はじめての組踊と国立劇場おきなわ
タイトル通り、はじめて組踊(くみおどり)を見に国立劇場おきなわへ行ってきました。
国立劇場おきなわとは、組踊や琉球舞踊などの沖縄の伝統芸能を保存するために、2004年に沖縄県浦添市につくられた国立劇場です。
ずっと気になっていましたが、この日はじめて国立劇場おきなわへやってきました。
駐車場から撮影した写真です。
わ~迫力がある……。
どきどき……。
独特な模様の壁です。
何をモチーフにしているんだろう?
あれ……?
あれが入口……?
まさかね……。
のぼりが立っている……?
台湾ルーロー飯に琉球すばラーメン?
なんだろう? 気になる……。
よかった……。
あちらが本当の入口のようです。
もうすぐ公演が始まるのでロビーには人がいっぱい。
だから二階へあがる写真をパチリ。
天井付近までのびる縦の線は、高級な雰囲気を演出しています。
クラッシック音楽が聞こえてきそう。
玉城朝薫(たまぐすくちょうくん)二百年祭記念碑です。
玉城朝薫とは組踊をつくった人物。1718年に踊奉行(おどりぶぎょう)に任命された朝薫は、日本の能楽を参考に組踊という音楽劇を創作しました。
こちらは玉城朝勲記念碑レリーフ。
玉城朝薫三百年祭記念碑として、1985年に岸本一夫氏がデザインし西村貞雄氏によって彫刻されました。
組踊の作品「執心鐘入(しゅうしんかねいり)」「二童敵討(にどうてきうち)」「女物狂(おんなものぐるい)」「銘苅子(めかるし)」「孝行之巻(こうこうのまき)」は、玉城朝薫がつくったと言われています。
三百年の時を越えて演じられているなんて、すごいですね……。
観てみたいな。
資料展示室には衣装などが飾られていました。
撮影禁止だそうです。お見せできなくて残念。
劇場内に入りました。
公演が始まる前なら撮影OKと言われたのでパチリ。
一階席には大勢の人が。こんなに人気があるのだなと思いました。
二階席もあるようです。
劇場内の壁はコンサートホールのようにボコボコしていました。
音響効果を計算して設計されているのでしょうね。
こちらは2023年1月の自主公演ステージガイドだそうです。
劇場内で売られていました。
いよいよ公演が始まりました。
第一部では琉球舞踊が披露されました。
演目は「老人老女(ろうじんろうじょ)」「本貫花(むとぅぬちばな)」「浜千鳥(はまちどり)」「鳩間節(はとぅまぶし)」「取納奉行(しゅぬぶぎょう)」「川平節(かびらぶし)」
残念ながら撮影はできません。
方言で歌われるのですが、意味が理解できなくても大丈夫。
舞台の左右に字幕があり標準語が表示されていました。
でも残念ながら外国語は表示されていませんでした。この日、ちらっと外国の方を見かけましたが……理解できたかな?
https://www.nt-okinawa.or.jp/images/performance/e132a8def3a6eff38bf997129cf692e11.jpg
第一部の琉球舞踊が終了すると、15分間の休憩をはさんで第二部の組踊がいよいよ始まりました。
今回上演されたのは、新作組踊「鶴亀の縁~扇のえにし~」です。
第二回新作組踊戯曲大賞において大賞を受賞した作品だそうです。作者は鈴木耕太氏。
ここから先は、組踊を見たわたしの心の中を書いております。
個人的な感想です。
いよいよ始まった。組踊だ。
琉球古典音楽が演奏され始めたが、奏者たちの姿が見当たらない。
舞台の奥の黒っぽい幕には鶴や亀の絵が描かれている。
よく見ると透けていて中には演奏者たちの姿があった。
左側の奥の舞台袖からゆっくりと亀千代が出てくる。
あでやかな衣装を身につけている。
手と顔は白く塗られて、瞼の下から外側の頬にかけて頬紅がほどこされている。
すり足でなめらかに舞台を滑るさまは、この世のものとは思えない。
琉球から江戸へ使者が送られたとき、踊童子と呼ばれる士族の息子たちが将軍や大名の前で舞踊を披露したという。
士族の家柄に産まれて、高い教養と洗練された舞踊をかねそなえた少年たち。
成人前の中性的な魅力をもつ選ばれし者たちが披露した組踊は、さぞかし魅惑的で素晴らしいものであったのだろう。
歌三線の眠気を誘う長い一言ひとことが響きわたる。
動画を早送りするような現在の若者には、耐えられないスピードであろう。
かく言うわたしも子どものころは、ゆっくりとした動作の琉球舞踊や組踊は退屈でテレビで見続けることができなかった。
劇場で間近に見ることで、その迫力に圧倒される。
なぜゆっくりとした動作で舞うのかやっとわかった。
深い悲しみを表現しているのだ。
その表情はほとんど変わらず無表情に近い。
大げさに泣き叫ぶ姿を見せられるよりも、はるかに胸が打たれる。
しかし組踊の本当のすごさが分かったのは、劇が終わって家に帰ったあとだった。
ずっと耳に音楽が鳴り響いている。イヤーワームだ。
亀千代の白い顔と悲しげな眼が、繰り返し繰り返し脳裏に浮かぶ。
昔読んだ「昴」のプリシラ・ロバーツのボレロを思い出す。
公演が終わったあと、劇場の周辺を散歩してみました。
ウィキペディアによると、外壁は網代形(あじろがた)の竹組みをモチーフにしていると書かれていました。
網代形の竹組みはチニブ壁とよばれています。
こちらは昔の沖縄の民家です。ちゅら海水族館で有名な海洋博公園の施設内にある、おきなわ郷土村で撮影しました。
これがチニブ壁です。これをモチーフに劇場の外壁はつくられたのですね。
国立劇場の隣接する組踊公園には、このようなモニュメントがいくつかありました。
駐車場周囲には琉球松が並んでいました。
近くには海があるようです。風が強くて寒かった。
今回、国立劇場おきなわへ組踊を見にきて良かったです。
劇場の雰囲気をリアルで味わうのはやっぱりいいですね。すっかり魅了されてしまいました。
年間を通して色々な公演が行われようなのでまた見に行きたいです。
足を運んだことがない方はぜひ行ってみてくださいね。おすすめです。
そういえば劇場内には琉球すばラーメンが売られていました。
今度食べてみなくちゃ……。
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