6月に見た写真集感想

Annu Aaluto Time As River
色彩豊かなのにどこか優しくソフトな感じの描写が刺さった
色彩表現の淡さ?みたいなのが完全に自分好みで惚れた
切り取り方も巧みで素晴らしい、特に駅のホームでカメラを構えている女性のカットなんかすごく好き
9年間ヘルシンキに通って撮った写真らしく、アニメ「たまゆら」をきっかけに10年近く広島県竹原に通っている自分に通ずるとこあるなと思った
あとがきの「終の棲家でない街にいつか戻れなくなる日が来るだろう」という言葉に大きく共感した
こうして何年も同じ街に通っていると自分の中で『実家感』のようなものを感じつつも結局は「地元民でも旅人でもない」宙づりな存在なんだよなぁと
派手さは全然無い写真集なんだけど撮影された場所とか空気感が静かに染み入るように伝わってきてあぁこういう写真撮りたいなぁと思わされる
ことさらに撮影技術ひけらかすわけでも使ってる機材のパワー見せびらかすわけでもバエる景色でドカーンとアピールするでもなく、よそ者としてたまに訪れる町の風景が淡々と流れていくような写真集なのに、一度見始めると目が離せない
何がこうも自分を惹きつけるのかまだちょっと言語化しきれてないところがある


川内倫子 種を蒔/Semear
これに限らずだけどこの人の写真集はなぜこんなに惹かれるんだろう
想像の余剰感みたいなものなのかな
全く関連のない別の被写体を同じような構図や類似性を持たせて見開きで並べる手法は健在
この写真集に関しては時間の流れを切り取った感じの印象のものが多い気はする
ソフトフォーカスで切り取られた余剰感・想像の余地のあるこれらの写真を見ると写真ってなんだろうなとそっち方面も色々と考える


ユージン・スミス A Life in Photography
まさにレジェンドと呼ぶに相応しい写真ばかりだったなと
戦前から活躍している写真家というのはどこか絵画的というか1枚1枚が絵として強い写真が多く先の川内倫子さんの写真とはかなり対照的で面白く感じる
幾何学的な美しさと情緒、そしてより思想というか思考が素直に写っている気がする
しかしいささか絵画的(?)な美しさの構図ばかりで若干教科書っぽくも感じてしまい、いや基礎はめちゃくちゃ大事なんだけどあまりこの構図に囚われすぎても頭が固くなってしまいそうだから自分なりに消化するのも意識しないとなと生意気にも思った
けどそれはそれとしてユージン・スミスの写真もっと深掘りしたい


日本の写真家29 田沼武能
ちょうど友人にすすめられて見にいった写真展「人間讃歌」の復習ができたような形になった
画面構成の美しさととっくに過ぎ去った時間が蘇るような鬼気迫るリアルさが刺さる
リアルさというか、写真から実存感というか五感というか、そういうの刺激するのって今の写真みたいにビキビキシャープであればいいってわけじゃないというのを改めて実感


ロベール・ドアノー Re´trospective
ちゃんと文章読んでないけどたぶん傑作選的なやつ
これ見ればドアノーの写真の良さ大体わかるんじゃないかたぶん
絵画みたいな美しい構図の中に一枚一枚どことなくユーモアが潜んでる写真はどれも愛おしいなぁと感じる


Misumi Takuma ONE
フォロワーの▲ことMisumiさんの写真集
なんか偉そうな言い方になって恐縮だけどこれまでレジェンドな方や今をときめく有名な方まで色々な写真集見てきたけどそういった一流の写真集にも劣らない素晴らしい写真集でした
特に暗部の深みが素晴らしかった

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