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No.1067 12歳の活動家

 こんにちは、セヴァン・スズキです。
 エコを代表してお話しします。エコというのは、子供環境運動(ECO: Environmental Children's Organization)の略です。カナダの12歳から13歳の子どもたちの集まりで、自然環境を守るための活動をしています。あなたがた大人たちに、どうか生き方をかえて頂くよう、お願いする為に、自分たちでお金を集めて、カナダからブラジルまで1万キロの旅をして来ました。
 
(中略)
 
 もし世界中の国の大人たちが戦争のために使っているお金を全部平和のために使えば、環境や飢餓の問題のために使えば、この地球がすばらしい星になるでしょう。私はまだ子どもですが、それでもこのことを知っています。
 小学校で、いや、幼稚園でさえ、あなたがた大人は私たちに、世の中でどうふるまうかを教えてくれます。
たとえば、
*争いをしないこと
*話しあいで解決すること
*他人を尊重すること
*ちらかしたら自分でかたづけること
*ほかの生き物をむやみに傷つけないこと
*分かちあうこと
*そして欲張らないこと
 ならばなぜ、あなたがた大人は、私たち子どもに「するな」ということを、自分達はしているのですか?
 みなさんは、今日、何のためにこの会議に出席しているのか、どうか、そのことだけは忘れないでください。そして、このような会議をいったい誰のためにやっているのか。それはあなたがたの子ども、つまり私たちのためなのです。あなたがたはこうした会議で、私たちがどんな世界に育ち生きていくのかを決めてようとしているのです。
 親たちはよく「だいじょうぶ。すべてうまくいくよ」といって子ども達をなぐさめます。あるいは、「できるだけのことはしているから」とか、「この世の終わりじゃあるまいし」と言いますよね。だけど、今の地球の環境を見たら、もうこんな言葉を自分の子どもに向かって言えないと思います。わたしたち子どもの未来のことなんて、みなさんの議題の中にすら入っていないじゃないですか。みなさんは、私たち子どもの未来のことを本当に考えてくれているのですか?
 私のお父さんは、いつも、「人間の価値は、何を言ったかではなく、何をしたかで決まる」と言っています。でも、私は、あなたがた大人がこの地球に対していることを見て、泣いています。それでも、あなたがた大人はいつも私たち子どもを愛していると言います。本当なのでしょうか?もしそのことばが本当なら、どうか、本当だということを言葉でなく、行動で示してください。
 最後まで私たちの話をきいて下さって、ありがとうございました。

1992年リオデジャネイロ地球サミットのスピーチより

まずは読んでいただこうと思って、長いスピーチ原稿を大幅に省略しながら書きました。セヴァン・カリス・スズキさんが知ったら、眉を逆立てちゃうかもしれませんが…。
 
この文章は、1992年(平成4年)開催の「地球サミット」(ブラジルのリオデジャネイロ)での12歳の少女 セヴァン・カリス=スズキ(カナダ)さんのスピーチの一部です。世界各国から集うた政治家や政府関係者や企業の方々を前に、12歳の少女が堂々と地球環境保護のために行動することを大人たちに訴えかけました。今から31年前のことです。
 
一読すれば、論理は明快、子どもたちに常日頃教えていることの竹箆返しを大人たちが食らったことは否めないでしょう。それは、政治家や政府や企業のお偉方ばかりを対象にしているのではなく、世界中の大人たちに対して熱意を込めて訴えかけているのです。
 
私は、心に染み入るそのスピーチに、満場の拍手喝采を浴びたと言う伝説のスピーチに、世界の動向の変化を期待しましたが、現実は遅々として改善されません。業を煮やしたトゥンベリさんは、歯に衣着せず、無責任な大人たちをなじり、罵り、憎みさえするのです。
 
2児の母親となったセヴァン・カリス・スズキさんですが、今もカナダの環境問題活動家、著述家として活躍しておられると言うことです。


※画像は、クリエイター・Yoichiro Ashidaさんの1葉です。説明に「気候変動に関するマーチに参加するアメリカの大学生たち(メイン州にて)」とありました。お礼申し上げます。