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Bunkamura ザ・ミュージアム「イッタラ展 フィンランドガラスのきらめき」観桜

Bunkamura ザ・ミュージアムで開催されていた
「イッタラ展 フィンランドガラスのきらめき」を観てきました。
会期終了後ですが、感想をまとめてみたいと思います。

展覧会の概要と訪問状況は下記の通りです。

フィンランドを代表するライフスタイルブランド、イッタラ。1881年にフィンランド南部のイッタラ村に設立されたガラス工場からスタートした同ブランドは、アルヴァ・アアルトやカイ・フランクらフィンランドデザインの発展を牽引した建築家やデザイナーとともに歩んできました。美しさと機能性をすべての人へ提供するという彼らの思想のもと送り出されてきたプロダクトは、今なお世界中で愛され続けています。
本展はイッタラ創立140周年を記念し、フィンランド・デザイン・ミュージアムが2021年に開催した展覧会を再構成し、更に日本展ではイッタラと日本の関係に焦点を当てた章を加えて展開します。イッタラの歩みを象徴する20世紀半ばのクラシックデザインのガラスを中心に、陶器や磁器、映像やインスタレーションを交えた約450点を通してその技術と哲学、デザインの美学に迫ります。イッタラのプロダクトの歴史を見れば、ひとつのブランドとしての枠組みを超えて、デザイン史、フィンランドの文化と社会情勢、人々のライフスタイルの変化などの背景と深く結びついていることが明らかになるでしょう。時代を超えて今なお多面的に輝き続けるイッタラの世界を、ぜひご堪能ください。

展覧会公式ホームページより

【概要】
  会期:2022/9/17(土)~11月10日(木)
開場時間:10:00-18:00(入館は17:30まで)
  料金:一般1,700円、大学・高校生1,000円、中学・小学生700円

展覧会公式ホームページより

【訪問状況】
   日時:日曜日午後
 滞在時間:14:30~16:00
 混雑状況:かなり混んでいて入場規制がされていました。
      チケット購入時に整理券をもらって指定の時間に
      入場となっていました。
感染症対策:入口で検温、手指の消毒
 写真撮影:入口と出口に展示された2点のみ、他は不可。

展示構成は下記の通りでした。

1 イッタラ140年の歴史
  1881年~ イッタラ社の創業期
  1930年代 カルフラとイッタラ アアルト夫妻との共同作業
  1940年代 ガラス・デザイン・コンペティション
  1950年代 サルパネヴァとiロゴ
  1960年代から1970年代 テクスチャーガラスによる革新
  1980年代 企業合併の時代
  1990年代~2000年代 イッタラ、世界へ市場を拡大
  今日 ライフスタイル・コレクションの発売
2 イッタラのデザイナーたち
  アイノ・アアルト
  アルヴァ・アアルト
  カイ・フランク
  タピオ・ヴィルカラ
  ティモ・サルパネヴァ
  オイバ・トイック
  アルフレッド・ハベリ
  ハッリ・コスキネン
3 イッタラの哲学 13の視点
  素材としてのガラス
  職人の技
  型で作る
  マジック・リアリズム 自然や精霊との対話
  気候と文化
  陶磁器とガラス
  アーキタイプ 基本の形
  カラー
  戦後フィンランドの外交とデザイン
  広告イメージ 世界観を伝える
  ミメーシス 自然の模倣
  連ねる、重ねる
  リサイクルとサステナビリティー
4 イッタラと日本
  カイ・フランクと日本
  1950年代から60年代の日本におけるフィンランド・デザイン展
  イッタラ×イッセイ ミヤケ
  イッタラ×ミナ ペルホネン
  隈研吾 イッタラ表参道ストア&カフェのデザイン
5 インスタレーションなど
  アアルト ベース
  バード バイ トイッカ
  カステヘルミ

展覧会公式ホームページより

例のごとく9月に放送された「新美の巨人たち」を見て
興味を持ちました。可愛いうえに場所を取らない、持ちやすいなど
機能性も備えていて、面白そうだなと思いました。

撮影可能エリアより

展示はイッタラの歴史、代表的なデザイナーによる作品の展示、
日本人デザイナーとのコラボレーションの紹介などバラエティに
富んでいました。作品を並べるだけでなく、イッタラの企業理念を
感じられるところが興味深かったです。デザイナーがカリスマ性を
発揮して奇抜なものを作るのではなく(むしろ企業理念に合致した
デザイナーを起用している)、工場の職人と協力して生活に
密着したものを作ろうという姿勢が印象的でした。
しかも140年の歴史の中で多くのクリエイターの時代を経ながら、
その姿勢が貫かれているところが稀有だと思いました。
日本の近世以前の工芸品で作者名不詳のものを見ると
「こんな凝ったものを市井の職人が作ってたなんて昔の人って
ストイックだな~」と思うのですが、それに近しい職人魂を感じました。

日本人の感性との親和性も印象に残りました。
自然からインスピレーションを得たデザインも日本人好みだと
思いますが、アアルト・ベースの歪な形状は茶道具の詫び寂びと
通じるものを感じました(底が洗いづらそうだなというのが
気になりましたが…)。一方でオイバ・トイッカ「カーモス(極夜)」、
「ミットゥマーリ(夏至)」、「ロスプーット(春の雪解け)」、
「ルスカ(紅葉)」といった四季をテーマにした作品からは
日本とはまた違う色彩感覚が感じられ、風土に根差した
作品であることが伝わりました。

ガラスならではのクリアな色彩も魅力的でした。
特にカイ・フランク「タンブラー《キマラ》」は
展示台にガラスを通過した赤や青の光が反射しているのが美しく、
幻想的な空間を演出していました。表面はなめらかに見える作品も
影を見るとそれなりに凹凸やつなぎ目があることが分かり、
一つ一つの作品の個性が感じられました。どんな角度だと
色がどう見えるかを確認するためのカラーサンプルも
展示されていたのですが、どんなところを意識して製作に
臨んでいるのかが分かり興味深かったです。
見ていると自分でもイッタラを揃えてみたいな~とも思うのですが、
照明にもこだわらないといけなくなりそうです(笑)。

撮影可能エリアより

北欧の文化の新鮮さと日本人の感性との相性の
良さの両面を感じられる展覧会でした。
巡回先にお住いの方は是非!


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