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「自分」の未来を想像することができているか…(『自分と未来のつくり方』)

インターネットが普及し、SNSが日常の中に入り込んできた時代に生きる私たち。侵食しつくそうとしている「自分の時間」。
情報がありすぎて昔と違って、どれを信じればよいかすらわからなくなった時代。そんな時に、「回路図」となってくれるような本が今回紹介する本。


1.紹介する書籍

・石田英敬著:『自分と未来のつくり方〜情報産業社会を生きる〜』
(岩波ジュニア新書)

★キーワード

  • 単一化

  • 時間と未来

  • 産業とビジネス

  • 自己

★こんな人にオススメ!

  • 10代〜20代の人、SNSを頻繁に使っている人

  • 現代に生きづらさを感じている人

  • 「自分って何なのか」を考えたい人

  • メディアに興味がある人

2.本書の魅力



情報を発信する手段が増えたということは、「メディア」が増えたことでもある。昔は、テレビや新聞でしか発信することができなかった情報が、今やどこの誰でも携帯やPCを使って、発信できる。これが何を意味するか。

・発信されている情報がどれが正しくて、どれが正しくないのかが不透明

ということである。それによる危険性について論じてくれているのが本書である。SNSに目を向けてばかりいて大丈夫なのか?と問いかけてくれている本である。
現代で、ネットと共存していかなくてはならない時代だが、
・「インターネット」と「自分」がどう向き合うか
を考えさせてくれる本となっている。

3.本書でのポイント

①労働の抽象化
私自身、現在大学に通っており就職が近づいてきているからこそ、とても良く感じることだが仕事について考えた時、「やりがい」についてをとても強く考える。
しかし、産業化が進行してくると人にとって一番気になってくることが本書では書かれている。

なぜちゃんと働いてもそうでなくても全く同じ給料になるかというと、それは労働が「抽象化」されているからです。労働を抽象化するというのは、個別的なものをとっぱらってしまって、誰がやっても同じようなものにするということだ。(中略)
自分は自分なんだっていう感覚が失われていく世界だ。

(本書p.20より)

「誰がやっても同じだという感覚。」これが生じてしまうと、仕事においてのやりがいは感じられなくなってしまう。アルバイトをしていても、自分が辞めても変わりがいるのだと感じると、そこで「やりがい」はなくなるに等しい。
私はいつも心に留めている考え方がある。

社会の歯車になってよいのか?

この言葉が、自分をいつも違った次元に持ち上げようとしてくれる。この言葉を浮かべると自然と自分自身が努力しなければならないのだと気づかせてくれるのだ。
「歯車」は抽象的だ。壊れたら替えがある。しかし、人間である以上、もっと求められたい。「歯車」で終わるのではなく、社会を動かす立場になりたい。そう考えることが思考を転換させる第一歩だとこの本から学ぶことができる。

②何が欲しいのかわからない

私もその一人であるが、現代は「流行」というものがどんどん切り替わっていき、そのスピードが加速しているように感じられる。
それと同時に、観光地やおすすめグルメなどはネットで皆が調べるため、みんな同じようなものを好むようになってきているように感じられる。
GWが先週あったが、人が多く賑わう様子も過去と比べると、より大きくなってきているように感じられる。その原因の一つに、
「単一化」が挙げられるのではないか?

メディアがみんなに「生き方」を教えてくれるということになる。こういう生き方がかっこいい、こういうものこそ価値のあるものだーそうやって教えられてしまうと、自分で自分の生き方を考えられなくなってしまう。

(本書p.48より)

旅行に行ったときに、ネットで「〜(場所) おすすめランチ」などと調べると、上位に出てくるところはある程度、イタリアンであったりそういった方向性が決まっているように感じられる。
それも、メディアに操られているという捉え方もできるのではないか?
一度立ち止まって考えることが大切だ。

③テレビと本

ここは、読んでいただきたいのであまり多くは語らないが、なぜ本を読むべきなのかということについてかテレビを見ることと比較して書かれている。
結論だけ言っておくと、「意識」が関連しているかどうかということだ。

※本のよさ:本を読むことで使いこなせる言葉や表現が豊かになり、思考する世界を理解する力を高めることができる。

4.自分との対話ポイント

  • 自分は、パズルのピースになりたいか?それとも、パズルの基盤を作る側の人間になりたいか?

  • 自分の見ているメディアは?

  • TwitterやInstagramばかり見ていていいのか?

  • 時間の使い方を考えているか?

5.学び

私の頭には「単一化」という言葉が最近、毎日浮かんでいる。
メディアが多くなったことで、インフルエンサーも増え続けており、それによりいいと思うものは「これだ!」と方向性が勝手に決められてしまっているように感じる。自分の意志はそこになく、ただ「欲しい」という気持ちが勝手に想起されているだけのように感じる。
「ブランドに縋りすぎる人」、「〜年代の人はこれだけはやれ」、「〜しないともったいない、損をする」と言ったように、強く方向性をおしてくるため、『見る側』は船に乗ってしまっているのではないか?と感じる。
そうか。これが、

「メディアに踊らされる」

ということなのか。もっと自分が何をしたいのか、自分でよく考えるということ、情報の入手の仕方を考えながら生きていかなければならないと感じる。

この本が、一人でも多くの人に読んでもらえますように。

おっきい。

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