「親友」
筆を持った今日という日は、偶然にも親友の誕生日だった。
「親友」
親友という響きは、どこかちょっぴりドキドキする。
恋愛とかそんなものではないけれど、好きな異性に言うよりかは、特段地味に、しかし確実に緊張感が走る。
「わたしの親友がね…。」
初めてそう言葉にしたのははるか何年も前。
数秒後、内心はちらりと周りの目を気にし始めた。
当の親友は、わたしの「親友」という言葉を聞いて、喜んでいるのか、嫌がっているのか分からない。そうして初めて「親友」がいかにあやふやで一方的なものなのかということに気がついた。
友達が友達であり続けることは大きくなる程に難しい。入れ替わりという不可抗力がつよすぎる。
さらに、恋人が恋人になるには、何度も約束っぽいことをするけれど、親友にはそれがない。
ぼんやりした境界線の合間で「きっとそうよ」と言い聞かせながら、今日までその言葉を信じている。
お誕生日おめでとう。親友のあなたへ。