5月に見た写真集感想

染谷學 ほうたれ
見覚えある港町だなぁと思ったら広島の竹原でてきてワロタ、毎年旅行してて思い入れある場所だから反応してしまった
田舎の撮り方のバイブルみたいな写真集だなと感じた
田舎撮りに行くとけっこう何を撮ればいいかわからなくなってしまいがちだけど、まぁそれも大事だが光はもっと大事だよなと
かと思えば悪天候で光がそんな良くない状況の写真もたくさんあるからまさに参考になりますという感じ
あとがきのロケ地見た感じどうやら港町の田舎風景が中心のようだ

神山洋一 東京生活
24から28mmの広角がメインなんだけどどれもお手本のように画面構成が綺麗で見事と言うほかない
それと距離感の詰め方が鬼すぎる、わかっててもこんな距離詰めて撮れんわとなる
直感的には「広角なのにめっちゃ画面まとまっててすげー」だったのだけど、あとがきを読んで少し印象が変わった
曰く、「生きていること以上に重要なことは何もない」、生きている人々の生きていることを写したいとのことで、であれば確かに広角の方が単純にその場の色んな人々を写せるしだからこそなのかな、と感じた

梶山博明 旅の記憶 N-real color-Z
とにかく彩度の高い世界でこんな場所もあるんだぁとなった
なんかTBSの世界遺産の番組見てる時みたいな気分になる
正直写真自体にそこまで心打たれてはないんだけど、前までこういう超絶に風光明媚な場所って自分が撮らなくてもこうして誰かが撮ってるから自分が撮りに行く必要ないよなとか綺麗だけどこれを撮りたいと思わないとかそういった雑念みたいな考えがあったのだけど、結局現地の空気に肌で触れるというのが最も重要なことでそれをどう写真に還元するかなのでは、と最近は思う

木村伊兵衛 パリ残像
何年か前に見たことはあったが先日の木村伊兵衛の展示で刺激を受けたので久々に
こうして久々に眺めてみるとまるで「残像」のようにピントや像が甘い写真が多いのだけどなんらかの意図なんだろうか?と読み取りの心が働いてくる
確かこの頃にはライカを手にしていたはずだからまるでライカを片手に通りすがりながら撮った結果、あえてブレている写真が多いような、そんな印象
最初の方はいかにも旅で初めてやってきて、視界の全ての景色が新鮮という感じの写真から、段々空気感に慣れてきてパリという場所に溶け込んだかのような写真が増えていくのが面白い、「あ、このあたりから日本国内での木村伊兵衛っぽい写真になってくるなぁ」と

上田義彦 at home
日記的な文章が撮影者の上田義彦ではなく被写体の奥さんのものであることにしばらく気付かずおぉ!?となった
撮影者本人が書いてると思しき文はないけどそれでもストレートに伝わる家族愛が良いね
奥さんがシャボン玉膨らませてるのをお子さんが見てる写真良すぎてうわ!!!!て言っちゃった
しかし家族写真っていいなー、家族の生活を切り取った中のめっちゃ苦労しながらもそんなことも幸せに感じてるような、小さな幸せとでも言うべきなんだろうか、そんなものをお裾分けしてもらってる気持ちになる
全体的に、ペットやお子さんが体調を崩したところなども文章で語られており家族写真のはずがこの後大丈夫か!!???と本気で移入して心配してる自分がいることに気付いてすごい写真集だと思った

渋谷敦志 回帰するブラジル
たまたまそういう気分だっただけかわからんけど、なんて端正なモノクロ写真だろうと第一印象で感じた
途中から絵画的アプローチを感じるような画面構成に隙がないような写真が始まり圧巻
ブラジルの風土、その土地を写しているという感覚が消え画面構成の端正さが全面に出たような写真はこれはこれですごい

スティーブ・マッカリー 読む時間
前書きの文章長すぎて勘弁してくれってなったwこういうのは文字数300文字以内くらいにしてほしいんだけどSNSに毒されすぎだろうか
それはそれとして色んな「読む」の形があり面白い、普通に読んでる人の写真だけでなく本を読む銅像だったりとか
絵的な美しさもさることながら世界中色んな国、色んな場所、色んな人、色んなシチュエーションでの読書が写されていて読書とは食事とか睡眠とかと違い生理的欲求でないはずなのに世界のどこにいても変わらない人の営みであることがよくわかる

増田祐子 REFERENCE
この写真集はなんだか写真一枚一枚とよく「目が合う」気がする
いや意味わからんし自分でもわからんのだけど
単に被写体がこっちを向いてるという意味でなく
木とか岩とかしか写ってなくてもなんか目が合ったような感覚を覚える
あとがきから旅に出ずにはいられないような、内的衝動に身を任せて旅に出る部分があるというようなことが書かれていて確かに場面の流れ方的なんだか旅の衝動に突き動かされるように次々に場所が変わっているなぁと後から思った
場所が切り替わっているというより常に旅の最中というか

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