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40のトモダチ その④

19歳でハシカ、39歳でおたふく(仮)。


どんより曇り空の日に腫れた顔して何処いこう。耳鼻咽喉科からとぼとぼ一旦会社に戻り事情を話してその日はテレワークに切り替えさせてもらう。
(脳内BGM:サンサーラ)

世間がコロナにならないように神経とがらしている中で、この歳でおたふくかもしれないと怯えている自分。何やっとんや自分。

帰りの電車の中でマイナスな思考はどんどん加速。

一度延期になりやっとの叶う振替えライブ。
すぐに予約連絡くれた常連さん。新曲もやっとライブで出来るとわくわくしていた分、今の自分がみるみる憎たらしくなる。
みんなに迷惑かけてしまう。チケットも予約完売しているのに。ああ、明日夜のバイトも休まんと、かわり探さんと。なんで。悲しい。やばい。カメラ撮影頼んどるのに。またふくらんどる顔。こわ。変。どーにかせな。なんなんこれ。と色々な感情が一気にパーンと曼荼羅の絵みたく頭一面に広がった。

急激に落ちてく気持ちは一旦ほったらかし、もし検査結果がおたふくだったら。もし私がライブに出れなくなった時はの対策と、そのパターンを猛烈なスピードで同時に考えていた。

ライブまで時間がない。
「もしもチダがおたふくだったら」の相談を
主催カナちゃんとメンバーにLINEで伝えた。

皆それぞれ驚いたものの気持ちは常に前向きに切り替えていただき、早い段階でもしもの場合の対策はまとまった。
当日予定していたバンド写真撮影も延期をお願いすることに。

これで決まり。よし。
あとは安心しておたふくの結果を待てる。

という所まで準備が整って一息つき、さて。
となって初めて我に返った。
やややや、イヤや。絶対にライブでたい。絶対絶対でる。でるし!でれるし!と強く思った。

そして一番肝心なことを思いだす。
小さな耳鼻咽喉科での血液検査だったので、
「結果はまた来週に」と言われて、色々なショックで思考停止、そのまますんなり帰ってきてしまっていた。
やややや、ライブ今週の土曜やし!今日火曜やし!と慌てて病院に連絡し大至急で結果をください。追加料金いくらでも払いますから(たぶん値段によりけりもごもご)とお願いした。

「なんとか早く結果がでるよう頼んでみます。」と言ってもらえて少しホッとしたけれど、
それからは己を祈り誓い懺悔しながらスマホでずっと「おとな おたふく 症状」と検索をしまくり「え、私やんこれ(症状)」と落ち込んで、腫れた顔を撫で、いやいや絶対に違う。と言い聞かせて、またふりだしに戻り、結果が出るまではため息をついて過ごした。

ライブに出れるか出れないかのジャッジは検査結果次第。
その結果が金曜日までにでなければ。。
考えるたびにゾッとした。


耳鼻科で「とりあえず早いとこやっつけましょう!」と出してもらった抗生物質が効いてか、
右側のふくらみは当日より翌日それよりも翌々日と検査結果を待たずに、ひとめでは分からないくらいまで腫れはひいていた。

おたふくと症状がにている『耳下腺炎症』の可能性が濃厚になってきた。
ただ、熱のでないおたふく風邪も稀にあるらしく気はぬけないままだった。

どんなに遅くとも金曜日昼までには、ライブ出演可否を決断しなければ。 

「ファズピックスチダ、おたふくによりライブ出演キャンセル」なんやそのお知らせ。
ダッサ!ダッセーと顔の腫れがひくごとに、
にっくきおたふくに対して気は大きくなっていき、ぜってぇぇに違う。オラおたふくなんかじゃねぇだ。許さねえ。とメラメラおたふくに宣言した。


(続きます)
【写真:おたふく(仮)疑いあり日の弁当】

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