3月に見た写真集感想

ナショジオ ワンダーフォトブック ぽつん
あまり自分に馴染みないネイチャー系だけどこれはすごく取っ付きやすかった
一枚一枚が良い意味で汎用的で、脳内で構図をパクることで路上での人の配置とかにも応用が効きそうだなとこか思った
暗い海?でシロクマがポツンと泳いでる写真が圧倒的存在感あって好きだったな


ロバートフランク アメリカンズ
日常的な風景からよくこんな場面で撮ったなという場面まで
カルティエブレッソンを彷彿とさせる完璧を目指した構図といった印象で見ていて気持ちよさを感じる
デザイン的な規則性
一番ラストの車から女がこっちを見てるカットめちゃ好き


ブラッサイ 夜のパリ
なんと1933年の写真集
この頃の写真は記録として整然とあろう、正しくあろうという感覚が強い
写真が撮れるということ自体がある程度ハードルが高かったためと思われ、それが伝わってくる写真が多くて面白い
郷土資料性のような味わいがあるというか

蜷川実花 桜
桜の撮り方のなんか参考になるかなぁと思ってみてみたのだけど、これみたらセオリーとかあんのかなとか思ってたのがなんかアホらしくなった
やりてぇようにやりゃいいかって気になってきた
ただやりたいようにやった結果全然桜撮りに行かなかったから自分はあんま桜好きじゃないんだろなぁと気づいた(笑)

アイコンシリーズ ロベール・ドアノー
以前もっと小さな冊子で見たことがあって強く記憶に残っていたのだけど、どの写真にも何かしら発見と驚きが後から来るような写真になっていてやられたといった気持ちになる
植田正治的作為なのかどうかはわからないけれど、どれも出来としてとても素晴らしい
その写真にどんな要素が埋まっているか見ていると浮き出てくるようなそんな要素への発見と驚きがある
一枚一枚の写真がじっと目を凝らすとまるで見えてなかった要素が浮き出て炙り出されたような、そんな発見と驚きに満ちた写真ばかりでこれもまた写真を見ることの根源的な楽しさだなと


日本の写真家36 中平卓馬
森山大道の盟友で写真のライバルでもあった中平の写真は昔のものは当時の大道のアレ・ブレ・ボケと同じ系統の写真だったのが、段々独自の道を行き出してアレ・ブレ・ボケから袂を分つ過程が面白かった
もっと掘り下げて中平卓馬が知りたくなるような良い選定だった


にっぽん劇場写真帖(新潮社版) 森山大道
自分の知る限りこのにっぽん劇場写真帖は幾度かの復刊版があるのだけれどこれは1995年のもの
それはともかくこの色んな所からたくさん見聞きするこの写真集を実は初めて見たのだけど、よくこの写真集の評としていわれたという「日本の土着文化をよく残している」という評は大道本人は納得しなかったみたいだけど的確だなと感じた(笑)
このどの写真を見ても日本っぽい風景というか土着というか
これは昭和という時代に対して日本っぽいという感覚を抱いているだけなのかもしれないが
全ての写真にどことなく昭和にしかないものを感じてそこを日本の当時の土着文化というふうに感じているのか
たとえば巨人対大洋ホエールズの看板あったけどそれいつのやつよ、という
もはや教科書とかでしか見ないようなそれがページをめくってもめくっても出てくる別世界観


岡本太郎 神秘
全ての文を読んだわけではないけど察するに歴史資料の趣もあるみたいだ
しかし写真はどれも鬼気迫るものがあって神秘に魅入られた岡本太郎がトランス的な状態で撮ったのかなぁと推測してみたり
「握るものをちゃんと握って、平気で明朗だ。」という節が好き
写真と言葉のレイアウトが一番好みかも、すっと入ってくる
物書きでもある岡本太郎の文章はイメージをすぐふらませた上で写真が目に入るのでとても効果的な文章の差し込み方だなと思った


林忠彦 AMERICA1955
名の通り1955年のアメリカの写真なのだけど恐ろしく現代的に見える風景で驚く
サンフランシスコ上空から見下ろす町の威容に圧巻されてこんなに栄えてる国と戦争をしたなんて無謀なことをしたものだと思ったそうだけどこの写真を見るだけでもそう感じる
1955年なんて日本はまだ戦争でボコボコにされたばっかくらいの時期だろうにこの時代に写されたアメリカはちょっと見る部分変えるとほとんど現代と変わらない風景ってくらい近代的なのでよくまぁ、という
しかし殆ど現代と変わらないように見える風景と言ってもこの写真集に写ってる人はほぼ皆もう生きてないだろうと考えると瞬間を止めてどこまでも時間を過ぎさせる写真というものの真理を垣間見たような気持ちになる

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