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月刊おきにのうつわ|第十二回伝活  〈京焼・清水焼〉

月刊おきにのうつわ。今年1月にスタートさせて、12回目となりました。夏休みの日記も三日坊主で、夏休みの終わりの頃に泣きながら、さかのぼって書いていた私が、こんな長い文章を12ヶ月も毎月毎月よく書けたなと思います(笑)

これまでたくさんの方が工芸品や職人さんをクローズアップした記事を書かれていますが、同じような紹介では私たちらしくないと思い、工芸品を交えた生活の提案やこれまでのお仕事の実例から具体的な使い方を紹介してきました。(←つもりだけですが)

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今月のテーマは京焼・清水焼。夫が陶器問屋の息子に生まれ、私もテーブルコーディネーターとして和食器の提案をしてきた身。私たちにとって、至って身近で日常な存在です。

京焼・清水焼に関しても、技や人・作品を紹介することは、私より遙かに文章の上手な方がすでにされていることなので、ここは(文章の稚拙さから目をそらすため?)大変化球で、あまり日の目を見ない、京焼・清水焼の陶磁器卸売業を紹介したいと思います。
だれですか?取材が簡単に出来るやん、と言っているのは?(笑)

夫のおじいさんが始めた京焼・清水焼の問屋さん。昭和の初期の創業です。
問屋の業務を簡単に言うと、作家さんや職人さんが作られた作品を仕入れて、小売店さんに販売するお仕事。これだけの文章だと、商品が右から左へ移動しただけのように思われますが、それだけではありません。

一体、問屋ではなにが行われているのでしょう…?その一部を紹介したいと思います。

発注

文字通り、作家さんや職人さんに商品のオーダーをすること。この時、小売店さんやお客さまからリサーチした情報から商品の改良点を伝えたり、作り手さんのスケジュールを聞いて業務の調整をするのも大事な仕事。

検品

出来上がった商品に色ムラや傷がないか、形がいびつでないか…などをチェックします。特に5点セットなどの商品は、色・形ともピタリと揃ってないと残念ながら商品にはなりません。やきものは生き物と例えることも多く、卓越した技を以てしても、窯の機嫌で印象が変わってくることもしばしば。1個だけなら色が違ったり、重なりが悪くても個性として楽しめるのですが、お客様に出荷する立場としては、できる限り色調を見極めてそろえて組み合わせる…とても神経を使う工程です。

箱詰め

小売店や百貨店など顧客からの注文が入ると、箱詰め作業をします。食器の場合は特に、うつわの底の部分(高台こうだい)を機械ヤスリで磨き、なめらかにします。こうしておかないと、食卓で使う際に高台に突起物が付いたままになりテーブルを傷つけることになってしまうからです。
(はい。以前にうっかりと買いたてのお皿を横すべりさせて、テーブルに長―い傷を付けました…)

商品は破損の無いように「ミラーマット」(通称:ウレタン)と言われる白いふわふわの緩衝材に包み、紙製の箱に入れ、産地の紹介文、作者さんのプロフィール(陶歴)を添えます。

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あらゆる大きさの箱がストックされている部屋
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写真の紙箱以外に高級商品用の木箱もストックしてある

高級な商品はウコン布と言われる黄色い布(防腐・防虫効果がある)に包んで木箱に入れ、蓋に筆で箱書き・朱印(または黒印)をし、真田紐で結びます。

出荷
近隣の顧客ですと、直接配達に行くのですが、首都圏や中部圏などへの発送にはもちろん配送会社さんへ依頼します。このときの段ボールも陶器仕様で、断面がダブル構造にになった最強の段ボールを使います。

在庫管理

問屋業として一番重要な要素かもしれません、在庫管理。どこの問屋さんもそうですが、ものすごい量の商品が出荷を待ってストックされています。陶器と磁器とカテゴリー分けされて、商品が一目瞭然にわかるようになっていて、お客様からの注文に即座に対応できるように管理されています。

棚に並ぶ出荷を待つ陶磁器
原材料別、作家別にカテゴリー分けされている

その他、トレンド・ニーズの調査、新商品の開発、商談会への出店、オーダーメイドの受注…などなど、業務は非常に多岐にわたっています。

図解
問屋業務の流れ

このように問屋業というのは作り手と使い手をつなぐ大事な役目を担い、私のようなテーブルコーディネーターのポジションととても似ています。

実際、主人の仕事と私の仕事は共通項が多く、お互いの仕事を客観視しながらアドバイスしさらに昇華させていく、そんな関係でもあります。

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