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『桜雨』に挑戦する。 雨の日にでかける。

さくら‐あめ【桜雨】
桜の花の咲く頃の雨

https://youtu.be/8Bmk9yegL0E

2016年3月にリリースされたヴィジュアル系ロックバンドSuG(2017年解散)のミニアルバム『VIRGIN』に収録されたバラード『桜雨』に衝撃を受けた。

以前にSuGの楽曲を聴いたことがある。ビジュアル系バンドっぽいアップテンポなロック曲を歌う当時のイメージのまま聴いてしまったのも一因だろう。イントロで流れるピアノの音からすでに引き込まれていた。

映像の話になるが、ボーカルの武瑠さんがフカツマサカズ氏と共同で監督として制作にあたっている。
映画『シド&ナンシー』をテーマにストーリー仕立てになっていると、当時のインタビュー記事を読んで知った。ファッションブランドなどを手がけ、マルチな活躍をされる武瑠さんのこだわりの詰まった世界観が、映像という形でより強烈に伝わる。
(コンセプトも興味深いのでぜひインタビュー記事を調べてみてほしい)

俳優の北村諒さんと当時アイドルだった篠崎こころさんの2人が恋人役として出演している。過激なシーンも多々あり、公開当初は話題であったようだ。
お2人の人形のようなはっきりとしたお顔立ちとストリートファッションの衣装は、さながら『NANA』のキャラクターが飛び出てきたかのよう。淡いスモーキーピンク色の霞がかる映像でビジュアルに甘さが加わってよく馴染む。
__長くなったが本題に入りたい。

雨の日の桜を見たことがありますか?


桜が咲く時期は天気がとても荒れる。
春の嵐とは言ったもので、週末の花見は晴れるか、入学式まで桜が待つか、など桜を楽しむために一喜一憂するのではないだろうか。雨風にさらされる桜を遠くから見ては、「明日にはお花全部落ちてしまうな」などの感想を持ったことくらいはある。

この作品を見た後、「雨の桜を見にいかなければ」と強く思った。

しかしこのMV、ロケ映像に『実物の桜』がどこにも見当たらないのである。(強いて言えば、SuGメンバーの演奏パートにサブリミナル並みの時間で桜吹雪が投影される)
花見のシーンも無ければ、雨に打たれるシーンさえ無い。

『桜雨の中で僕ら2人ぼっち』

何度も歌われるこのフレーズに、映像を見ながらなんとなく頭の中でずっとモヤがかかっていた。見たことあるけど覚えがないような、これが私の知る『桜雨』だという自信がなかった。

雨だから桜を近くで見上げることもなく、あるいは青空の下で桜を楽しめない忌避感のせいではっきりと記憶にすら残っていなかった気がした。

雨の日の桜を狙うのは存外難しいのではないか。

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曲を聞いてすぐ、桜の終わりに大急ぎで撮った名残があった。とてもMVに影響されまくった"いい感じ"の加工を施してある。(2枚目の山吹は、もはやジャポニカ学習帳に載せたい気持ちが強い)
たしかこの時のコンディションは雨上がりの日没直前。自分が休日で尚且つ不慣れな一眼カメラを扱えるくらいの雨で、日中。とまずは仮定したら、こんな状態で挑む羽目になった。
慣れない操作やフォーカス、狙いたい構図もよくわからないまま挑んだ。正確にはずっと日没と戦っていたような気がする。来年へのリベンジを強く誓った。

準備をして挑んだ翌年、私は合羽を着た。

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ソメイヨシノは集合体であればある程、淡いピンクが映えてくると常々思う。狙うは満開の時期。
フォーカスを当てる手前のみならず、背景までピンクになるのが満開の時期の良いところ。
この日は大粒の雨が降っていて風が弱かった。カッパを着て、傘をさして、レンズの水滴の面倒を見て、『桜雨』を爆音で聴きながら撮影した。
3枚目は足元に目を向ける余裕すらあったのだと伺える。

暴風雨の方がむしろイケるのかもしれない。

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撮影の前日にあげたストーリーの気が狂っていた。これくらいの気合いと準備が必要だと年々感じている。

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雪が降りそうなくらい冷たい雨風が強かった。少数精鋭みたいなデータが手元に残った気がする。
自分の中で構図を見つけるスピードも上がった。


今年もそろそろ満開の頃合い。

この作品に出会えていなかったら、雨の中カメラを持って出かけようとは思わなかっただろう。
桜の季節の雨が待ち遠しいなんて思うことはなかっただろう。
晴れの日にしか楽しめないのではなくて、実はどんな状況でも楽しくできるのだと教えてくれたような気がする。

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