私の「甲子園」
今年も夏の全国高校野球が始まった
今回で106回大会
8年前98回大会に甲子園に家族で観戦しに行った事を書きます
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私の父は元高校球児
埼玉県の学校で、当時1県1校出られなかった時代
三年生の夏、埼玉県の代表となった父の学校は隣県の優勝校と代表決定戦をやり勝った方が甲子園出場
そこで敗退し、あとひとつで甲子園の夢を逃した
先にも綴っているので詳細は省くが、私は小学生の頃から希望の高校がありそこで甲子園に出場するのが夢であった
私が中三の時意中の学校が見事甲子園出場を決め、父と応援に初めて甲子園を訪れた
甲子園球場を見た父は小走りで球場に近づき、そこに張り巡らさていたツタを触りながら下を向いてポロポロと泣き始めた
今となれば良く理解できる行動だが、当時の私は
いい大人がみっともねぇな
恥ずかしい
位に思っていた
その半年後に私はその高校に進学し、甲子園出場に命を燃やし三年間を過ごした
私は三年間レギュラーになる事はなかったが、一年生秋から一度もベンチを外れること無くチャンスを貰いながら潰してきただらしのない三年生になっていた
東東京大会決勝
勝てば甲子園の試合
結果は大差をつけられて敗退
あとひとつが届かなかった
結果父と同じ、あとひとつで甲子園には行けなかった
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時は流れ、今度は私の息子達が野球を始めて長男が中一、次男が小二の時、子供達たっての希望で甲子園に行く事になる
そこで自分が中三の時の父の姿を思い出す
阪神甲子園駅を降りる
甲子園球場が目の前に現れる
緑に張り巡らさたツタが…
ない
去年改装工事の為取っちゃっんだっけか
まぁ、いい
球場の中に入る
26年前父と見た時と全く変わらない、大きなキレイな球場に圧倒される
ん?
ワクワクはするけど感傷的には全くならない
やっぱりこんなものか…
私は甲子園出場が夢であってプロ野球選手になるのが夢ではなかった
だから、予選の決勝で負けた後は悔しくて悔しくて暫く甲子園は観られなかった
今では平気で観るが、実は未だに開会式がまともに観られない
甲子園で優勝する為にやってる学校はほんのひと握り
殆どの学校は「目指せ甲子園!」なのだ
だから開会式こそ甲子園の総集編
ここを目指して泥水をすすり、血と汗と涙を飲んで頑張ってきたのだ
一校も欠けていない開会式は、羨望と悔しさの混ざる正に「聖地」であるから
そんな事を思い出しながら家族四人並んでアルプススタンドに座る
試合前のシートノックが始まる
途端に私の目から大粒の涙がポロポロとこぼれた
自分でも訳分からない状態であったが、これから試合を始める真っさらなユニフォームでグランドを走り回る選手が眩し過ぎて見てられない状態になったのだった
まだ勝敗の決まらない、両チーム揃ってのシートノックが羨ましくて眩しくて…
情けなくポロポロと泣く私の横で子供達が
「みっともねぇな」
「知らない人のふりしよう」
ん?
あの時と同じだ!
子供達の気持ちが痛い程良く分かる発言に今度は思い切り笑ってしまう私
あれから8年
次男坊が高校球児となり、甲子園を目指して日々真っ黒になりボールを追いかけている
親子二代あとひとつで涙を飲んだ夢の舞台
頼んだぞ三代目!
この時期になると思い出す
私の「甲子園」
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