見出し画像

斜里岳

日程:2005年7月2日
メンバー:ぼく、Tさん

斜里岳(1,547m)へ登ってきました。
今回も、先週に引き続き、ホントウの登山初心者、"Tさん"を連れての2人での登山です。
この際、単独では寂しいぼくの登山仲間に引き込んでしまおうかと思います。
(内心は、初心者をガイドしての登山は、ぼく的には事故やケガ等、非常に気を遣って緊張します)

「おはようございまーす!」
清岳荘の管理人さんと"やあやあ"とご挨拶して、愛犬エルちゃんとも"じゃれあい"ました。
管理人さんとは、高体連でも共に審査をしたこともある方です。
とても安心感が感じられる優しいお人柄で、精鋭的な北見山岳会所属の、登山のベテランさんです。
「ゆっくり写真を撮りながら14時頃には下山しますね」と言い残して出発。

清岳荘の登山口発は7時15分。
天候は晴れ(のちに曇り)、気温15℃。
立派で新しい清岳荘は以前より西尾根の末端に建設されたため、少し余計に歩かなくてはなりません。

鉱物のせいか、やや赤茶けた岩や水質の「一の沢」に出てから、ぴょんぴょんと8回程の渡渉をしながら進むと、沢は雪渓で埋もれています。
すでに渡渉で"Tさん"の運動靴内はベチョベチョに・・・
特に雪渓上では、"Tさん"、普通の運動靴では滑りやすいようです。これから先が心配です。
一般タイムで「下二股」に到着。(下山時に新道尾根コースから合流する地点です)

下二股からは、そのまま一般ルートの「沢コース(旧道)」を、真っ直ぐに進みます。 

ヒン、カラカラカラ…コマドリが鳴いています。
新緑の渓谷での美声は新鮮に響き渡りますね。
羽衣の滝、万丈の滝、見晴らしの滝、龍神の滝、七重の滝、霊華の滝などと現れて、飽きることがないこのコースは楽しくも涼しく高度をかせげますが、やはり、まだ時期的に大部分は雪渓の下です。
今年は残雪が多く、また、雪渓がスノーブリッジ状になっていて、慎重に慎重を重ねての登山です。
雪渓上の歩く位置と沢両岸どちらかのルートを見極めるのに苦労します。雪渓は一日で姿を変えます。
(斜里岳の夏山開きは6月最終日曜日ですが、雪渓のルート取りは、特に慎重に、です)
ぼくの後ろに続く"Tさん"は、ニコニコぐんぐんと軽快順調に登山の様子です。
後半は、シャワークライミングのような階段状の沢を楽しみ、今回の最初の目標地点「上二股」到着。
(下りはここから新道尾根~下二股へと向かいます)
「さて、気合いを入れ直して、いざ頂上をめざしますかー」と、まだまだ元気の良い"Tさん"。

ここからハイマツやミヤマハンノキなどに囲まれた急登の「胸突八丁」。チシマザクラが開花中です。
ステップの切ってある最後の大雪渓をゼイゼイハァハァと登りきり、ようやく「馬の背」に到着。
大雪渓のステップで足元を滑らせずに登り切りました。
ようやくここで一気に視界が広がるも、釧路根室側や知床半島側は、残念ながら雲の中です。

半分だけの視界を望み、溶岩ドーム状の頂上をめざします。途中にある祠で、手を合わせてお参り。
頂上直下は、チングルマ、エゾノツガザクラ、コケモモ、キバナシャクナゲ、エゾイソツツジ等のお花畑です。
周辺は、岩石や砂利が滑り落ちるガレ場なので、運動靴の"Tさん"は、苦戦の登りの様子。
それでも、立ち止まっては構図を構えて小さなデジカメをお花たちに熱心に向けている余裕さです。
さすがに何もかもが新鮮の素人さんですが、何より弱音ひとつ吐きません。

11時10分、ようやく斜里岳の頂上(1,547m)へと、到着。
視界は、摩周湖や屈斜路湖、斜網地区の畑作地帯、オホーツク海までが、雲の中に何とか見渡せました。

2人でゆっくりと頂上からの景色を満喫しつつ、風に吹かれながら、気持ちよく昼食休憩です。

名古屋から単身で来道したという、ぼくたちの5分後に出発した73才のおじさんから、コース案内でお世話になったと、沸かしたコーヒーをご馳走くださり、頂上で正午頃までしばらく歓談しました。
斜里岳は、深田久弥さんの日本百名山のひとつなので、本州からの中高年の登山客さんも多いのです。
団体ツアーもあり、雌阿寒岳、知床羅臼岳、そして斜里岳の連続登山がパックになっていたりもするそうです。タイトな日程ですね。

下山は、運動靴の"Tさん"、捻挫などしないよう、特に慎重に下っていかなくてはなりません。
「上二股」から、ハイマツ帯で大雪山の風景のような新道尾根コースをたどって行きますが、熊見峠までは登りです。(上二股~熊見峠の距離は1,350m)

熊見峠からは一気に、一の沢の「下二股」まで"泥だらけ"の30分の急な下り道です。
沢音が近づいてきて、ようやく「下二股」に到着。
名古屋からのおじさんに、再びコーヒーをご馳走になり、また、いろいろなお話を伺いました。かつて高校山岳部の顧問をなされていた方のようです。
「山でつらいときには、ヒマラヤなどで疲労凍死した方たちの記録や書物を想い出してみるんですよ。
 そこまで死の限界、人間の限界を感じてみるのですよ」、そんな言葉が印象的でした。 

「下二股」からは、午後になり水量の増えた一の沢を8回程、また渡渉しながら、てくてく下山。
ようやく旧清岳荘跡地からの林道に出て、ホッと満心しながら2人で気分よろしく歩きます。
晴天の下、笑顔の管理人さんと愛犬エルちゃんに迎えられて、登山口着は15時20分。
初心者の"Tさん"にケガ等もなく良かったです。ホッとしました。

天候にもコースにも、高山植物にも恵まれ、会話も弾んだ楽しい心に深く残る登山になりました。

新しい清岳荘は立派です
アイドルの愛犬エルちゃん
羽衣の滝
万丈の滝
チングルマ
エゾノツガザクラ
エゾイソツツジ
ハクサンチドリ
キバナシャクナゲ
山頂
熊見峠看板

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?