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支援事例「公共工事減で利益率下がった」

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令和 3 年 5 月 9 日 沖縄タイムス 経済面掲載

支出削減 経理体制整え

◆ 企業名 A社
◆ 業 種 建設業
◆ 所在地 非公表
◆ 資本金 非公表
◆ 創 業 2020年
◆ 従業員 5人

【相談】
 売り上げの柱である公共工事の受注が伸び悩み、人件費や原材料費の高騰で利益率が下がっている。借入金の返済も厳しくなってきた。売り上げを安定させて利益を確保し、将来の成長戦略が描ける会社にしたい。

【回答】
 A社の経理について確認すると、原価が管理されておらず、丼勘定で経営していることが分かった。そのため、適正な契約価格を算定できずに、いくつかの現場で赤字の工事案件が発生していた。また、運転資金が足りなくなれば銀行に借りれば良いという考えを持っており、資金繰りの管理がまったくなされていない。さらには無駄な費用支出が多く、営業収支が毎月マイナスで推移していた。
 すぐにできることとして、無駄な支出を削減した。また、売り上げの回収とともに支払いまでの期間の見直しも実施し、資金繰り表の営業収支を黒字化した。その上で金融機関ともリスケ(借入条件の変更)を交渉。その結果、1年間の元金返済の猶予ができ、当面の資金繰りが安定した。
 資金繰りが落ち着いたことから、次に経理体制の構築に取りかかった。会計の入力業務からはじめ、財務情報を把握できる環境を整えたことにより、自社で月次決算体制が組めるようになった。
 A社の赤字工事発生の要因の一つに、現場ごとの原価管理ができていないことがあったが、会計ソフトを活用すれば、無駄な工事原価を見積もり段階から排除し、利益の確保ができるようになる。
 売り上げを公共工事に依存していると、自らの営業活動による売り上げ獲得は難しい。入札して結果を待つ経営スタイルでは、今後も政策的要因などの外部環境によって会社経営が左右される可能性が続く恐れがある。この点でA社は社長自身、長期的な成長戦略が描けるビジネスモデルを構築し、売り上げの安定化を図る必要性を認識している。
 そこで既存事業に加えて、リフォーム事業と解体事業を新たな事業の柱としてはどうかと提案した。現場レベルでどれだけ原価に対する意識を持って日々の業務をこなせるか。現状の資金繰りと向き合いながらどのタイミングで民間事業に進出するかが今後の課題である。引き続き相談者に寄り添いながら、経営改善をサポートしていきたい。
(県よろず支援拠点コーディネーター・税理士・平良豊)

※経営者のあらゆる相談を無料で受け付けます。ご相談は電話098(851)8460のよろず支援拠点、またはお近くの商工会にお問い合わせください。

詳しくはコチラも >> https://yorozu.ti-da.net/e11920748.html

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