずしもつながらない。
通常であれば、不正の責任はその不正をしたものに責任を帰すべきであり、他人がそのツケを払うかのようなことをする必要はない。また不正部分を是正することによって公平性を整えられるのであれば、それで目的は達成できることだ。
個別に対処するだけで十分な問題を、全体的な問題としてとらえて是正させることは、かえって不平等な状況を作り出す懸念もある。すでに大学進学率がほとんど変わらなくなってきたことを踏まえれば、なおのこと特別に維持するのは無用ではないだろうか。
3 理系関連の進出に関して
女子大学が必要とされる理由を探している際に見つけたものだが、女子大学が必要とされている理由として、理系分野に進出しないことをカバーする役割があるのでは?という意見である。
現在の日本においても、理系分野に女性はほとんど進んでおらず、OECDの中でも最低レベルとなっている。原因にはいろいろと考えられることが多いが、数値改善のために女性の理系分野サポートを考えるべきであろうという側面も主張している。
しかし、女子大については今の今まで理系関連の学部が少ない傾向がある。文系学部が大半という女子大学も珍しくなく、理系関連の学部があっても、機械や工学系の学部がないというようなことも。
これから作るという提案もあるだろうが、今の今まで作られなかったことをみるに、大学側もそういった意欲に乏しいのではないか?また、経営戦略的も女子学生がそういった分野に入ってこないことを知っており、簡単に踏み切れないことをよく知っているのではないか?
既に理系分野は入学できるように開かれている状況であり、どうしてもというのであれば既存の大学を利用すれば十分ではないか。それで十分だろう。近年、アファーマティブアクションを強引に推し進めていることも考えれば、あえて求める必要性は乏しいだろう。
女子大学の存在が理系関連の受け皿になるというのは考えにくい。
4 女性のリーダー論という主張
女子大学不要論が出るか出ないかにかかわらず、女子大学は女性リーダーを育成するために必要なものではないだろうか?という考えがある。女子だけの環境下で育成することによって、リーダーシップを養わなくてはならない。
というものである。調べてみると、口をそろえてそういったことを主張される。ただ、こういった論理についても疑問が多い。
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