牡丹社事件を伝える「故事館」と観光案内所の起工式~屏東県牡丹郷石門にて

 屏東県牡丹郷役所は、5月22日に石門古戦場で「牡丹社事件149周年記念活動」を実施した。来年は150年の節目のため、同事件激戦地となった石門古戦場で、事件をテーマにした文化施設「石門古戦場故事館」と観光案内所の起工式を執り行った。

 周春米屏東県知事は起工式の挨拶で、牡丹郷は台湾最南端の山岳原住民の町であり、「恒春半島の裏庭」として知られている。この一帯は、原住民はもとより、平埔族、客家族、漢民族などが一緒に暮らしており、自然・歴史・文化・産業などが豊富で、多くの物語が残されていると述べた。

 故事館が完成することによって、牡丹社事件を知る出発点になるだけでなく、より多くの人々にディープな屏東県の文化を認識・理解してもらえると期待を寄せた。なお、来年150周年の節目には、牡丹郷から宮古島へ赴き、島民と「愛と平和」の交流を行う考えだ。

 故事館は3階建てで、展示スペースや舞台なども設けており、年末に完成する予定だ。起工式には、沖縄県産業振興公社台北事務所・上江洲辰徳所長や新ウチナー民間大使・陳保佑氏なども参加した。(辺野喜 陳 宝来)


註釈:
 牡丹社事件は、1871年に台湾南東部・八瑶湾に漂着した、宮古島からの乗組員54名が、現地の原住民・パイワン族に殺害された「宮古船台湾遭難事件」が発端で、3年後の74年5月に明治政府が台湾に出兵した事件をいう。
 5月初旬、日本軍は南部の恒春半島から上陸。戦いが約2週間続いた22日ごろ、石門でパイワン族と日本軍は激戦となった。牡丹社のaruqu頭目父子が戦死した。
 牡丹郷では、2007年より、この日を「牡丹社事件記念日」として制定した。以来、毎年この日には記念活動を実施し、後世に先人が郷里を守った歴史を伝えている。

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