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No.753 シビれた!アメリカの12歳の女の子のひと言。

「AGT」は「アメリカズ・ゴット・タレント」(America's Got Talent)の略称です。老若男女問わず、歌や踊りやマジックや曲芸や漫談や演奏のほか、各種のジャンルのパフォーマーが登場し、賞金100万ドルをかけてオーディションを行なうNBCテレビのスター発掘番組です。2006年6月にシーズン1の放送が開始されたそうです。英国版「BGT」は、翌2007年6月から開始されています。
 
「ゴールデン・ブザー」という金色のブザーボタンが審査員テーブルの中央に1つ置かれてあります。4人の審査員おと司会者の特権で、1シーズンにつき1度だけゴールデン・ブザーを押せるシステムです。ゴールデン・ブザーを押された挑戦者は、無条件で準々決勝に進出できる特典です。
 
2016年5月、12歳でAGTに挑戦した少女の名は、グレース・ヴァンダーウォールです。カンザス州カンザスシティー生まれで、ニューヨーク州サファーン出身のこの娘に、私はすっかりやられてしまいました。去年、ユーチューブで見た画像です。
 
グレースは、ウクレレ片手に登場し、自身のオリジナル曲「I don't know my name」を歌い、ゴールデン・ブザーを獲得したのですが、まずは、彼女と審査員とのやりとりをご一読ください。審査員4人の中、質問したのはハウイとサイモンです。
ハウイ「やあ、お嬢さん、名前は?」
グレース「グレースです」
ハウイ「君は美しくて若いレディーだね、分かってるかい?」
グレース「ありがとうございます。」(恥ずかしそうに)
 ハウイ「何歳?」
グレース「12歳」
 ハウイ「興奮してるかい?」
グレース「クレイジー!(やばい!)」(観客の笑い声)
サイモン「何を歌う?」
グレース「オリジナル曲です」
サイモン「本当?」
グレース「ええ」
サイモン「何について?」
グレース「私のこと」
サイモン「学校の人たちは君をサポートしてくれているのかな」
グレース「ほとんどの人は、私が歌うって知らないんです」
サイモン「勝てると信じてる?」
グレース「えっと、『奇跡』は起きるものだから、ひょっとして…」
サイモン「舞台は君のもの。頑張って!」
 
※グレースは、ウクレレを弾きながら「I don't know my name」(私の名前が分からない)を熱唱します。
「名前が分からない。だから、自分の道を見つけるために、ルールに従ったりせずに、迷子になって、人の海の中で見つけてもらおうとしているの…」
そんな意味の歌です。可愛いけれど哲学的な12歳の歌詞です。聴き終わった観衆は、大歓声と拍手で彼女の歌声や歌詞を称えました。
 
 ハウイ「これは、驚きのショーだよ。君は『奇跡』って言葉を使ったね。僕は、君こそが、生ける、美しき、歩く『奇跡』だと思う。君のオリジナル曲『みんな私の名前を知らない』これは正しく、間違っている。なぜなら、世界は君の名前を知るべきだから。きっと今すぐに知ると思うよ。なぜなら、君は、今まさに…」
 
※ハウイ審査員は、そう言ってゴールデン・ブザーを押しました。グレースは歓喜し、夢見心地で信じられない顔つき、そして動作です。
 
サイモン「グレース、私が君になんて予言するか分かるかな?僕は、君が、次のテイラー・スウィフトになると思う。」
グレース「ありがとうございます」
 司会者「今の気持ちは?」
グレース「何だか夢を見ているみたい。目を覚ます準備をしなくちゃ!」
そう言って、グレースは抱き合ったまま家族と舞台から去って行きました。
 
「何だか夢を見ているみたい。目を覚ます準備をしなくちゃ!」
と司会者の質問に即答した彼女に「驚き」の一言です。「目を覚ます準備をしなくちゃ!」の機転の利いたセリフは、東洋の島国の爺さんの心をメロメロにしました。ただただ恐れ入りました。
 
同じ年の8月の準々決勝・準決勝、そして9月の決勝で審査員の絶賛を受け、視聴者の投票により優勝を勝ち取りました。そして、その後、歌で数々の受賞をし、去年6月のディズニー映画『ハリウッド・スターガール』でヒロイン役を演じているそうです。

彼女は、今年、1月15日で19歳。どんな成長を遂げるか、静かに見守りたいと思います。

※画像は、クリエイター・M@R / めばえるさんの、タイトル「唄うようにパン活」をかたじけなくしました。本当に、こんな世界でした。お礼申します。