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月刊おきにのうつわ|第四回伝活   〈京こま〉

こま…子供の頃はよく回して遊びました。
長く回すのを競い合ったり、相手のこまを土俵から跳ね飛ばすゲームなど休み時間に遊ぶほど身近なおもちゃでした。(当時、こまは学校へ持参OKだったと記憶)
手で回すほどの大きなこまを、刀や扇子の上で回す曲芸もよくテレビなどで見られましたね。

そんな子供時代に慣れ親しんだ こまは、形は違えども世界各国にあり、世界共通の玩具でもあります。

↑こちら、世界のこまがたくさん紹介されています

こまは木や金属で出来ているイメージですが、今回紹介する 京こま は竹の芯に細い布や木綿の紐を巻いて作られたもの。宮中の女官たちが着物の端切れを使って作り、遊んだのが始まりと言われています。高級なものになると西陣織などが使われていました。

おほほほ…笑い声を立て、花舞う庭を眺めながら、女官たちが金銀糸を使った豪華な布を巻いて作っている様が目に浮かびます…。いえ、私の勝手な妄想です。


京こま は、かつてはたくさんの工房で作られていましたが、伝統的なお正月遊びも少なくなり、衰退していきました。京こま 製造にたずさわるすべての事業者が廃業し、なんと一時は途絶えてしまいました。しかし近年、一件の工房が 京こまの製造を再開されています。

京こまはその発祥のストーリーからもカラフルさが特徴。赤や黄色、紫など色とりどりの布が何色も重ねられて作られています。まるで、十二単の襲の色目よう…。

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(京こまの制作過程。乾燥させている様子/雀休)

余談ですが、以前この写真をインスタにあげましたら、「そうだ京都行こう」さんにリポストしてもらいました。

こまの動きから、「お金が回る」「物事が円滑に回る」と縁起の良い物とされてきました。また、真ん中に芯が通っていることから「意思を貫く」という意味も込められ、お祝いや人生の節目に贈り物に使われてきました。

一年の多幸を祈って、お正月の飾りにもこまは良く使われます。

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(紅白のこま お正月のしつらえ/京宿うさぎにて)
このときはお正月のしつらえの提案で、紅白の京こまと〈こま筋〉と言われる横ストライプ模様が描かれた京焼・清水焼の蓋物を“こま繋がり”で飾ってみました。

また、季節に合わせてかわいらしいこまも制作されています。
端午の節句の鯉のぼりのこま。

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祇園祭の鉾のこま。

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(こいのぼりのこま・山鉾のこま/雀休)

これ、鯉のぼりと風車の部分が、山鉾は屋根の部分が取り外せてちゃんと回せるんですよ。

そして、こんなものもあるんです!

京こま

(京こまのイヤリング/雀休)

こま のイヤリングです。小さな小さなこま が付いているのですが、ちゃんと本物と同じ作り方で作られています。こま だと伝えると皆さんすごく驚かれるので、話題作りに一役買ってくれます。

他にも、京野菜の形のこま や干支のこま、小さなこま が付いたストラップ、こまの形のお箸置きなどたくさんの種類のこま製品があります。

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また、実際に京こまを制作できる体験もありますよ。

こんなストーリーがある京こま。
なにぶん、現在一件だけの制作なので、もう途絶えることなく長く作り続けていただきたいもの。私も影ながら応援していきたいです。


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