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支援事例「下請けのインボイス どう対応」

令和 4 年 12 月 4 日 沖縄タイムス経済面掲載

取引先状況 早期に確認

 ■ 企業名 M社
 ■ 業 種 建設業
 ■ 所在地 非公表
 ■ 資本金 非公表
 ■ 創 業 非公表
 ■ 従業員 非公表

【相談内容】
 自社がインボイス事業者となり、元請け先にインボイスを発行することは理解しており、対応のめどはたっている。一方で下請け事業者など、仕入や経費の支払先すべてからインボイスを受け取ることができるのかが大きな課題となっている。

【回答】
 2023年10月からスタートするインボイス制度に対する事業者の対応はかなり遅れている。インボイスを発行できるようになるためには事前の登録が必要で、登録のためには消費税の申告事業者となることが条件となる。これまで消費税申告を免除とされてきていた事業者は、登録をするかどうかの選択を迫られることになる。
 登録をせずに、免税事業者等として事業活動を続けることも可能だが、制度がスタートした後は免税事業者等に支払いをした相手が消費税の控除をできなくなり、その結果相手側の税負担が増えるという事態が生じる。
 今回相談に訪れたM社は建設業で、下請けには多くのひとり親方、小規模業者が存在するケースで、仕入れや経費を支払った取引先や下請け事業者のすべてからインボイスを受け取ることができるのかという不安が大きい。彼らがどの程度インボイス制度への理解や対応体制を整えているのか、全くといってよいほど把握できていない。
 制度がスタートして、下請け事業者のほとんどがインボイスを発行できない場合、M社の負担は増加し利益が減少するという大きなリスクとなる。それを避けるためには支払先に制度対応への確認を行い、状況を把握することを第一に行わなければならない。その後に対応できていない事業者へのフォロー、取引条件の見直しということも必要となってくる。
 取引先への確認文書作成やヒアリングの進め方などについてアドバイスを行い、対応を早期に進めていくことになった。取引相手との利害を調整しながら友好な関係を維持しつつ対応することも経営上重要である。
 難しい対応を迫られるM社だが、知っておいてほしいことが「経過措置」の存在である。期間内は免税事業者等への支払いであっても一定部分の消費税の控除は認められるというものである。すぐに対応ができない下請事業者への周知や指導をこの期間も含めて進めていくことができることもアドバイスをした。それが、先延ばしではなく現実的な判断のひとつになると考えている。
(県よろず支援拠点コーディネーター・税理士 遠山康英)

 ※掲載内容は相談者の承諾を得て紹介しています。経営者のあらゆる相談を無料で受け付けます。問い合わせや相談は同支援拠点、またはお近くの商工会へお問い合わせください。電話098(851)8460。

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