8月に見た写真集感想

赤坂友昭 The Myth
ありきたりな感じなたとえですみませんがもののけ姫の森みたいな写真だなという印象
シシガミ様いそうみたいな
と最初思ったけどそれは前半だけで、どうも自然とそこに暮らす人間をも含めたありのままの共生の姿を撮影者の主観をもって、その主観を隠さず捉えようとしているなぁと感じた
なんでかわからないけれど途中のエスターの挿話の後の湖畔?のほぼ何も写っていないモノクロ写真は恐ろしいまでに美しく見えた
写真が残せるモノ、写真の力とはなんだろうと、と考えさせられる
生と死、若いものと老いしもの全てがフラットに取られている印象
これから熟れていくもの、滅びゆくもの、全てが等価
この写真集の生と死の等価性から、生命の循環とはこういうものなのかなという深みを垣間見れた


星をめぐる少年 安珠
ちょいちょいおとぎ話みたいなモノローグが挟まるなぁと思ったら写真を合わせたストーリー本だった、こういうアプローチもあるのか
話の内容は申し訳ないけどあまり理解しきれなかったが、子役のモデルさんが特に超絶美形でびっくらいこいた
「美しい写真集」というたとえがぴったり
反射を含めた光の使い方がいいなぁと思った


浅井美紀 幸せのしずく
マクロレンズというかマクロ撮影ほぼしないのでこんな表現もあるのか!と感心した
しずくの中に反射で見える世界も綺麗であたかも世界がもう一つあるように見えるし改めて写真とは光を捉えているのだなと感じる
あんまり一枚一枚見事なもんだからさぞとんでもない機材使ってるんだろうなぁと思ったけどあとがき見る限り意外と(といったら失礼か)民成チックとでも言っていい機材で撮られててやっぱ機材についてあまりに考えすぎるのはよくねぇな〜と
自分はストリートスナップにしか今関心無いからマクロレンズ使って同じようなことするかと言われたらNoではあるけど、純粋に画面としてめちゃくちゃ綺麗で良いものを見せていただきありがとうと思った


Ayasakai ムーとたすく
家庭の温かみがすごい
自分はペットを飼ったことがないので「ペットは家族である」というのを概念的に知ってる程度だけど、人間以外の存在が家族になるってこういうことなんだぁというのがよくわかった
フレンチブルドッグのムーがたすくというお子さんと全く等価に写っている様はすごい


荒木経惟 東京観音
いきなり遊女のエロスを彷彿とさせるようなおっかなびっくりなモノローグから始まってそっちの欲望のスイッチを全開にして読むべきなのかな?と印象づけられた
浅草とか三ノ輪界隈はそれなりに歩いたことがあるけど、自分の中にあるあの辺のイメージとは全く違うまとまりになっていて面白い
確かにこの辺は観音様とかお墓とかいっぱいあるんだけどもっと電車とか車がバンバン走ってる雑多な場所のイメージがあってまとめ方一つでこうもイメージは変わるのだなと
色んなフィクション作品とかで形成された昭和風情の東京のイメージがこの一冊にあるなと感じる
見た感じそんな古くはない風景のはずだけど
関係ないけど、タイトルに「観音」と入ってるけど見た感じCanonのカメラでは絶対撮られてなさそうでそこも面白い(笑)


赤瀬川原平 新正体不明
写真に対する言葉選びが秀逸でエッジが効いてる
一枚の写真の強さというよりは言葉とのセットで一枚一枚を成立させているような見せ方で言葉と写真の関係性って面白いなと思った
自分は絵としてのインパクトとか気になったものを撮るばかりでそこにどのような言葉を規定するかというのは考えていない
ぱっと見では気づかなくても言われてみるとあーー!!!となるような
この中の富士山シリーズのように、書かれている内容の正しさよりも自分が感じたことを規定するような内容は好き
言葉が先に浮かんで撮ったのか写真から言葉が想起されて撮ったのかわからんというくらい言葉選びが秀逸


立木義浩 風の写心気
それぞれのチャプター?に設けられたショートエッセイともいうべき思考のような文章が写真の意図を鋭く切り取っていて読んでいて気持ちが良い
写真だけでも画面内の構成やバランスの完成度が高いのにそこを言葉が強く補足していてすごくいいバランス感だなと、この前に見た赤瀬川氏の写真集とはまた違った言葉の鋭さ
そして立木義浩の見る「目」と「思想」についての言葉はまた写真が補足していてこれがほんとの補完関係ってやつか!!!と思った
まぁ環境の話とか若干説教くさく感じてしまったがこれも過去その時を止めている写真と同じく、その言葉を認めた時の価値観を押し留められているのだよなと
あとがきの『写真は「ものをいう」が言葉は吐かない』という評は写真の本質を鋭く突いててすごくカッコいいと思った


荒木経惟 チロ愛死
ページをめくるたびイメージがどんどん死に近づいていく構成なのかなぁという印象
ヌードはよくわからんけど、猫も裸だし同じ扱いってこととかなのか単にその日あった撮影を載せた、日常の一部ということなのか
けどわかるのは後半の猫が死んでからと思しき写真は、やはり悲しそうだなぁということか
最後空しか無くなっちゃったし


ポケットフォト ヘルムート・ニュートン
どれもめちゃくちゃカッコ良いのだけどヌードである必要性を感じないと思ってしまう(笑)
「見事な肉体美」とか「人間のありのままの姿」とか安っぽい言葉はいくらでも出るけど、まぁ何か意図はあるのでしょう。。
けど服着てる写真のが抜群にカッコいいと思ってしまうw
24「ヴォーグ」とか35「クイーン」とか
どれも計算し尽くされたような画面構成の美しさがあるからこういう「美」はどんどんインプットしないとだよなぁと感じた
「裸体と衣服」とか異次元のカッコ良さすぎて笑っちゃった、ヌードでもこんなカッコ良さを突き抜けさせられるんだっていう


川内倫子 花火
何回か見たことあるけど改めて
いわゆる綺麗な花火をそのまんま残そうというのではなく花火にまつわる空気や空間やどこかある寂寥感を全て詰め込もうとしたような感覚
この写真集がずっと印象に残ってたので改めてもう一度読んだ上で、8月中にあった花火大会でこの写真集を自分なりに再解釈して花火大会を撮ってみて、まぁ納得いくもの撮れたけど全然違うものになってマァそうよね〜となった


森山大道 K
これも何度か見たことのある写真集
大道と言えば人の往来とか営みとか雑多感とか社会のカオスみたいなものが表現されていることが多い印象だったけど、この写真集はモノとか街の景色みたいな写真が多いと思う
風景の中の、無機物を主に相手どっているのかなという印象


日本の写真家40 須田一政
「角の煙草屋までの旅」というタイトルから興味を持ってとりあえずイントロダクション的に
日常の中の"異界"という写真が多いとのことだが、たしかにどこにでもありそうなモノばかり撮ってるのに違和感一つ差し込まれてるような写真が多い
39上野不忍池とか27新宿とか
良いイントロ写真となった、もっと色々見てみたい

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