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No.1012  乙な時間。

ジョークが、現実に?
アメリカ映画「ベスト・キッド4」(1994年)に、思い出深いシーンがあります。
 
主人公の少女ジュリーは、両親を失った心の傷からかとても態度が悪く、養い親となったルイーザお婆ちゃんと些細なことですぐに口喧嘩になってしまいます。
 
その日も激しい言い争いになり、業を煮やした孫娘は、お婆ちゃんにこう言い放って二階に駆け上がりました。
「お婆ちゃん、これ以上言いたいことがあるんだったらテープに吹き込んどいてよ。後で早回しして聞くから!」
 
もう、思いっきり笑いました。頭のいいヤツ!その手があったかと…。その彼女は、空手によって自己の精神修養と技を体得して成長していきます。
 
もう30年近くも前の「早回し」で聴くというジョークですが、最近「Z世代」(25歳~40歳の世代?)と言われる人々の間で現実として「倍速視聴」が流行っているのだそうです。「タイパ」(タイムパフォーマンス)を意識しての行動だそうです。
 
ニュースや映画、その他を「倍速視聴」することで、時間の無駄を省き、他のことに時間を割いたり、好きなことに時間を費やしたりしようという「意識的な時間カットの精神」のようです。
 
いわゆる「時短」は、料理番組などでもよく使われて来た言葉です。時間の節約にもなるし、効率化を図ろうと言う考え方なのでしょう。Z世代の忙しさには、昭和世代に青春時代だった私の想像の及ばない現実があるのかもしれません。
 
「生き急いでいる」ように見えなくもありません。もっとも、好きな事、やりたい事に傾注するための時間の確保なのだと言われれば、我々プレX世代は、その器用な生き方に一種の羨ましさを感じてしまうのも事実です。
 
急ぐあまりに、細かいところに気づかずに進んだり、見落とし(聞き落とし)たり、感動がつかみにくくなったりしないかなと老婆(爺?)心ながら思うのです。じっくり見て、じっくり聴いて、余韻を味わう楽しさも、なかなか乙なものですよね。

※画像は、クリエイター・いっしゃんさんの、空手大会の1葉をかたじけなくしました。「ベスト・キッド4」の主人公は、空手によって自分を立ち直らせることが出来ました。そんなことを思い出させてくれる画像でした。お礼申し上げます。