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くりかえし、くりかえす

昨夜、びっくりするほど感動したので、なんでだろう〜?と思って、今日の隙はすべてそれを考えつつ過ごしてみたら発見がひとつあったのでまとめたいと思います。

同時に、上記の記事で書いた物語の圧縮についても関係することのように思えたので、そのあたりにも触れてみたいと思います。

このアプリには、キャラクターごとの物語を見聞き読みすることのできるストーリーシステムが複数あることは以前述べました。その中の一つに、短編小説の「秘話」があります。ほかのストーリーシステムは解放条件が説明されているのですが、この秘話は解放条件は秘密になっています。

秘話はすべて、6節で構成されています。
横書きの本を読んでいるようで、読書に限りなく近い形式で物語を読むことができます。

書籍と異なる点は、秘話の一つ一つに対して、1曲づつ音楽が設定されていることです。それらの音楽は、読み進めた速度や読んでいるページに影響されず、ただ1曲だけをひたすらに繰り返します。

映画やゲームのように、場面転換で曲が切り替わったり、効果音が入ったりすることはありません。曲がフェイドアウトすることもフェイドインすることもありません。

一つの曲をただ最初から最後まで流し、終わったらまたすぐに最初から曲が最初からはじまります。

画像の秘話は、中でも曲の抑揚が強いものが使われていて、まるで映画のサウンドトラックを聴きはじめた時のような印象を最初に受けました。

物語を読み進めていくと、次第に、わたしは、物語の経過を追いながら、音楽にも自分の感情がひっぱられている感覚を覚えました。

それは、文章とは連動しておらず、むしろ音楽の方が先にわたしの感情を揺さぶってくるので、物語の軸の行ったり来たりするような、物語のスピードを追いかけたり、追い越されたり、また追いつかれたりするようなとても不思議な、これまで得たことのない体験でした。

これから大変なことが起こる予感、この先、救いがないことに襲われる予感、それでも懸命でいることをやめなかったこと、逃げなかった選択、喜び、驚き、悲しみ、戸惑いなどなどなど物語の中で起こったことと、これから起こることが、1回物語を読み終えるまでの間に、何度も、何度も、何度もくりかえしリフレインするんです。

くりかえされる物語は圧縮してゆくんだと思います。音楽をくりかえすことで、時間が圧縮されてる感覚を得られるってことなのかな?とも思います。

そこで、この秘話の音楽に注目してみることにしました。まずは秘話の中でとりわけ感動した二編だけではありますが。

わたしは音楽の作法に詳しくはないのですが、おそらくは秘話の6節に合わせて、音楽が構成されているようです。
もともとあるアプリのキャラクターに合わせて作られた曲たちをベースにしつつ、この秘話に合わせてアレンジされているように聴こえます。
音楽のプロットと物語のプロットが同時に感情に訴えかけてくるってわけです。そういうものを、わたしは初めて経験することができました。

これらは、このアプリが1人のキャラクターに特化するためにシステムの設計を考えていったから出来ていることなんだと思います。
物語の設計の根本が、既存のものとは違うからこそ、成功する発想なんだと思います。
1プロットに50プロットを詰め込める未来は、こういった設計のずっと先にあるのかなと想像します。

物語の圧縮は、14万字の本を1万4千字の短編にすることを可能にするってことです。

ヤベくない?以外の感想が持てません。

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