通信制大学で空間デザインを1年学んでみての所感
新年度の開始が近づいて、新たにフォローしていただいた方も増えてきていますので、改めてちょっとした自己紹介をしつつ、自分にとっての1年目である2023年度を振り返って思ったことを書いてみたいと思います。
ちょっとした自己紹介
SNS上では沖之家(おきのや)と名乗っています。2023年4月に京都芸術大学の通信課程・空間演出デザインコース(空デ)に3年次編入で入学しました。2024年度は3年計画の2年目。順調に行けば2025年3月卒業予定となっています。デザインとは全く関係のない会社で働くアラフィフのオジさんです。所属している会社には大学で学んでいることについて、正式には報告していないので、XやnoteなどのSNSでは本名は明かしていません。
これは、入学して学習を始める前に書いた決意表明的なものです。なんでデザインと関係のない仕事をするオジさんが、空デを学ぶことになったのかが書いてあります。
学び始めて良かったこと
デザインには根拠・理由付けがあるということを強く実感できました。もし、高い学費払って入ったのに「デザインはセンスの世界だ。センスなき者は去れ!」的な世界だったら、早々と絶望していたと思います。最初の何科目かを受講して、これは理詰めで行けば、それなりに戦えるかもと思えたので、1年間続けることが出来たのかなと思います。
あと、自分が今まで見てきた世界と全然違う優しい世界線があることが知れたのが良かったです。社会で生活をしていく上で、発生しているちょっとした不便から、かたや社会的な課題に至るまで、デザインの力で解決していくということを考えたときに、一旦すべて受け入れた上で、解決策を模索するというアプローチは、社会人を長いことやっていて、いつの間にか忘れていた感覚だったような気がします。
学校では教えて貰えないこと
これは入学前から予想していたことではあるのですが、いわゆる表現技法についてトレーニングをしてくれる訳でありません。つまり、授業に出て課題をこなしてさえいれば、豊かな表現力が身についたり、イラレやフォトショで美しい作品が作れるようにはなりません。
端的に言ってしまうと、教えてくれるのは入口までで、その先自分らしいデザインをする上での表現技法については、自分で鍛練を積む必要があるということだと理解しています。何を鍛えるかは人によりけりで、手描きのドローイングを追求していくのか、イラレの生成AIを使いこなしていくのか、あるいはそれ以外の何かなのか?まさに、今の自分に足りていない部分なので、残り2年で頑張りたいところですね。
鍛えるという意味では、審美眼を鍛えるインプット作業も含まれていると解釈しています。デザインファイルと空間ファイルの両科目は、まさにその入口だけ示されていて、あとは自分でコレクションを増やして行きなさいよと謳われています。旅好きなので、良いものは見ているつもりですが、それをアンテナを立てて見ているか、良いところ・感じたところをファイル化しているかと言われるとちょっと微妙なので、これも反省点です。
スクーリング科目
初年度は、必須科目ではないスターター含め、1・2年次配当の全13回のスクーリングをすべて遠隔(リモート)で出席しました。外苑キャンパスからさほど遠くないところに住んでいるものの、仕事柄リモートでの授業参加に必要な機材類がすでに揃っていたこと、材料や工具などの大きな荷物を抱えて移動したくないという理由で遠隔を選びました。
遠隔のメリットは、慣れた環境で作業が出来るということ。複数画面を使って授業画面と自分の作業画面の両方を出しながら作業するとはかどりますし、自宅であれば忘れ物をする心配もないですよね。特にデジタル系の科目とは親和性が高いと思います。
一方で、実際にモノを制作するような科目では、質感などが伝わりにくかったり、他の学生さんが作られたモノの現物が見れないというは、遠隔のデメリットかと思います。
あとは、遠隔中心だと、どうしても横のつながりが出来にくいです。中にはLINEを交換するなどして、積極的に交流を図られている方もいらっしゃいますが、私の場合はXで繋がって、たまにいいねを押したり押されたりする関係の方はそれなりにいらっしゃいますが、実はリアルでお会いしたことがある方は、ほとんどいなかったりします。ということで、つながりを求めるのであれば、対面と遠隔をバランス良く交えるのが良いかも知れません。
京都・東京・遠隔と開催地は複数あっても、特に東京と遠隔は同じ日程になることが多く、同じ科目を受けられるチャンスは実質的に年1回だったりします。そこを逃すと「また来年!」という事になりかねないので、スクーリングに向けて学業以外のスケジュールを調整する必要があります。プライベートや仕事の関係で週末に予定が入りがちの方は特に要注意かと。
TR科目
各期の最初の月(4,7,10,1月)にレポートを提出して最終月(6,9,12,3月)に単位認定試験を受ける形式の科目群です。自分の場合は、1年目ですべてTRを取り尽くすことを狙ったのですが、結果からいうと、春2、夏4、秋2、冬2科目の計10科目の履修となり、1科目(建築法規)を積み残してしまいました。
今振り返ると、比較的時間に余裕のあった春に3科目やっていれば、積み残しの1科目含めて終わらせられたかもしれないという小さな反省はあります。とは言え、卒制着手要件に含まれない2科目を含む全6科目クリア、卒業時の2級建築士受験資格を得るための建築系の科目5科目中4科目クリアなので、比較的順調に行ったと言えると思います。
入学後、最初のスクーリングまで1ヶ月以上あり、何かやらねばとマーケティング概論をやり始めて、TR科目の進め方をイメージできたことと、あとは何を思ったのか重たい構造力学1を最初にやったことで、他の科目へのハードルが少し下がったのが良かったかも知れません。
TW科目
各期の最初の2ヶ月(4,5,7,8,10,11,1,2月)に提出期間があるTW科目。TWの着手はスターターのスクーリングを受けた5月前後だったと思うので、スタートは少し遅めだったと思います。
1年次配当の4科目と2年次配当の4科目中3科目が履修済みで、2年次配当の小さなショップを積み残しています。1年次配当の4科目に2年次配当の空間ドリルまでの5科目と、それ以降の科目(住まいのリノベ、ローカルデザイン、小さなショップ)で科目の難易度とかかる時間がグッと変わりましたね。
TW科目で悩ましかったのは、スクーリング科目との前後関係。例えば、すまいのリノベで図面やパースを準備するにあたって、手描きが苦手な自分はAutoCADやSketchUpを駆使するしかないと思っていました。しかし、それらのスクーリングを受講した後だと、TWの締め切りに間に合わない。全部手描きするとか、事前に独学するとかしていれば良かったんだと思いますが、結局提出を後ろ倒ししたことで、1科目が来年に弾き飛ばされた格好になってしまいました。
ただ、1科目を次年度に回したことで、残りの科目にじっくりと取り込むことが出来、リノベとローカルデザインでは、(自分としては)比較的良い点を取れたので、結果オーライかなと思っています。
オフィスアワー
これは、声を大にして言いたいのですが、月に2〜3回ほど開催されるオフィスアワーには、可能な限り参加することがオススメです。
理由はいくつもあって、他の学生さんが、どの課題に取り組まれているのかというのが分かり、ペースメーカーになってくれること(言い方よ)。また、質問するほどではないけど、ちょっと気になることを代わりに聞いてくれる人がいるので、疑問が自動的に解決する(笑)など。もちろん、自分で質問するのもOK、というかそのための時間ですよね。
自分の場合は、ほとんど「聞き専」でしたが、だいたい80%くらいのオフィスアワーには参加していました。もし全く参加せずに、他の皆さんの動向が分からなかったら、疑心暗鬼というか、相当孤独な戦い(笑)を強いられていたはずなので、本当に助かりました。
記録は取っておいた方がいい
自分のように駄文を垂れ流す(公開する)必要はありませんが、その時やっていた課題内容や思ったことなどを時系列で記録しておくと、図面を描いたりレポートを書き上げるのにどのくらい時間がかかるのかといった目安が分かって、個人的には良かったです。あとは課題の内容を細かく分けてタスク化すると、進捗状況が見える化して、タスクを終えるたびに成果が分かるので良きです。といっても課題締め切り前は、そんなのに構ってられなかったりするんですけどね。
ちなみに週単位で、何を考えて、何をやっていたかに興味がある方は、こちらにまとめてあります。本当に毎週分あるので、よほど暇な人以外は読まなくて良いです(笑)。2024年度以降も追加していく予定です。
その他反省点
オススメとか気になった本などを買いすぎたのが反省点かなと。怖くて計算していませんが、授業料と同じくらいかそれ以上にお金を使っているかも…。
自宅の書斎の本棚からIT系の書籍が駆逐され、デザインや建築系の本で埋め尽くされて、さらにデスク周りには積ん読の山ができあがっております。読み切れないんだから買わなくて良いのに。わかっちゃいるけどやめられない。これからは図書館も有効活用しないとねと将来の自分に言い聞かせておきます。
最後に
こんな駄文に最後までお付き合いいただいてありがとうございました。これから学ばれる方、既に学ばれている方、いろいろいらっしゃると思います。もちろん、もちろんここに書いてきたのは、私個人の考え方なので、全く違うアプローチで取り組まれている方もいらっしゃると思います。特にこれから学ばれる方は、いろんな方の話を聞いてみて、自分に合うものを見つけてみると良いと思います。
あと、対面や遠隔のスクーリングなどの場では、周囲からオジさんがウザ絡みしていると思われるのが嫌なので、あまりこっちから積極的にお声がけすることはないと思います。もし気がついちゃた方は、コソッと声をかけてくれると、本人はきっと喜ぶと思います。
ほんじゃあまたね。
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