ピロリ菌は除菌するべき?
ピロリ菌。
かわいい名前のくせに胃癌を引き起こすと言われている菌です。
「ピロリ菌は胃癌のリスク」
というのが世間の常識であり、ピロリ菌が見つかったらとにかく除菌を勧められます。
けど果たして本当にそれでいいのでしょうか。
自分は常々、何か理由があるからピロリ菌が住んでいるんだと考えていました。
健康についていろいろ勉強されている方は、ピロリ菌を除菌すると逆流性食道炎や食道癌のリスクになるという話は聞いたことがあるでしょう。
まずは1冊の本からご紹介したいと思います。
この本は結構おもしろくて、植物同士がコミュニケーションを取っていることなども紹介されています。
ワクチン推進論者のような頭の固い人からしたら到底理解できない話でしょうけど。
でもちゃんと科学的にわかっていることなんです。
それはさておき、今回はピロリ菌の話です。
第3章微生物のところで、ニューヨーク大学医学部長をしていたこともあるマーティン・ブレイザー医師の記事が書かれています。
ブレイザー医師は微生物研究をしてきた方でもあります。
この本でブレイザー医師はこのように述べています。
「ピロリ菌の除菌が普及するにつれて、たしかに胃潰瘍は胃がんは減ってきていましたが、別の病気が増えていることにも気づかされたのです。胸焼けを引き起こす胃食道逆流症や食道腺癌などです。」
ブレイザー医師自身も、ピロリ菌が世間で発見されてからしばらくは除菌しまくっていたようです。
でも、「別の病気が増えている」と気づき、一度立ち止まったのですね。
そこが本当に素晴らしいと思います。
大抵の医師は考えを曲げることをしようとしませんから、除菌除菌で突っ走りますから。
続けてこのように述べています。
「ピロリ菌に感染していればこれらの病気(胃食道逆流症や食道腺癌)の発症率は低く、ピロリ菌に感染していなければ発症率は高くなる傾向が見られたのです。」
「悪玉であるはずのピロリ菌や、その中でも毒性の高いタイプのピロリ菌(CagA遺伝子をもつピロリ菌)が、食道を保護していたわけです。」
この他にも
・ピロリ菌に感染していると喘息になりにくい
・しかも胃潰瘍や胃癌の発症率を高めるCagA遺伝子をもつピロリ菌に感染している人の方が、CagA遺伝子をもたないピロリ菌に感染している人より喘息の発症率は4割も低い
そして抗生物質の使いすぎにも警鐘を鳴らしています。
もっと詳しく知りたい方は以下の本もお勧めです。そのブレイザー医師が書いた本です。分厚いですけど。
第9章からピロリ菌の話が始まります。
遺伝子研究によって、ヒトはピロリ菌を少なくとも10万年以上有していることがわかっているそうです。
それを最近になって突然悪者にして除菌ばかりするのはおかしいですね。
そしておもしろいエピソードが紹介されています。
ピロリ菌を発見したのはオーストラリアのマーシャルとウォーレンいう方ですが(二人ともこれでノーベル賞受賞)、マーシャル自身がピロリ菌を飲んで胃炎が起きることを証明したという逸話です。
これは知っている方はいたかもしれません。
興味深いのはそのあとです。
マーシャルの胃炎は数日しか続かず、あとは自然に改善したというのです。
マーシャルの胃炎は、ピロリ菌保菌者に何十年にもわたって現れる通常の慢性胃炎とは病態が異なっていたということです。
・感染と炎症は自然に消失したこと
・そして最も重要なこととして、マーシャルは潰瘍を発症しなかったこと
を指摘しています。
それなのに「ピロリ菌=悪」がひとり歩きしてしまって今があるのですね。
ピロリ菌は胃酸を調節する作用があります。
子ども時代にピロリ菌に感染しなかった人、あるいは抗生物質によってピロリ菌を根絶した人は、胃酸の高産生を40代になっても続ける、と書かれています。
他にも
・ピロリ菌の欠如は喘息の小児期発症と関連を有しており、最終的に喘息を発症する人々の発症を、ピロリ菌が遅らせている
・ピロリ菌がアレルギー反応に抑制的、あるいは予防的に働く
・子どもの胃中ピロリ菌が花粉症を予防している可能性
についても書かれています。
そしてこんなことも書かれています。
『病理学者が観察している胃炎は必ずしも悪者というわけではない。これはパラダイムシフトである。私は胃に存在する制御性T細胞(T-reg)が、その抑制的な機能を介して喘息やアレルギー疾患の発症を抑えていると信じている。病理学者や臨床医は、胃の「炎症」は正常であると認識を改める必要があるかもしれない。』
『ピロリ菌が潰瘍を起こすという事実は、じつは今までに実証されたことはない。研究者が示したことは、ピロリ菌が顕著に減少すると、潰瘍の再発も減少したという事実に過ぎない。』
『ピロリ菌は、潰瘍発症の必要条件ではあるが十分条件ではない』
『ピロリ菌は、制御性T細胞を介してアレルギー反応を抑制する。制御性T細胞は免疫反応を抑えたり、そのスイッチを切ったりする細胞である。』
『ピロリ菌を根絶することによってよいことを行っていると感じている医師、感染を心配する患者、制酸剤を含む治療薬を売りたいと思う企業、そうした者の協働によって、この古来の細菌をなくしてしまえという動きは加速された』
他にも
・家畜への抗生物質の投与
・抗生物質の使いすぎが肥満をもたらすこと
・ピロリ菌の根絶はセリアック病(グルテン不耐症)発症にも関係しているかもしれない
について書かれています。
抗生物質がどのように影響するのか、特に幼少期に抗生物質にさらされたときに、その後どのような影響が出るかについても詳しく書かれています。
書き出したら止まらないので、この先は知りたい方はぜひ自分で読んで勉強してください。
この本には
『ピロリ菌は人類と共存するよう長年にわたって進化してきた。』
と書かれていますが、そんなピロリ菌を突然悪者にしてむやみやたらにやっつけるようなことをしたら、体内のバランスが崩れることは予想できることですね。
ブレイザー医師はこんないいことも言っています。
『ガイドラインにばかり従うことは、考えることをやめ、調べることをやめ、解析することをやめること』
ほんと今の医者ってガイドラインガイドラインばかりです。
製薬会社もガイドラインで自社の薬を勧めてもらえるよう、ガイドライン作成委員に所属している医師や、その教室に多額のお金をばらまいています。
名目上は研究費や講演料などで。
ガイドラインばかりに従って頭使ってない医者が多いんですね。
確かに参考にはするけれど、すべてがすべてガイドライン通りでいいわけじゃない。
ガイドラインだけで済むなら、医者じゃなくたって治療できますね。
病気の治療の説明書なんだから。
その通りにやればいいだけの話。
今回のワクチンも、国あるいは世界のガイドラインみたいな感じで、「全員接種」でした。
ガイドラインもくそもないけど。
ガイドラインに忠実な医師は、自分で考えることもせずに接種推奨、打ちまくっていたのでしょう。
さてピロリ菌に関しては、一部自治体では中学生に対して無料の検査事業というアホなことを行っています。
下記は一例として函館市のものです。
https://www.city.hakodate.hokkaido.jp/docs/2019010900017/
「慢性胃炎や胃・十二指腸潰瘍,さらには,胃がんなどの原因となっていることが判明しています。」
と脅すようなことしか書かれておらず、ピロリ菌除菌のデメリットについてはまったく書かれていませんね。
しかも
「また,お子さんがピロリ菌陽性である場合,家族の中にピロリ菌に感染している方がいる可能性が非常に高いと言われています(子どものピロリ菌感染の約80%は家族内感染と言われている。)ので,この機会に,家族の方もピロリ菌検査を行うことをお勧めします。」
と、家族まで巻き込んでお客さんにしようとしています。
ほんとがめつい。
むやみやたらに除菌して、若いのに逆流性食道炎になってしまったり、アレルギーや喘息が悪化したりする可能性があるのです。
こういう事業は、本気で人の健康のことなど考えていません。
利権です。
ピロリ菌ビジネスです。
ホリ○モンとかも、ピロリ菌のことについてしつこく言っていますね。
ホリエモンが「ピロリ菌検査」と「HPVワクチン」を推進し続ける真意
こんなくだらない本まで出している。
ハッキリ言って考え方が浅はかなんです。
考え方が短絡的というか、表面的なことしかわかっていない。
大体ホリ○モンが出てきている時点で、「ビジネスが絡んでるんじゃね?」って思っちゃいますけどね。
本気で人の健康を考えているようには思えないです。
堀江貴文氏に〝8割おじさん〟西浦教授が「うるせーばか」 尾身会長発言めぐり場外戦
どっちもどっちですけどね。
両者にこの言葉を投げかけたい気分ですが。
さて、自分の胃の中にはピロリ菌がしっかりと生息しています。
採血での抗体検査の結果ですが、結構な数値です。
大事に大事に飼っています。
「ピロリ菌は胃癌のリスクの一つだけであって、ピロリ菌がいるから必ず胃癌になるわけではない」
「何か理由があってピロリ菌がいるんだ」
との考えから、大切に育てています。
自分はアレルギー体質なので、たぶんアレルギーを抑えるためにピロリ菌がバリバリいるのかもしれません。
免疫が暴走しないように。
たぶん理由があってピロリ菌がいるのでしょう。
それに除菌することによって食道癌リスクが上がる方が嫌です。
以前自分が研修医の頃、食道癌が専門の外科医がこのようなことを話していました。
「食道癌になるんだったら胃癌になる方がマシ」
「自分が食道癌になったら絶対に手術はしない」
と。
先生の腕にもよるのでしょうけど、食道癌の手術って結構難しくて、リーク(漏れ)など起きることが結構あるんですね。
https://p.ono-oncology.jp/cancers/ec/05/03_complication/01.html
消化液が漏れるものだから、なかなか自然には改善しにくく、再手術になることも多いですし、ずっと漏れたまま経過をみることもあります。
ということで自分はピロリ菌除菌の予定はまったくありません。
胃の症状もまったくないですし何も困っていないですから。
上記に説明したようにむやみやたらにピロリ菌を除菌するのはどうかと思うのです。
とにかく除菌ばかり勧める医師がなんと多いことか。
自分が気になるのは栄養療法です。
栄養療法にもいろんな宗派?がありますが、一部の宗派では、ピロリ菌がいたらまず除菌を勧めるところがあります。
理由はピロリ菌がいたら胃酸が薄くなるから、消化が悪くなる。
タンパク質やビタミン、ミネラルの吸収の妨げになるからというもの。
確かにそういう部分もあるでしょうが、結局これも「栄養」しか見えていないんですね。
その人全体を見ていない。
これまで書いたことを読んでいただければわかると思いますが、ピロリ菌除菌によって栄養の吸収が良くなったからといって、食道癌が増えたり、逆流性食道炎に悩まされたり、あるいは喘息やアレルギーの悪化、さらには栄養療法でも話題のセリアック病を引き起こす可能性があるのです。
ピロリ菌除菌して栄養の吸収が良くなればそんな病気も引き起こさない、とも言えないでしょう。
結局栄養療法も、一歩間違えば西洋医学と同じでマッチポンプになっている可能性もあるのです。
正義の味方面してたちが悪いです。
あっ、決して栄養療法を非難しているわけではないですよ。
自分も日常診療に取り入れていますし、自分自身にも行っていますから(不真面目に)。
ただ、栄養療法は間違いないにしても、盲信するのは良くありません。
ですから栄養ばかり見て、「とにかくピロリ菌は除菌」と勧める栄養療法もどうかと思うのです。
胃酸低下が確実に栄養不良の原因であることが証明できて、ビタミンミネラルを補充してもそれでもちっとも改善しないケースなどでは検討しても良いかもしれませんが。
ただしその人に喘息やアレルギーがあったら慎重になるべきだと思います。
そして除菌を勧めるからには、逆流性食道炎や食道癌リスクについてもしっかり説明しなければなりません。
中学生のピロリ菌検診のように、何も症状もなく困っているわけじゃないのに病気をむりくり見つけて治療するなんてことはしない方が良いですね。
というか、ピロリ菌がいるからといって病気というわけではありませんが。
「余計なことはするな」
「微生物だって理由があってそこにいる」
これに尽きます。
無駄に医療機関の食いものにされないように、自分でできるケアなど役にたちそうな情報を大公開していきます。