FP2級相続事業承継【その1相続の基本】

相続事業承継

1相続とは相続・・・死亡した人の財産を残された人が承継すること
行方不明の場合には失踪宣告によって相続開始!
2相続人
・法定相続人 ・相続人の順序 ・実子と養子
・相続人になれない人 ・代襲相続
配偶者は常に相続人となる。
その他は順序は・・・①子②直系尊属③兄弟姉妹
3相続分
・指定相続分と法定相続分 ・均分相続以外のケース
・寄与分と特別受益
非嫡出子の相続分は嫡出子と同じ!
4相続の承認と放棄
・単純承認 ・限定承認 ・相続の放棄
限定承認も放棄も相続の開始があったことを知った日から3か月以内に行わなければならない
5遺産分割
・遺産分割の種類(指定分割、協議分割、調停分割、審判分割)
・遺産分割協議書 ・遺産分割の方法(現物分割、換価分割、代償分割)
「協議」でととのわない場合「調停」「調停」でもととのわない場合は「審判」で遺産を分割する
6遺言と遺贈
・遺言のポイント 
・遺言の種類(自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言) 
・遺言執行者
遺言はいつでも変更することができる!
7遺留分
・遺留分権利者と遺留分の割合
・遺留分侵害額請求権
遺留分の割合と遺留分侵害額請求権の時効を確認しておこう
8成年後見制度
・法定後見制度(後見、保佐、補助)
・任意後見制度
内容を軽くみておこう

1相続とは
相続とは、死亡した人(被相続人)の財産(資産および負債)を、残された人(相続人)が承継することをいいます。
相続は、人の死亡によって開始します。なお、行方不明等により生死が一定期間明らかでない場合には、失踪宣言によって死亡したとみなされます。

2相続人
①法定相続に
民法では、相続人の範囲を被相続人の配偶者と一定の血族に限っています(法定相続人)。
②相続人の順序
被相続人の配偶者は常に相続人となります。また、血族相続人(被相続人と一定の血族関係にある相続人)には優先順位があります。

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③実子と養子
実子と養子は、どちらも子として第1順位で同じ扱いとなります。
なお、養子には普通養子と特別養子があります。
普通養子:養子が実父母の親子関係を存続したまま、養父母との親子関係をつくるという縁組における養子
ポイント☆養子は実父母と養父母の相続人となる
特別養子:養子が実父母との親子関係を断ち切り、養父母との親子関係をつくるという縁組における養子
ポイント☆養子は養父母のみの相続人となる
    ☆未成年者を養子とする場合は、家庭裁判所の許可が必要
     →ただし、自分または配偶者の直系卑属(子や孫等)を
      養子とする場合には、家庭裁判所の許可は不要
④相続人になれない人
相続人の地位にある人でも、次の場合には相続人にはなれません。
相続人になれない人
◆相続開始以前にすでに死亡している人
◆失格事由に該当する人
→被相続人を殺害したり、詐欺や強迫によって遺言状を書かせた場合など
◆相続人から廃除された人
→被相続人を虐待する等の場合で、被相続人が家庭裁判所に請求をして、その相続権をなくすこと
◆相続を放棄した人
⑤代襲相続
代襲相続とは、相続の開始時に、相続人となることができる人がすでに死亡、欠格、廃除によって、相続権がなくなっている場合に、その人の子が
代わりに相続することをいいます。

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3相続分
①指定相続分と法定相続分
相続分とは、複数の相続人がいる場合の、核相続人が遺産を相続する割合をいいます。
相続分には、指定相続分と法定相続分があります。
指定相続分:被相続人が、遺言で各相続人の相続分を指定した場合の相続分
ポイント☆法定相続分より優先される
法定相続分:民法で定められた各相続人の相続分

②法定相続分(均分相続)
法定相続分は次のとおりです。なお、同順位に複数の相続人がいる場合には、相続分は均分します。

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③均分相続以外のケース
全血兄弟姉妹と半血兄弟姉妹では、相続分が異なります。なお、嫡出子と非嫡出子は、以前は相続分が異なりましたが現在は同等となっています。
均分相続以外のケース(兄弟姉妹)
子:嫡出子・・・法律上の婚姻関係にある男女から生まれた子
  非嫡出子・・法律上の婚姻関係にない男女から生まれた子
ポイント☆いずれも子として第1順位の相続人となる
    ☆嫡出子と非嫡出子の法定相続分は同等である
兄弟姉妹:全血兄弟姉妹・・・父母が同じ兄弟姉妹
     半血兄弟姉妹・・・父母の一方のみ同じ兄弟姉妹
ポイント☆いずれも兄弟姉妹として第3順位の相続人となるが、半血兄弟姉妹の法定相続分は全血兄弟姉妹の2分の1になる

④寄与分と特別受益
相続人間の公平を保つための制度として、寄与分と特別受益があります。
寄与分:非相続人の財産の増加や維持に特別の働きをした場合の貢献分
ポイント☆寄与分がある場合、次の手順で相続分を計算
    ①すべての相続財産からその寄与分を控除する
    ②①を法定相続分どおりに按分する
    ③寄与分を寄与者の相続分に加算する
特別受益:生前に、被相続人から学費や開業資金など特別の援助を受けていた場合のその贈与分
ポイント☆特別受益がある場合、次の手順で相続分を計算
    ①すべての相続財産に生前贈与分を加算する
※令和元年7月1日以後、婚姻期間が20年以上の夫婦の一方(被相続人)が、他の一方に対して住居建物またはその敷地を贈与または遺贈した場合には、その贈与またま遺贈については特別受益として加算せずに遺産分割を行うこととされた
    ②①を法定相続分どおり按分する
    ③生前贈与分を特別受益者の相続分から減算する

4相続の承認と放棄
相続人は、被相続人の財産を相続するかどうかを選択することができます。
民法では、単純承認(被相続人のすべての資産および負債を承継すること)が原則ですが、限定承継や相続放棄も認められています。
■単純承認【原則】:被相続人の財産(資産および負債)をすべて承継すること
ポイント☆相続の開始があったことを知った日から3ヵ月以内に、下記の放棄や限定承認を行わなかった場合には、単純承認したものとみなされる
■限定承認:被相続人の資産(プラスの財産)の範囲内で、負債(マイナスの財産)を承継すること
ポイント☆相続の開始があったことを知った日から3ヵ月以内に、
     家庭裁判所に申し出る
    ☆相続人全員で申し出る必要がある
■相続の放棄:被相続人の財産(資産および負債)をすべて承継しないこと
ポイント☆相続の開始があったことを知った日から3ヵ月以内に、
     家庭裁判所に申し出る
    ☆相続人全員で申し出る必要はない(単独でできる)
    ☆放棄をした場合には、代襲相続は発声しない

5遺産分割
①遺産分割の種類
遺産分割とは、相続財産(遺産)を相続人で分けることをいいます。
遺産分割の種類には、指定分割、協議分割、調停分割、審判分割があります。
■指定分割:遺言によって遺産を分割する方法
ポイント☆指定分割が最優先される
■協議分割:相続人全員の協議によって遺産を分割する方法
ポイント☆決定は法定相続分よりも優先される
    ☆みなし相続財産は遺産分割協議の対象とならない
    →『相続税みなし相続財産』参照
■調停分割:協議が成立しない場合に、家庭裁判所の調停(家庭裁判所が間に入って話し合うこと)によって分割する方法
ポイント☆当事者の合意が必要
■審判分割:調停によってもまとまらない場合に、家庭裁判所の審判(家庭裁判所が判定を下すこと)で分割する方法

②遺産分割協議書
協議分割が成立したら、通常は遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議書の主なポイントは次のとおりです。
◆必ず作成しなければならないものではないが、遺産分割協議書が必要となる場合がある(所有権の移転登記をするさいには、遺産分割協議書が必要となる)
◆遺産分割協議書は相続人全員が署名・押印をして各相続人が1通ずつ保管する
◆形式には決まりがない

③遺産分割の方法
遺産分割の方法には、現物分割、換価分割、代償分割などがあります。
■現物分割:遺産を現物のまま分割する方法
■換価分割:遺産の全部または一部をお金に換えて、そのお金を分割する方法
■代償分割:ある相続人が遺産を現物で取得し、他の相続人に自分の財産(現金など)を支払う方法
■各相続人の持分を定めて共有で分割する方法

6遺言と遺贈
①遺言と遺贈とは
遺言とは、生前に自分の意思を表示しておくことをいいます。
また、遺言によって財産が相続人等に移転することを遺贈といいます。

②遺言のポイント
遺言のポイントをまとめると、次のとおりです。

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③遺言の種類
遺言(普通方式遺言)には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類があります。
■自筆証書遺言
作成方法:遺言者が遺言の全文、日付、氏名を自書し、押印する
☆パソコンは×
ただし、財産目録を添付する場合には毎葉(ページ)に署名・押印をすれば、その目録は自書不要
☆パソコンで目録を作成できる!
証人:不要    検認:必要
■公正証書遺言
作成方法:遺言者が口述し、公証人が筆記する
☆原本は公証役場に保管される
証人:2人以上  検認:不要
■秘密証書遺言
作成方法:遺言者が遺言書に署名押印し、封印する。
公証人が日付等を記入する
☆遺言の内容を秘密にして、存在だけを証明してもらう方法
☆パソコンや代筆も〇
証人:2人以上  検証:必要
【証人になれない人】
①未成年
②推定相続人や受遺者
③②の配偶者や直系血族
【検証】
家庭裁判所が遺言書の内容を確認し、遺言書の偽造等を防止するための手続き
☆検認は、遺言書が有効なものであると認めるものではない!
☆印鑑は、公正証書遺言については必ず実印、自筆証書遺言と秘密遺言については実印でなくてもよい

④遺言執行者
遺言執行者とは、遺言書の内容を実行するために必要な手続きをする人
(相続人の代理人)をいいます。
☆遺言執行者になるには、特別な資格は不要です。
遺言執行者は、遺言書によって指定することができますが、それがない場合には、利害関係者の請求によって家庭裁判所が選任することができます。

7遺留分
①遺留分とは
民法では、一定の相続人が最低限の遺産を受け取ることができるように配慮しています。この、一定の相続人が受け取ることができる最低限の遺産を遺留分といいます。
☆なお、遺留分を侵害する遺言であったとしても、その遺言は有効です。

②遺留分権利者と遺留分の割合
遺留分権利者(遺留分を請求する権利がある人)および遺留分の割合は次のとおりです。

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③遺留分侵害額請求権
遺言によって遺留分を侵害された遺留分権利者には、遺留分を取り戻す権利が付与されています。この権利を遺留分侵害額請求権といいます。
遺留分侵害額請求権のポイントは次のとおりです。

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☆それまで「遺留分減殺請求権」と呼ばれていた内容は民法の改正を受けて令和元年7月1日より「遺留分侵害額請求権」となります。
なお、上記図のポイントのうち☆2つ目と3つ目は民法改正によって新たに令和元年7月1日以後施行となる内容です。
なお、遺留分のある相続人は、家庭裁判所の許可を受ければ、相続開始前に遺留分を放棄することができます。

8成年後見制度
成年後見制度は、知的障害、精神障害、認知症などにより、判断能力が不十分である人が不利益を被らないように保護する制度です。
成年後見制度には、法定後見制度と任意後見制度があり、法定後見制度はさらに後見、保佐、補助の3つに分かれてます。
【法定後見制度】・・・民法で定める後見制度
■後見:精神上の障害によって判断能力を欠く常況にある人を保護する制度
保護される人・・・被後見人   保護者・・・成年後見人
ポイント
☆成年被後見人が成年後見人の代理によらず行った行為は原則として取り消す(ただし、日用品の購入等、日常生活に関する行為は取り消せない)ことができる
■保佐:精神上の障害によって判断能力が不十分な人を保護する制度。一定の被保佐人の行為について、保佐人の同意が必要
保護される人・・・被保佐人   保護者・・・保佐人
■補助:軽い精神上の障害によって判断能力が不十分な人を保護する制度。一定の被補助人の行為について、補助人の同意が必要
保護される人・・・被補助人   保護者・・・補助人
☆後見、保佐、補助の開始の申立ては、本人、配偶者、四親等内の親族のほか、後見人や保佐人、補助人、検察官などもできる
☆成年後見人になるために、弁護士等の特別な資格は不要
【任意後見制度】・・・将来、判断能力が不十分になったときに備えて、本人が事前に(判断能力があるうちに)、任意後見人を選任する制度
☆任意後見契約は公正証書によって行わなければならない

※このnote記事は商業目的ではなく私個人の勉強ノートです。

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