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No.788 青白い顔をした地震小僧

俳優の土屋嘉男さん(1027年~2017年)は「徹子の部屋」の常連さん(18回?)だったと言います。その昔、カミさんから聞いた「俳優の土屋さんのユニークな話」とは、恐らくこの人の話だったのでしょう。
 
その土屋さんは、山梨県の大菩薩峠の登山口にあたる七里村の出身だそうです。子供の頃、お婆さんから
「地震はな、地震小僧が屋根に上ってグラグラ揺するから起こるんじゃ!」
と教え込まれ、恐怖心と関心を抱いていたのだそうです。芥川龍之介の小説『羅生門』の中で、死人の女の髪を一本ずつ抜いていた、痩せて皺くちゃの猿のような老婆に「六分の恐怖と、四分の好奇心」を抱いた下人と同じような心持ちだったのでしょうか。
 
ある日のこと、本当に大地震が来たそうです。「すわ、一大事!」と、一目散に外に飛び出して走ったそうです。途中で我が家を振り返ると、何と、地震小僧がぺったりと屋根に張り付いている。漫画のようなワンシーンです。まさかっ、あれが地震小僧???
 
その正体は、コソ泥でした。屋根に上がった途端、大地震に遭ってしまったのでした。命の危険にさらされ、恐怖に満ちた青白い顔の地震小僧だったそうです。漏れ聞いたお話なので、出来すぎの感無しとしませんが、「未知との遭遇」を体験したコソ泥は、地震のお陰で。すっかり自信を無くしたことでしょう。
 
「天網恢恢疎にして漏らさず」ということだったのでしょうか?

※画像は、クリエイター・kicchan(きっちゃん)さんの、タイトル「大どろぼう」をかたじけなくしました。映画のパロディーでしょうか?お礼申します。