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No.710 ハンフリー・ボガード再び?

2年前の12月から「note」への投稿を始めさせていただきました。その頃の初期の文章ですが、私にとっては思い入れのあるものなので、再度紹介させてください。

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「ハンフリー・ボガード」

「あなたとは、思い出話ができないわ!」
耳にタコができるほど聞き飽きたカミさんの「名言」です。しかし、私にとって「記憶」と「お金」とは同義語です。無いものは無いのであります。
 
太平洋戦争まっただ中の1943年(昭和18年)に第16回アカデミー作品賞を受賞した「カサブランカ」(出演、ハンフリー・ボガードとイングリッド・バーグマン)中の二人には、
女「昨日は、どこにいたの?」
男「そんな昔のことは覚えちゃいない。」
女「今夜は?」
男「そんな先のことは、わからない。」
という有名な会話があります。男として、しびれてしまう名台詞です。

 その昔、映画評論家として名を馳せた淀川長治は、この「カサブランカ」を、「男と女の洒落た会話の洪水」と評したと言います。しかし、今の私は、歳をとるにつれ記憶を司る中枢がとみに緩み始めており、みごとと言うしかない「半フリー・薄ガード」状態です。
妻「昨日は、何食べたっけ?」
私「そんな昔の事は覚えちゃいない。」
妻「今夜は、何にしようか?」
私「そんな先のことは、わからない。」

まさに「口は災いの門」であります。迂闊にそんな事でも言おうものなら、夕食はふりかけご飯で終わりそう…。
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今日11月22日は、「わんわん(11)にゃーにゃー(22)」から「ペットたちに感謝する日」であり、「いい(11)ふじ(22)」から「長野県りんごの日」でもあるそうなのですが、私には「いい(11)ふうふ(22)」という語呂合わせに興味が惹かれてしまう日です。
 
この「いい夫婦」の日は、「余暇開発センター」(現在の日本生産性本部余暇創研)なる団体が、1988年(昭和63年)に制定したといいます。平成の元号が成る前年の誕生で、人間でいうなら今年34歳の壮年です。
 
一昨日、旧同僚だった女性が病魔のために他界しました。「古希」を前にして、逝かねばなりませんでした。夫婦水入らずで、老後の楽しみに花を咲かせたこともあったでしょうに。
 
江戸後期にかけて活躍した歌舞伎役者の五代目・市川團十郎(1741年~1806年)は、こんな歌を詠んでいます。
「楽しみは 春の桜に 秋の月 夫婦仲良く 三度食ふ飯」
いついつまでも夫婦でいられるわけはなく、どちらかに先立たれ、どちらかが菩提を弔って生きるのが私たちの定めなのでしょう。共にする食事を大事にして味わうことが、旧同僚への供養にもつながるのではないかと得手勝手ながら思っているのです。

※画像は、クリエイター・ノウチさんの、タイトル「休みの間、妄想は進む。」をかたじけなくしました。お礼申します。