No.634 オジンギャグにお付き合いを!
「笑」の字源の一説に「竹+夭」(刊定『説文』)があります。「竹は風を受けると体が夭屈(=かがまる)し、人が笑うようである」といいます。確かに、大笑いすると腹を抱えてのけぞったり、屈曲させたりします。「能(脳?)天気」にできている私は、この手の笑いにやられてしまいます。
その1.
「原節子は、和服の時にズロースを履くか?」
の問いに、
「履かない!」
と言った男がいました。
「美人薄命」(美人履くめー!)
(私云、「ズロース」<drawers>は死語ですが、涙が出るほど懐かしい響きです)
その2.
数人の作家が連れ立ち、東京の武蔵小金井に花見に行った時のお話です。永井龍男が吉川英治に尋ねました。
「武蔵に子どもはあったか?」
「さあ、よく知らないが、おらんでしょうな」
と吉川が答えると、永井はニッコリして、
「ご名答。ムサシコガネエ!」
その3.
数人の作家が一緒に軽井沢に旅行した時、高崎線の「熊谷駅」に列車が停まりました。駅名に「くまがや」と表示してあったので、一行は、わざわざ下車して駅長にかけ合ったそうです。
「この地は、源平の合戦で名高い熊谷次郎直実(くまがいじろうなおざね)の出身地であり、それ故の地名だろう。『くまがい』とすべきである」
と。集団抗議に恐れをなしたのか、駅長は直すことを約束したそうです。ところが、後日再び訪問すると「くまがや」のままでした。
「駅長め、けしからん!」
と息巻く面々に、永井龍男が言ったそうです。
「残念、熊谷ナオサネエだもんな」
以前、612号(8月15日)で紹介した半藤一利『歴史のくずかご』(文藝春秋)にあったお話です。腰の曲がる面白さです。私にとっては「くずかご」どころか、「宝箱」(ホォ!の詰まった箱)の1冊であります。
※画像は、クリエイターPupさんの「笑っとけ」を使わせていただきました。お礼申します。