楽しむ気持ちを忘れるな!

「世の中がつまらないんじゃないの、貴方がつまらない人間になったのよ!」

中学2年生の時、生まれて初めて読んだライトノベルで序盤にそんな台詞があって面食らった。俺の中学時代というのはSAOやとあるシリーズ、まどマギ、タイバニといった深夜アニメブーム、ボカロの勃興〜全盛期にあって「オタク」が市民権を獲得「しつつある」時代だった。

「しつつある」なので勿論、偏見も根強く残っていた。当時野球部に所属していた俺はオタクと馬鹿にされるのを恐れていたが、そんなに陽キャのノリに耐えられるほどの理性も持ち合わせていなかった。どちらにもなれないといった状況で、「本ならバレないのでは」と思い友達から借りたのだ。

冒頭のセリフを見て、我に帰ったような、悟りを開いたようなそんな気がした。先生たちに怒られても懲りない陽キャ、バカにされても開き直っているオタク、どちらも「楽しむ」という能力に関してはハンパない。向いてるベクトルが違うだけで。

誰かから見て「恥ずかしい」「バカらしい」なんて、本人からは関係ないのだ。つまらない日常をつまらないままにしているのは俺自身だったのだ。高校生になって幸運にも音楽に夢中になれたのは、この気づきが大きかったと今は思う。

だが、大人になろうと、カッコつけようと背伸びした大学入学直後の俺も、あらゆることをやめた大学3年の時の俺も、その時の気づきを忘れていたように思える。社会人になった今、自由な時間は減ったが、その気づきを忘れないようにしたい。それが本当の意味で「未来を良くする」ことだから。

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