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支援事例「放課後デイ開所で資金枯渇」

令和 4 年 4 月 17 日 沖縄タイムス経済面掲載

事前の資金計画が必要

 ■ 企業名 非公表
 ■ 業 種 障がい児福祉事業(放課後等デイサービス)
 ■ 所在地 非公表
 ■ 資本金 非公表
 ■ 創 業 非公表
 ■ 従業員 若干名

【相談内容】
 放課後等デイサービスを開所するために、個人の資金を出して準備してきた。法人設立と指定認定に時間を要し、何とかめどがたち開所日も決まったが、資金が枯渇。同事業の収入は2カ月遅れでの入金のため、資金繰りをどうしたらよいか。

【回答】
 放課後等デイサービスは、障がい児福祉事業であり、障がい児にとっての学童と言える。福祉事業は行政への報告と請求、入金となるが、実際に入金されるのは2カ月後であり、事前に資金を十分に確保することが必要である。
 また、指定を得るためにさまざまな要件を満たし、書類を準備して提出する必要があり、実際に指定を受けるには数カ月かかる。十分な資金がない場合は、収支と予想残高をしっかりと計画しておかないと、準備していた資金がショートすることは少なくない。
 本件相談者も法人設立に時間がかかり、予定より数カ月遅れてしまったために経費がかさみ、創業用の運転資金の大半を使ってしまった。指定は受けられたが、その後の資金不足を心配して、よろず支援拠点へ相談にきた。
 相談時点で金融機関からの借り入れができずにいたため、金融機関に現状と見通しを正確に伝え、借り入れを行うことを提案した。
 まずは、資金繰り表の作成からである。目的は、預金残高の各月末の予測値を明らかにすることであり、資金が必要な時期と金額を明らかにするためだ。残高が最低1カ月分の経費支払い分を上回るように、必要な金額を把握する必要がある。資金が1カ月分の運営資金に満たないと、いわゆる自転車操業になってしまう。また借り入れの返済は、税金を支払った後の利益から返済するため、想定する利益額の範囲内で返済可能となるよう、借入額や返済期間などを決める必要がある。資金繰り表は、これらを可視化するために必要不可欠と言える。
 資金繰り表を作成し、第三者が事業を説明できる資料を用意して金融機関に提出したため、スムーズな借り入れができた。
 福祉事業か営利事業かにかかわらず、資金繰り表などによる将来予測を行い、都度更新することが重要だ。変化の激しい時代だからこそ、常にどのくらい余力があるか、いくら準備しなければいけないかなどを、事前に見える化する必要がある。
(県よろず支援拠点コーディネーター・鈴木和久)

※掲載内容は相談者の承諾を得て紹介しています。経営者のあらゆる相談を無料で受け付けます。問い合わせや相談は同支援拠点、またはお近くの商工会へお問い合わせください電話098(851)8460。

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