3月に見た写真集感想

奈良原一高 円
円状のフェードというか、文字通り「円形」の写真だけで構成された珍しい写真集
このような構成にすることを前提に撮られた写真たちなのかわからんが円形がすごい様になってて面白い
写真が円状になったことでそれはそれで独自の色んな想像が喚起されて面白い
なんでもない写真であれば段々これはレンズが取り込んでる光そのものということなのかなとか、ヌーディストビーチの写真なら丸い穴のような場所から自分が覗き見ているような感覚を覚えたりとか
画面構成の巧みさがすごくてやっぱ奈良原一高すげーわってなる

菱田雄介 BESLAN
「うら寂しさ」とか「悲しさ」が漂う画面なのに、どこか客観性というか冷静な視点が一枚一枚の写真から伝わってきてかけ合わさって独特の凄みを感じる
どことなく力強さなんかも感じるのだけどこの記録を残さねばならないというものも感じる気がする

森山大道 記録56号
待望の横須賀巻で横須賀大好きなワイ、歓喜という感じでした
前まで大道の写真について「この写真の構図にはこういう意図があってこの並びにはこういう意味合いがたぶんあってぇ〜」と深く考え咀嚼して色んなことに意味合いを持たせようとしてたし、実際作り手による意図はそこかしこにあるだろうけど、最近はもうそういう「作り手の意図を読もう!」みたいな鼻息荒い思考全部捨てて「これカッケェ〜〜!!!!」「この並び最高すぎるぅ〜〜〜!!!!」「この場所をこんな風に撮るなんてぇ〜〜!!!!!」と小学三年生になった気持ちで見るようにしていて
なんとなく大道の写真ってそういう風に感覚に任せ、湧き上がった感情を爆発させながら見るというのが最適解なのかなぁなんて思う
とにもかくにも最高でした、ぼくはもっとあなたの写真が見たいです

林忠彦 昭和を駆け抜ける
比類無き絵画的な美しさを感じる写真ばかりですごい、そしてこの美しさの中に戦争が終わり前を向こうとする戦後日本への悲哀みたいものを感じて味わい深い
画面構成の美しさだけでも超必見だなと
戦中の写真は歴史写真的色合いも強いが、個人的には(良いとか悪いとかではなく)国全体が全体主義的で強制的に一つの方向に向かなければならない時代だったのかなというのがイメージされる切り取り方だなと思う
あとがきの『人々のこころに残る"記録"』の一節はかなり心に刺さった
『記録があるから人々のこころに記憶が宿るのである』…たまに写真を撮っていて段々なんのためにこんなことしてんだ…という心理にならんでもないのだけど、これもまた思い出したい言葉の一つとして記憶に残したいなと
たとえば技巧性のあまり必要とされない記録撮影があったとして、「誰でもできるからモチベ上がらない」という心理になるのはある程度仕方ないと思うし自分にも経験がある
しかし仮に「誰でもできる」としても、「誰かがやらなければならない」ことなんじゃないか、そしてその必要性・使命は往々にして自身のモチベーションをも上回る重要性を持っているのではないか、と思う
今後そんな考えで記録撮影ができるかはわからないけども笑

ホンマタカシ TOKYO NEW SCAPES
よくわからん。。所々盛り込まれる偉人っぽい方々の言葉と写真の整合性がよくわからん
何気ない東京の都市風景だけど、現時点の自分では時間がそれほど経過していない景色だからなのか目新しさみたいなのがどうしても見出せない
少なくともグラフィカルな目で見る楽しさみたいなものはあんまり無くてみてて普通に眠くなっちゃった
オリンピック延期のタイミングで右上の「あと○日」のカウントがリセットされたのがなんかギミックぽくておもしろかった

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