琉球おもろ流創立40周年を祝う

 沖縄独自の華道の琉球おもろ流華道会(吉田紫峯家元)創立40周年記念「続 地・水・火・風・空」展が、12月9日から3日間の日程で、那覇市文化芸術劇場なはーと大スタジオで開催された。会場には、会員30人の力作61点のほか、いけばな年表や華道に関する貴重な歴史資料も同時に展示された。

 9日、午前10時にオープニングセレモニーとして、吉田家元は、県女性団体連絡協議会・与那嶺清子会長とおきなわ女性財団・大城貴代子理事長ら2人とテープカットを行い、花展が華やかに開幕した。

 今回の40周年記念展は、昨年行う予定だったが、コロナ禍のため、今年実現した。会場では、家元が96年に制定した「五大の祝いの花」の理論をモチーフに、創立15周年記念花展「地・水・火・風・空」展の続編として、開いたものだ。「地・水・火・風・空」とは、古代中国の宇宙哲学の五大元素である。会場では、五大元素を象徴する「青・黄・赤・白・黒」の五色をバックに作品を区分・展示し、来場者が一目でおもろ流華道の理念を共感出来るような芸術的な空間の工夫がなされていた。

 琉球おもろ流は、15世紀室町時代より始まる日本華道の中で生まれた、沖縄初の華道会で、1981年に吉田家元によって創設された。家元は、諸流のいけばなを学び、沖縄の主体性の確立をするとともに、日本的な流派主義によらず、学問としての視座からいけばなを学ぶことを目的にした。

 私は初日と最終日に会場に足を運んだ。会員らが出瓶(しゅっぺい)した立花から盛花、自由花まで、いずれも劣らぬ逸品だった。ハンの木、しだれ柳、松、鶏頭やサンダンカ、水仙、梅、カスミ草のほか、ドラセナ、トラの尾、クロトンなど沖縄の身近な草木・草花が活けられ、話題を集めた。まさに今時提唱しているSDGsというものだ。会場に訪れた人たちは興味深そうに見入り、生け花と触れ合う一時を楽しんだ。

 家元は老体に鞭打ちして、花展の準備をした末、会場では車椅子移動になったが、会期中は1日3回の講話をした。最終日の11日午後、玉城デニー県知事がサプライズ来場した。家元は知事に、平和を願う円(まどか)の心を持つ沖縄から花展を通して世界が平和であることを祈願したいと述べた。3日間で延べ8百余人の花の愛好家たちが来場し、盛会裏に幕を閉じた。(辺野喜・陳宝来


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