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飼育員は、究極のサービス業

ハイサイ、グスーヨー、チューガナビラ。(沖縄方言:こんにちは、皆さんご機嫌いかがですか?)
突然の方言でのご挨拶、失礼致しました。
本ブログをお読みになる方には県外の方もいらっしゃると思い、沖縄感を出しつつただの文字数稼ぎです。

さて、本ブログで皆様に何を伝えたいのかと考えたとき、「飼育員の仕事っておもしろいんだよ!」が頭に浮かびましたので飼育員についてお話したいと思います。

では、ここで質問です。
飼育員っていったいどんな仕事をしていると思いますか。
皆様の想像している通り、動物たちが快適に過ごせるよう、獣舎の掃除・ご飯作りなど飼育環境を整える事が主な内容です。
それ以外にも動物とのふれあいを通して命の繋がりの学びの場、野生動物の保護、希少動物の研究・繁殖など多岐にわたる役割がありますが長くなるので割愛致します。
飼育環境を整えるという事は、ご飯を与えて掃除をするだけではなく、なるべく野生に近い生活スタイルで飼育・展示することが動物園動物たちの過度なストレスを減らし、心も体も健康に過ごさせるために必要です。
例えば、野生では樹上生活をしているチンパンジーたち。それに模した生活をさせるための方法の一つとして、展示場の天井に枝葉を置いてみました。

その結果、チンパンジーが高さ7メートルの天井まで登る行動を引き出し、運動量も増やす事が出来た

→その行動を来園者が見て「すごい!」と楽しんでくれる→動物も楽しんでくれた上、来園者に動物の能力(魅力)を伝える事も出来て飼育員も楽しい。

この流れ、おもしろいと思いませんか?
動物のために実施したことが回りに回って、動物だけでなく、来園者、飼育員の笑顔に繋がる。
飼育員は、動物の幸せを目的としてやっているだけで、決して来園者(お客様)のためにやったわけではないのに来園者が笑顔になれる…このような職業はなかなかないと思います。
(動物園は動物の生態を学ぶ場所でもあるので、来園者に知ってほしいという目的もありますが、不自然なほど行動の発現をさせる取組みは行いません。重要なのは、「動物のためになっているか」です。)

タイトルにもしましたが、飼育員の仕事はサービス業だと思っています。
限られた時間・予算・スペースで、動物にどれだけの幸せを提供できるか。そこが飼育員の一番のやりがいでもあり、おもしろさです。
なんだか動物が楽しそうにしているなと感じたらそれは飼育員の試行錯誤の取組みです。
動物園を訪れた際は、ぜひその部分にも興味を持っていただけたらと思います。
そして、幸せそうな動物を見て笑顔になった子供たち。
その子たちが将来飼育員になりたいと感じ、実際飼育員になってくれたとき、私がずっとお世話になっている動物業界に恩返しが出来るのではないかと考えています。
まだまだ胸を張って飼育員ですとは言えませんがそんな未来を夢見て、まずは担当している動物の幸せのために精一杯尽くしていきたいと思います。
長々となりましたがここまでご覧いただきありがとうございました。

※このブログは、2021年11月に沖縄こどもの国ゆんたくコミュニティにて掲載されたものを再掲しています。

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