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藻琴山

日程:2001年8月25日
メンバー:単独

 さわやかな秋空に朝の光が溢れていました。
 今は正午ちょうど。
少し優しくなった陽射しが透明感ある空気に溶け込んでいます。
 午後から職員組合用務があり、遠くの山へも行けないため、朝から何かを振り払うかのように、自分に追われるように藻琴山(1,000m)へと行ってきました。
 家から往復で2時間もあれば、頂上で佇み、ちょっとした山行の気分が味わえるロケーションです。冬季は3時間でそういった冬山体験ができます。

 最近の不摂生な生活の毒素を体と心から出し切りたいことと、無心になりたい衝動があったからで、マス釣りでも良いのですが、釣りはどうしてもいつでも止めて帰られる甘えがあります。
山では、やはり天候や体調の条件に恵まれれば、頂上を踏んで、安全に帰宅することがひとつの行動の目的となります。

 山は、すでにオオカメノキやコケモモに赤い実がつきはじめ、ナナカマドが少し赤葉をしてきています。エゾシマリスがいそいそとハイマツの実を器用
に愛らしく食べ、頬にパンパンに貯め込んでいます。
 ハイマツ、ダケカンバやミヤマハンノキの中に続く小径の回廊はすでに涼しく、やがて眼下一面に広がる屈斜路湖の眺望が飛びこんできます。遠くに阿寒の山々、後ろにはオホーツク海、そし
て端正な斜里岳から知床連山へのパノラマが広がっています。
緑の躍動感と青の力強さの夏の景色から、すでに少しそれらも気持ち優しい薄い色合いに変わってきています。

 こちらの山の景色の良いところは、その360度の地平線に大地がそのままの起伏と地形で望めることでしょう。例えば、藻琴山では東北海道の約半分の広大な地形と平原、山々、海原の地平線
を見渡すことができ、地球が丸いということが実感できます。
 来月の高体連新人戦審査のための体慣らしもしたかったので、今日はスピード登山をしました。息、足やひざ、肩のどこに最初に苦痛がくるのかヒヤヒヤしましたが、何ともありませんでした。
(この夏、縦走や沢など、ちゃんとした山行をしていないため…)

 登山中は頭の中は無心に白く沈殿しています。ただ、足が自動的に動いていてくれるという感覚です。
もう登山客も少なく、静かな山行でもありました。
さわやかな体感の時間を過ごし、幾分すっきりとしました。こうして、自分を回帰させられる場、つまりは山に癒されているのだと思います。

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