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生活を守るための投資を始める決断はどうして可能だったのか

銀行普通預金と定期預金に100%、生命保険と医療保険。そして住宅ローンをかかえていた。定期預金の毎月自動積み立てと、企業型確定拠出年金をしていた。これが2008年の金融資産と負債の状況だ、おかげで金融危機による資産の減少はなかった。

統計によると日本の家計は51%が現金・預金になっている、欧米にくらべ投資は少ない。平均的な家計よりさらに少なく、確定拠出年金に投資信託が少しあるだけだった。株式型投資信託より安定した国債と優良企業の社債に投資する投資信託だ。日経平均はニューヨクダウとくらべて冴えない推移を20年以上つづけていたので、日本株の投資信託には魅力を感じなかった。

  (金融庁資料をもとに作成)

しかし現金や預貯金はインフレ率の割合で価値が低下する。2008年のインフレ率1.38%で計算すると、100万円の価値は1年間で99万6200円になる。貯金通帳の数字は変わらないが、インフレ率による実質的に資産価値が下がる。2008年10月日銀は政策金利を0.5%から0.3%に下げ、12月にはさらに0.1%にした。1年定期貯金の金利は0.24%から0.18%に引き下げられた。100万円を定期貯金に1年預けても、利息はたった1800円しかない。インフレによるお金の価値低下3800円を下まわる利息しかない。

お金の価値を低下させないためには、投資するしかない。生活を守るための投資が必要だ。理論的には正しい、しかし投資について考えると、疑心暗鬼になった。「再び金融危機が起きたらどうしようか」、「インフレが続くとは限らない、デフレ傾向ではないか」などと、いつまでも繰り返し考えていた。迷いがあり決断ができない時期が続いた。

必要な時にお金が無い、危機的な状況になって初めて気づくものである。毎月の収入は簡単には上昇しない、状況が大きく変わることはないと高を括っていた。考えることを止めていた。そして会社が事業を売却して失業した。危機になってから慌てた。緊急に解決すべき問題になる前に、対策をするべきだった。なんとかせねばと決断した時である。将来に備えた考えができ、実行できる人は偉いと思う。

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