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過去に虐待されていた、家庭をもったら、虐待をした【里親日記】

「やい息子、里親は何をもって成功となるのかい?」

急にそんな問いかけを母親からされた。

私は現在、里親家庭として小さい女の子を2人を育てている。
養子とは違い、成人すると離れてしまう里子に対し、どのように接し、どう導くかというのは、各家庭ごとに悩むところだと思う。

「負の連鎖を断ち切る事が出来れば、成功だと思う。」

母に返した返答である。

事実、児童虐待は連鎖する事が問題視されている、虐待をする親自身が、過去に虐待を受けているケースは多いそうだ。

養育する子どもたちが、大人に成り結婚し、家庭を築いた時に
家族を愛する事が出来るように。それが私たち夫婦の共通認識だ。

「実はね、親戚に虐待をされていた人がいて、、、」

先日の親戚の法事の際、久しぶりに会った従妹の疲れ切った顔を見て、見かねて話を聞いたそうだ。

 実は、幼少期から虐待を受けていて、今まで誰にも話せなかった、、、
良くある話ではあるが、彼女は50歳を過ぎている。

 飛び出すように若くして結婚し実家を出たが、これがまた、夫からのDVに怯える日々だったそうだ。

 専業主婦だったが耐えきれ無くなって5年前に離婚、行く当てもなく、単身で実家に戻ったのだが案の定、召使のような扱いを受けているそうだ。

自分を虐待していた実の母の介護、会話は一切なく、毎日がキツイ、、と言っていたそうだ。

「なぜ?暴力男に子どもが付いて行ったのか?」

母(シングルマザー)の疑問はそこだった。
子どもは母を慕うもの、と疑いが無い。

家庭内暴力を振るう父親、怯えて傍観する母親。
殴られる子どもから見える視界は・・・

「私を助けてくれなかった母親、憎し」

となったんじゃないの?と言うと

「あ・・・」と気が付いた様子。

自身が虐待をしなくても、虐待と同じ事。
こんなケースも少なく無いと思う。

虐待を受けた子どもが、どうなったら成功(幸せ)なのか?

子どもを愛する心と、親の愛情を求める気持ち。

シンプルだけど、難しい。

虐待されていたのに一生懸命介護をするのは、
いつの日か、母から「ありがとう」の言葉を貰える日を期待しているのが、
叶わないと知りながら、離れられない理由じゃないのか。

「だって、叔母さんはもう先長くは無いから、亡くなったらあの子ひとりぼっちになってしまうんだよ?」

そう心配する母。

「残酷だけど、どうする事も出来ないよ、彼女が選んで来た道だから」

「それは解る、だから聞いたんだ、里親として虐待児だったらどうするのか?どうすれば幸せになれたのか?残りの人生に希望を持たせられるのか?」

『実親との縁切り、そして自立した生活、孤立しないコミュニティへの所属』 

5歳児の里子とまったく同じ対処法が頭に浮かび上がり、思わず一人で納得、児童相談所のやってる事はこういう事なのか、と。

「寮が有る住み込みの仕事をするれば、まだ間に合うんじゃない?」

「それは彼女は拒否する気がする・・・」

「結局、助けてあげたくても当人次第だよ、他人の限界」

「冷たい社会だ、ぐすん」

お節介だと言われても、他人に干渉していく母の姿、
その背中を見て育った私はこうなった。

負の連鎖と言うけれど、正の連鎖もある事を忘れないで。

社会は裏と表、冷たい人もいれば、温かい人もいる。

大丈夫、なんとかなるような気がするよ、と

母との電話で思いました。

きっと大丈夫、そんなに悪いもんじゃないですよね、この世の中。

おわり

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