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私の自然環境保全活動を振り返って

 2003年、70歳で仕事を辞めてから健康を保つために散歩をするようになりました。初めは街中を歩いていましたが、そのうち近くの野川を歩くようになりました。 野川は、約5万年前、古多摩川が、武蔵野台地を削ってできた崖(国分寺崖線)の湧水を集めて、流れています。野川は国分寺市の日立中央研究所の庭園の大池に発し、小金井市、三鷹市、調布市、狛江市、世田谷区を流れて、多摩川に合流する長さ約20kmの都市河川です。野川の中流域では都立武蔵野公園と都立野川公園の中を野川は流れていて、都市部にありながら、まだまだ豊かな自然が多く残されています。

 2005年5月、三鷹市のHPボランティア養成講座を受講し、自分のHP「シニア物語」https://okinatokyo.sakura.ne.jp を作りました。現在も続けています。

 2006年5月、初めて三鷹市社会教育会館が主催する市民大学総合コースで西尾隆先生の「心豊かに安心してみたかで生きる」を受講しました。10月には三鷹市の「緑のボランティア講座」第3期を受講しました。この講座の受講生達は、現在は、特定非営利活動法人花と緑のまち三鷹創造協会の緑のボランティア部会の活動につながっています。国立天文台構内の竹林の保全活動 https://okinatokyo.sakura.ne.jp/report/chikurin15-3-31.pdf 等を行っております。

 2007年は、3月に井の頭公園での餌やり自粛活動にも一時期加わりました。その活動は、その後井の頭公園池の大規模な「掻い掘り」につながりました。4月に野川公園愛護ボランティアの会に参加し自然観察園内の環境保活動に加わりました。5月からは市民大学総合コースで大西隆先生の「三鷹まちづくり」を受講しました。大西隆先生はその後日本学術会議議長を務められました。6月東京都緑のボランティア指導者養成講座を受講しました。

 2008年度は、5月から市民大学総合コースでは小倉紀雄先生の「身近な水と地球環境」を受講。8月に講座の受講生有志と「みたか野川の会」をスタートしました。

 野川を散歩するようになってから、身近な野川や国分寺崖線に大きな関心を持ち、野川流域連絡会の都民委員に応募しました。 2007年の秋、野川の大沢の里付近で、オオブタクサやアレチウリが一面に繁茂している姿をみて、「これは何とかしなければならないと」強く感じました。アレチウリは、北アメリカ原産のつる性の植物で、長さが数mほどに拡がり、あたりを覆い尽くしてしまいます。オオブタクサはアメリカ原産の1年生植物で、一面に密生し、草丈が4mにも高くなることがあります。この年の秋から、外来植物の駆除活動を始めました。最初は一人でしたが、幸い、翌年の2008年の夏、市民大学総合コースのクラスメートの賛同を得て、メンバー6名で「みたか野川の会」をスタートすることが出来ました。毎年7月から10月の間、毎週1回、早朝に1時間半ほど、除草活動を行いました。範囲は、東八道路の富士見大橋から、下流の御塔坂橋までの約2km弱です。

 野川では、外来植物法で特定外来生物に指定されている12種の植物の内4種が認められています。アレチウリ、オオフサモ、オオカワヂシア、オオキンケイギクです。その他、要注意外来生物であるオオブタクサも認められます。このような困った外来植物を駆除することで、在来の植物がより生育しやすい環境が保たれることを願って活動しました。それにより生物多様性が向上することを期待しています。

 このような活動は、自分たちだけではうまくいきません。いろいろな方々の理解と協力が必要です。
①除草だけでなく、植物を知ることがたいせつです。植物に詳しい方にも加わってもらって、野川の野草調査を行いました。「野川の植物目録2011-2014」https://okinatokyo.sakura.ne.jp/syokubutsuH15-4-16.pdf を作りました。野草観察会も実施しました。

②野川の河川管理者である東京都北多摩南部建設事務所から、この活動は外来生物法に基づく、防除の活動であることを認めていただきました。そして除草ゴミの処置をおこなっていただいております。

③野川流域連絡会の場を通して、この活動は、野川の全流域で活動する団体に理解をしていただきました。せたがや野川の会とは互いに訪問してあって交流会をおこないました。その後、世田谷区でも、アレチウリの除草活動がはじまりました。

 自然は複雑です。我々は自然に親しみ、よく観察して、いろいろなことを学ぶことが必要です。野川は湧水の川です。私の観察では、4,5月ごろ流量が一番少なく、梅雨時になると増え初め、秋には大きく増えて11月ごろがもっとも多いようです。湧水が流れ出るためには、雨水が土地に浸透することがもっとも大切です。そのためには、涵養域となる国立天文台や国際基督教大学の大きな緑が大切です。いろいろなことがつながっています。

 取り組むべき課題が沢山ありますが、よく考え、専門家の知恵をかり、無理をしないで、少しずつ活動し、それを続けることが大切です。

 東京都による草刈りの頻度は、高水敷の植生に大きく影響をします。2009年から東京都の草刈りの頻度が、年2回から3回に変更されました。その後2年後の2011年には、高水敷のオオブタクサが、大幅に減少しました。我々の作業は、草刈りがない水際1.5mの幅の範囲の除草が主になり、楽になりました。草刈りをするのは大変だが、新たに真夏の8月ごろに草刈りが行われたことで、オオブタクサの種が出来る前に刈られ、新たは種が、地面に落ちなかったものと考えています。既存の埋土種子も、案外早く発芽してしまったようです。うれしい誤算でした。

 植物の生態は複雑で、アレチウリやオオブタクサが減っても、在来植物が出てくるとは限りません。代わりに別の外来植物が出てくることもありえます。在来植物ではあるが困りもののクズが繁茂してくることもありえます。陣取り合戦です。ものごとはそんなに単純ではありません。それだけ、変化に富んで面白いのです。

 私は、自然と向き合い、自然から学ぶことから、行動につなげるのがいいと思っています。また、「着眼大局着手小局」という言葉がありますが、広く周囲の情勢を見渡し、実行は、まずは自分の身近なことから始めたらいいと考えています。それを突き詰めていくことで、お隣とのつながりが生まれいろいろな活動が広がっていくと考えています。

 みたか野川の会の活動は、2015年3月末で一応区切りをつけました。自然環境保全の活動は、いく世代にも亘る活動だと思っています。また誰か必ず受け継いでくれるものと信じています。

私の願いは「身近な野川の豊かな自然を守る」ということです。

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