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支援事例「グループ企業の再編進めたい」

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令和 3 年 9 月 19 日 沖縄タイムス経済面掲載

合併の長所短所を精査

 ◆ 企業名 K社
 ◆ 業 種 小売・不動産業
 ◆ 所在地 本島南部
 ◆ 資本金 3000万円
 ◆ 創 業 2010年
 ◆ 従業員 15人

【相談】
 開業から10年がたつが、さらなる成長を目指してグループ企業同士での合併を検討している。グループ企業であるP社との組織再編の進め方や、メリット、デメリットについてアドバイスが欲しい。

【回答】
 K社は開業以来、順調に成長を続けてきた。今後も事業を拡大していくために、グループ企業であるP社との組織再編を検討しているという。K社と資本関係にあるP社は、異なる手法により一定の顧客、営業ノウハウを有しているが、累積赤字と事業承継という課題を抱えている。
 K社とP社が進めようとしている組織再編の手法は、K社がP社の全株式を買い取って完全子会社化した後、吸収合併するという形態。収益力を高め、安定した組織を目指す。
この場合のメリットは、K社とP社のターゲット顧客層が重なっていることから、合併の相乗効果で売り上げ拡大が望める。また吸収されるP社は事業承継の不安が解消できる。さらに税制上の要件を満たしていれば、P社の赤字、いわゆる欠損金を引継ぎ、合併後の法人税負担の軽減につながる可能性があることなどが挙げられる。
 一方、注意しなければいけない点は、新組織として運営する際の現場の負担コストや、異なる企業文化の共有などの課題がある。また先にあげた税負担の軽減についても、組織再編税制は難解な部分が多く、適用要件も一つずつ慎重に判断しなければならない。
 2社ともに経営面、財務面を精査し、K社としては合併に向けての企業体力をつけるために内部留保を増やし、財政基盤を強化しなければならない。P社も強みを磨きつつ、経営改善を進め、合併に備えて経営計画をたてていくことになった。
 この計画の実行には時間を要するが、2社とも今すぐに合併をしたいということではない。3年以内をめどに実現していきたいという考えである。これらの課題に対応する時間もあるため、今後各分野の専門家の支援も得ながら、理想的な組織再編ができることを期待している。コロナ禍で中小企業の事業承継や組織再編を巡る課題が顕在化しており、さまざまな手法による対応が求められている。よろず支援拠点としては、より有効な対策を提案し、支援していきたい。
(県よろず支援拠点コーディネーター・遠山康英)

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