7月に見た写真集感想

奥山由之 BACON ICE CREAM
初めてではないけどなんかまた見たくなったので図書館で借りた
初見時は何がなにやらさっぱりだった記憶しかないけど今回は、、やっぱり何がなにやらだった!(笑)
けどそれは得体の知れないものを見た不快感とか恐怖感とかではなく心地の良さを伴った「わけわからん!」だなというくらいには見た時の感覚が言語化されている
この写真集の表紙は夕焼けに染まりかかった雲とマゼンタがかった何かの光なのだけど、雲の方は文字通りアイスクリームを連想させ夕焼けに染まりかかった赤は肉のベーコンっぽさがありストレートにタイトルを伝えているなとは思う
どなたかが、「ベーコンとアイスクリームという食べ合わせ一番合わないものを組み合わせた」と仰っていたがそれを踏まえて見ると普通の人ならここにピント合わせるという場所に合ってない写真やかと思えばいきなり水平垂直とれためっちゃ綺麗な写真がいきなり現れたりと、自分が当たり前だと思っているものからのズレみたいなものがこの写真集に表出しているなと感じたのだけど、総じて写ってない写真は「ん?なんだこれ?」と引き込むような不思議な力があり現時点ではそこのところも強い魅力を放った写真集だなと思う


保井崇志 PERSONAL WORK
なんと自費出版の写真集
noteで書かれていた途中経過けっこうワクワクしながら読んでました
写真は実にシンプルで一言でいえば『光と影の探究』かなと
しかしその質が半端じゃなくシンプルゆえに至高
町の様々なものを使った独特の切り取り方は目にも楽しくてさすが
そして何より忘れてはならないのが黒の質感
暗部の使い方自体のカッコよさもさることながら
見開き二枚の共通性を探すのも楽しい、たとえば中華そばを待つ客のカットと信号待ちしている散歩の犬数匹のカット等


鬼海弘雄
PERSONA -最終章-
その人の特徴を切り取る、と見せかけて絶妙にどうでもいい情報が不思議と被写体への印象に深みを与える
「寒い今夜は、湯豆腐だね…と話す人」とか
一番好きなのは「若い頃から沖縄で暮らしたいと思ってきたが、まだ行ったことさえもないという津軽訛の人」
この人が写真を撮り続けた、その行為の歴史が一冊に詰まってるというか その詰まった歴史がストンと自分の中に入ってきて今までにない威圧感が残留するというか
この人がこれから撮る写真をもっと見たいと思ったけど残念ながら2年前に逝去されたみたいで無念


森山大道 ブエノスアイレス
どんな発想してたらこんなん撮れるんだっていうカッコいい写真だらけだった
「決定的瞬間」的な写真が多くてめちゃくちゃ単純に目が楽しいなという印象、カッコ良すぎて大道の映画の菅田将暉の「カッケェ〜〜〜wwww」て声が脳内再生される
今まで見た大道の写真集の中でも画面・絵としてのカッコ良さがいちばん凝縮されてるかもしれんない
写真特有の、「記録的」でありブレッソンの英訳タイトルを借りるところの「決定的瞬間的」であり「絵画的」である、のかなぁと
これらの要素のブレンドというかバランスが最高に優れてると感じる
写真作品において撮られている写真はおそらく撮影者が見た被写体を切り取ったものだと思うが、そこには撮影者の意図・心理・嗜好・性癖が混ざり合い結果として写真には様々な形態があるのだと再認識する
突然の自分語り失礼しますだが、最近買ったLeica Q2の操作体系がメイン使いしてるCanon機と大分違っててモノにしようと奮闘するあまり自分の中の写真表現的な領域がけっこう小さくなって見失いがちになっていたなと、薄々気づいてはいたが再認識させられた
でも機材操作モノにならなきゃどうしようもないしこればかりはもう仕方ない、がんばります(突然の決意表明)

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