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③【実践編】偏食指導したくないけど仕方ないからやる。

長かった…ここから実践編です。
目次

○準備するもの
○始める前の実態把握と信頼関係
○時間を決め、シンプルなルールで交渉する。
○配置の工夫
○そもそも支援ニーズがあるか?
○支援の効果

○準備するもの
子どもが使い慣れた食事道具(素手も可)
取り分け用の小皿 2〜3枚
手拭き、台拭き
教員の着替え

○始める前の実態把握と信頼関係
当然始める前の準備期間、これが一番大切です。
1月くらいかけるつもりで、何なら食べるのか?素材なのか?調理法なのか?味付けなのか?食感なのか?とにかく見とります。
できれば親から一食の量やどうやって食べているのかも聞き取れるとベターです。弁当の日はチャンス、「食べられるものを入れてくださればいいですよー」とか言って情報を集めましょう、普段どれくらい食べるのかもわかります。
その調査と並行して食べたいものをちゃんと食べさせて、希望があればおかわりもさせて「コイツは自分の好きなものをちゃんとくれる人だ信用していいかもしれない」と思わせましょう、指導を始めてもこの信頼を最後まで維持するのが大切です。


○時間を決め、シンプルなルールで交渉する。
目標は"教師の提案を受け入れられるか"なのでそれ以外の要素を排除します。確実に食べる好きなもの
だけ集めた小皿(+お代わり※)と、苦手なものの中でも拒否が少なそうなものを皿に取り分けておきます。この量が大切で、その子の苦手度に応じて1ミリ角〜用意します。
※お代わりでやるか、一口残しでやるかは微妙なのですが、最終的に好きなものを食べさせて終われればどちらでも良いです。
見やすくしたいのと、ひっくり返された時の被害を最小限にしたいので、使うもの以外は置いてはいけません。
いただきますも待たせなくていいです。ただでさえ短い給食時間、待ってる時間は子どもの悩む時間に充てます。好きなものが食べ終わる手前にすっとお皿を取って「これ食べたらね」と苦手なものを近づけます。
ここからは間合いの勝負です。子どもは当然嫌いなものを押しのけてきます。皿を絶対に触らせてはいけません、ここで無理に置こうとするとひっくり返されたりして余計な怒りを呼ぶので、嫌がるなら「じゃあダメ」とサッとお代わりとともにお皿を下げることです。
好きなものを見せる→ちょうだい→じゃあこれ食べてね→イヤー→じゃあダメと言って皿を下げる。
この繰り返しをしながらお盆に置かせてくれるまで粘ります。子どもは何とかして食べたいものを食べようと工夫するのでその思考も含めて楽しみましょう。ちなみに手掴みでも、食べようとしているなら容認します。後は見守りと無視です。抱きつきやしなだれかかってきたりしますが、淡々とあしらっておかわりを指差して今取り組んでいるルールを確認します。
大体5分くらい様子を見て食べないようなら別の苦手なものを変えてもいいかもしれません。
大体10分〜15分動きがないようなら私たちの負けです。諦めて次の作戦を考えながら好きなものだけ食べさせて終わりにしましょう。

再度確認しておきますが、ここまで『食べさせる』ことが目標なのではなく、『教師の提案を受け入れる』ことが目標です。ポイントは
①時間を決める
②食べられるものはちゃんと食べさせ、食べられなかったでは終わらない。
③食べ方やマナーは後回し

の3つです。

大体このやり取りをして1週間くらいで、「どうやら嫌いなもの食べないともっと食べさせてくれない」というルールがわかってきてくれるかと思います。1ミリ口に入れば意外とそこからはスムーズなので少しずつ一切れにしていきましょう。

○配置の工夫
皿の配置は苦手なものを手前に、お代わりを奥にするのを基本に、視覚的にわかりやすいよう工夫してください。ただし必ず好きなものは視界に入るように置きます。
場合によっては視界に入れるのも嫌がる子もいます。その場合は食べさせることは置いておいて、好きなものを食べながらでも嫌いなものが視界にあっても許せるところから始めましょう。
机などひっくり返してしまう子は周囲への被害も考えて食べる場所を決めます。
○やる前にまず自分の常識を捨てる。

何度でも言いますが食べさせることが目標ではなく、他者の受け入れが目標です。私たちが戦ってきた「全部食べなければならない」「残してはいけない」は捨てましょう。残していいし、好きなものだけ食べていいという気持ちでやります。

○支援の効果
はっきり言ってこれができたからどうなるかなんてのはありません、希望的観測で、授業の時『こいつはめんどくさいけど悪いようにはしない』と思われて活動に誘いやすくなるかもしれません。そんなもんです。

○そもそも支援ニーズがあるか?
ここまで書いといてなんですがこれ大事です。スポンサーたる親から最低「いろいろ食べられるといいんですが」という思いを聞き取らない限り手を出さないのが無難です。特別支援とは特別な支援をするのではなく特別な支援ニーズに応える場所であることを忘れないようにしましょう。【後書きに続く】

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