No.862 兄弟げんかは、何の味?
私たちが子供の頃、兄弟げんかをすると、爺ちゃんから
「兄弟げんかは、蜜ん味がするちゅうぞ。もっとやれ!もっとやれ!」
とけしかけられたものです。祖父は一人っ子だったので兄弟喧嘩が出来ず、寂しい思いをしたからなのかもしれません。ある意味、うらやましくもあったのでしょう。
しかし、本気でバトルしていた我々にとっては、熱くなっているところに外野から囃され、なんだか冷水を浴びせられるような白々しさを覚え、喧嘩がばかばかしくなってしまうのでした。爺ちゃんの目的は、案外そっちだったのかもしれません。
爺ちゃんにとっては「蜜の味」に思われていた兄弟げんかです。しかし、調べると、
「兄弟(げんか)は、鴨の味」
というのだそうです。
「鴨の肉が美味いように、兄弟の間柄も楽しく、かめばかむほど味がある」
という説明がありました。どんなことがあっても、やはり兄弟姉妹は頼りがいがあって、楽しい間柄であることを含んでいることわざなのですね。
子供の頃、「鴨料理」など食べたことがありません。大分の田舎の農家だったので口に入るはずもなかったのでしょう。鴨はシベリアなどからの渡り鳥で、越冬のために日本の寒冷地の甲信越や東北・北海道などに飛来するようです。したがって、「兄弟(げんか)は、鴨の味」とは、そのような環境のもとで生まれた言葉だろうと想像します。
大分県の豊後高田市には、100年を超える鴨料理屋さんがあるそうです。合鴨料理だろうと思われますが、私が知ったのは平成の時代に入ってからの事でした。豊後高田市では「合鴨」と「ネギ」と「ソバ」が特産品のようです。来県の折には、ぜひご賞味ください。
みなさんの故郷では「兄弟(姉妹)喧嘩」は何の味と言われていますか?
※画像は、クリエイター・すぴーさんの、タイトル「3月の北陸(1)~高岡古城公園と金沢の街~」の「鴨南蛮」の1葉をかたじけなくしました。うまそっ!お礼申し上げます。