10月に見た写真集感想

記事アップしたつもりがアップし忘れてたw
すんません(?)

梅佳代 じいちゃんさま
当たり前のような生活感が愛おしい
ニッポンの田舎だねぇ、あたたかいねぇ、というところに「写真表現」っぽい写真が差し込まれててオォッww笑てなる 小泉元首相の握手写真の下で同じようなポージングで握手してる写真とか
ゴミ燃やしてるところの、写真なのにすごくその時の会話が色々想起されるのは写真ならではの良さがあっていいなぁと感じる


石内都写真集 tokyo bay blues
トーキョーベイと言いつつ明らかに東京湾じゃなさそうな景色がある気がしたのだけど古い風景すぎて認識できなかっただけみたい(巻末に撮影場所まとめてあった)
曇天の表現が力入っててすごいなという印象
そして暗く重いカットが多い
開発前夜という感じなのかな
船着場の船たちの後ろをダンプが走るカットは印象的
干潟と海がそのまま地続き?海続き?になってるカットなんかは不可思議でこういう光景もあったんだな〜と驚いた、撮り方的に子供達が海の上に立って遊んでるように見えて面白い
どことなく全体の雰囲気に変化する東京湾沿いの風景への郷愁を感じられるのだけど、タイトルの「blues」は単に海の青であるというだけでなく憂いの意味合いも込められているのかも


梅佳代 うめめ
ユーモアに溢れたシーンが多くほっこりした、そして一枚一枚の情報量が多い
しりとり状になった並びも楽しい
20年くらい前の写真のはずだが古く感じない
表紙の平和な感じからは想像つかない中身でもっと早く見ればよかった感
最近28mmにハマってて「28mmだからこその情報量」ということよく考えるがもっと標準域でも情報量詰め込んで面白くできるなとこれを見て思った、写真道は深いぜ


TOKYO SKYTREE Photographs 新良太
さすが公式写真集だけあって普通の人が撮れないような俯瞰視点の写真とかもあったりする
そして俯瞰見ると下町っぽさは全然見えないね
スカイツリー1つでここまで多様な撮り方ができるんだと感心した こういう一つの被写体を徹底的に撮る写真集っていいよね
狐?犬?の石像が建造中のスカイツリー見てるカットはドアノーのガーゴイルが町見下ろしてる写真ぽくて良い


森山大道 THE TROPICS
なんか電車や飛行機や自転車とか車の中とか移動にまつわる写真が多いような
日本人っぽくも見えるアジア人とか、道端に転がってる犬の死体(?)とか孔雀?ぽい鳥とか、かと思えば像の上から撮ってるような写真もあり異国感がすごい
写真から伝わる大道がその場所に溶け込んでる感が面白い
なんか短期間で色んな写真集見まくったせいなのか大道の写真の良さを前にも増して言語化できない感じになっちゃった
けどこの写真集については撮影"旅行"の模様をそのまま写真集にした結果大道の視点の異常さ(良い意味で)が発揮されてるのが強みかなと感じる
そして吸い込まれそうな黒の魅力、でしょうか
絵作りの荒々しさに反して構図はすごく丁寧に感じるものが多い
終わり際の2ページ連続飛び込み写真の組み合わせは構成の魔術って感じでニヤリとした
大道の写真って荒々しいプリントや過激なクローズアップに隠れがちだけど構図が綺麗だと思う
見せたい箇所をはっきりさせてるというか
この写真集に限らず大道の写真の黒は飲み込まれそうなほどに濃く黒い


須田一政 人間の記憶
なんかすごく古い写真と比較的新しい写真が混ざってる?
どちらも「人間の記憶」と呼べるものだろうけども
(時流の)統一感の無さはまるで走馬灯みたいだなと思った
所々大きさバラバラ?に複数枚貼り付けるように出されていて家族のアルバムに貼り付けられたかのような感じ
他人が見てる夢を動画化したらこんな感じなのかなという不思議さと実存感がある
古い写真と思ってたものは、単にドイツのミノックスという古いカメラで撮られたものらしい
機材が変わると、全く時代も違って見える、写真の不思議だ、と思ったけど普通に昔の写真も混ざってるらしい


井上浩輝 follow me ふゆのきつね
ナショジオはすっかり自分の中で信頼できる枠になった
被写体こそ自分に縁遠いけど構図や表情など参考にできるとこかなり多い
しかしキツネって端正な顔立ちしてんなぁ
風景撮るつもりがキツネに魅了されちゃったっていうのなんとなくわかる、自分も滅多にやらないけど一箇所で待機して撮る時飛んでる鳥とかパチパチ撮っててそっちが楽しくなったりするので


石川直樹 写真集 Mt.Fuji
長い年月をかけて幾度となく人が訪れた富士山の歴史が感じられるような写真が多く感じる
外から見た富士山というよりも富士山その場の写真が中心というか
富士山登ったことないし外から見たらわからなかったけどけっこう舗装されているんだなという印象
稜線(合ってる?)の写真は見事、これ何で撮ってるんだろう
あとがきに「富士山は見る山であって登る山ではないというが僕にとっては紛れもなく登るための山だ」といったことが書かれていて掲載されている写真の意味が合点いった


ヘルムート・ニュートン RSF写真集
この人の写真見てると"女性の裸体に見慣れてくる"という奇妙な感覚に苛まれる笑
やっぱり最初は女性の裸体のインパクトが強すぎてそっちに目がいっちゃうけど段々その画面構成の力強さが見えてくる感じはちょっと気持ちが良い
全体の傾向としては美しい女性となんらかの対比となるものを同画面内に置いた際のインパクトが強いのかな、という感想
表面的すぎるかもだが深瀬昌久の家族写真にも通じるかも
しかしただ女性が美しいから成立しているのでは無いなというのもやはり感じる
どうしても被写体に目がいきがちだけどスナップにおいて情報量をぶちこみつつ整理整頓するスタイルを追求したい時にかなり参考になるような気がする
海外製の本なんで中に書かれてることが英語でほぼよくわからんかったけど、D2Hの宣伝があって時代を感じた


岡村昭彦 all about life and death
写真一枚一枚が力強く、人間の感情をえぐりとってるみたい
ベトナム戦争がグダグダで悲惨だったというのは知識としてはあったけどこうして写真で、しかも伝える内容が明確な綺麗な形での仕事のものを見るとその凄惨さがストレートに伝わってきて実にプロの仕事だなと思う
戦地のおぞましい光景なのに鑑賞者を引き込ませる力強さがこの写真集にはある
どことなく、この狂った状況に対する当たり前さというか冷静な目みたいなものが感じられる気がする
自分は日常スナップをよく撮るけどまるで日常を撮るかのようなアプローチが感じられる、なんの感情も込めずにシャッターを押しているような

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